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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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788 ラムス王との対話




「……えっと。今、なんでもするっておっしゃいました?」

「なんでもするから助けてくれぇぇ! ぐはっ」


 いきなり抱きつこうとしてくるから、反射的に蹴ってしまった。

 ラムス王の恵体が部屋の中にすっとんで――。

 なんかいろいろなものにぶち当たって、破壊音が響いた。


「……あ。ごめんなさい」


 思わず謝ったけど私は悪くないよね。


『陛下! 今の音は! 失礼します!』


 外にいた側近の男がドアを開けて室内に入ってくる。

 目が合った。


「まさか……。ソード!?」


 昏睡。

 外にいた人たちには、全員、寝てもらった。

 ごめんね。

 ちゃんと謝ることのできる私は偉い子だ。


 ラムス王は、ひっくり返られていては話ができないので、とりあえずヒールして状態は回復させてあげる。


「う、うう……」


 目を覚ましたラムス王を、まずは椅子に座らせた。

 部屋は半壊しているけど気にしない。


「あ、そうだ。とりあえず外にいるヤツだけど、あいつ乱暴者なので、紳士教育をしてあげてください。よろしくお願いします」


 私はぺこりと頭を下げた。


「わ、わかった……。よろしくする……」


 ラムス王はうなずいてくれた。

 よかった。

 これで健康道場も安心だ。


「じゃあ、そのお礼に話は聞いてあげますけど……。なんですか?」

「実は……。ジルドリア王国から急使が来たのだ……。ジルドリア王国、リゼス聖国、大森林、獣王国、さらには竜族が……、種族の垣根を越えて、昨日、センセイの下に旗をひとつにした、と」

「そかー」


 エリカ、仕事が早いね。


「教えてくれっ! センセイとはいったい、何者なのだ! いきなり竜族までをも含めた同盟とはどういうことなのだ!」

「いやー、同盟とかではないと思いますけどねー。ゆるーく、なんかこう、先生を据えとこう、みたいな? ただのお遊びですよー」


 よく知らないけど。


「知っているのか! ソード、教えてくれ! センセイとは誰だぁぁぁ! いったい、何が起きているというのだぁぁぁぁ! ぐはっ」

「いきなり迫ってこないでくださいね? 本気で怖いので」


 また蹴っ飛ばしてしまったので、ヒール。

 再び椅子に――。

 椅子もぶっ壊れてしまったので、仕方がないから床に座ってもらう。


 廊下からは、メイドさんが見ているけど――。

 まあ、いいや。

 気にしないでおこう。


「ちなみに先生とは、みんなの心の中にいる存在です」

「心の中、だと……?」

「はい。そうです。……平和を願うみんなの心がひとつになったもの。それこそが先生なのです」


 私は言った。

 その場の思いつきで適当なことを言った。

 嘘です。

 ごめんなさい。

 ちゃんと謝ることのできる私は、やっぱり良い子に違いありません。

 だけど、うん。

「実は私でーすっ☆ てへっ☆」

 なんてするより、遥かに良い。


「それでは……。どうすれば良いのだ……」

「本当の優しい自分に戻ってください。そもそもラムス王は悪魔に洗脳されて利用されていただけですよね」


 それが真実かはともかく、そういう設定になっていたはずだ。


「わかった! 言う通りにする! 言う通りにするから助けてくれ! なんとかしてくれぇぇぇぇ! ソードえもぉぉぉぉん! ぐはっ」

「あの……。えっと……。王様は、私の幼なじみじゃないんだから、そういうのはやめてくださいね」


 いや、ホントに。

 だいたい「えもん」って、どこから出てきた言葉なんですか。

 とりあえず寄ってきたからまた蹴ったけど。


 まあ、はい、ヒール。


「しかし……。本当に、それでなんとかなるのか? 強硬派の連中も、それで納得するというのか……?」

「強硬派っていうのは、獣王国を許さないって連中のことですか?」

「そうだ……。ワシはもう和平がしたいのだ……。だが、国内には、未だに獣人を見下す者も多く、すでにワシの力では……。もはや、そうした強硬派の勢いを抑えることはできないのだ……。もはや、現状、今にでも連中が押し寄せてきてもおかしくはない状況なのだ……」


 ふむ。


 私は試しに敵感知のレーダー範囲を広げてみた。


 これは……!


 今にもというか……。

 すでにお城の前に、多数の敵反応があるのですが……。


 そこに1人の男が走り込んできた。

 知っている顔だ。

 以前に聖国で私が成敗したこの国の王太子だね。

 元々は乱暴極まる性格だったけど……。

 リトが性格を反転させて、今では素晴らしい人格者になっている。


 その彼が叫んだ。


「父上! お逃げください! ついに強硬派の連中が押し寄せて来ました! 先頭に立つのは父上の長年の腹心であったドラン卿です! 騎士団長であるドラン卿が敵側に現れたことで、城に残る騎士たちの動揺は大きく――。もはや抵抗は不可能と言わざるを得ません。ソード!?」

「どうも」


 私はぺこりとお辞儀した。


「うわあああああああああ! おしまいだぁぁぁぁ! ついにドランのヤツまでもがワシに牙を向いたのかぁぁぁぁぁぁ!」


 ラムス王が発狂する中、私は冷静に考えた。

 さて。

 どうしたものか。





参考話⇒元気な頃のラムス王「481 ラムス王」



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― 新着の感想 ―
[一言] ごめんなさい。ラムス王のソードえもんで吹いてしまいました笑 ラムス王、貴様っ!さては元ネタ知っておるな!!
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