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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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786 ネスカ先輩vs道場破り!?





 さあ、というわけで!


 健康道場の師範代ネスカ先輩とカンフー映画から出てきたみたいな男モッサとの一騎打ちが決まったわけなのですが――。

 戦いは、すぐには始まらなかった。


「先生っ! 俺にやらせてください! こんな小娘と決闘なんて、先生の名に傷が付いちまいますぜ!」


 モッサの門下生がそう言って前に出てきた。


「ふん。それもそうだな」


 モッサが顎を撫でてうなずくと、すかさずネスカ先輩が嘲笑った。


「小娘に怖気づいたの? 恥ずかし」

「なんだとテメェ! 俺がぶっ倒してやる!」


 門下生がいきり立つ。


「まあ、待て。対決を受けてしまったのは事実、私がやるしかあるまい。しかし確かに私の名に傷が付くな」


 モッサは、ネスカ先輩に不躾な視線を向けた後、


「ああ、そうだ。ならば、最初に攻撃をさせてやろう。俺の腹を3度、まずは全力で殴るといい。勝負はそれからだ」

「おお! さすがは先生! すげーハンデだぜ!」

「この俺の鉄の腹を殴っては、逆に小娘の拳が壊れてしまうだろうがな」


 モッサの軽口に門下生たちがその通りだと笑う。

 私は感心した。

 なんという見事なフラグだろうか。

 まさに、どうか神様精霊様、このフラグを成立させてください、と、祈っているようだ私には祈りが届いた。

 私は心の中でうなずく。

 わかった。

 このフラグ、見事に立たせて見せようっ!


「さあ、殴ってみろ」


 背中で手を組んで、モッサが腹を出してくる。


「バカバカしい。そんなハンデなんて――」

「ネスカ先輩、せっかくだし、もらったらどうですか?」


 私はネスカ先輩の横に並んだ。


「クウちゃん、危ないから下がっていて。というか、クウちゃんは関係ないんだから裏から外に出て」

「まあまあ、そう言わないで。一緒に戦った仲ですよね」

「それとこれとは別」

「いいからいいから。じゃあ、殴らせてもらいますねー」

「ふん。早くしろ」

「ほら、先輩。これで決めれるなら、楽でいいじゃないですかー」

「……まあ、それはそうか」


 先輩がうなずいたところで、私は先輩に強化魔法をかけた。


「クウちゃん!?」


 すぐに本人には気づかれたけど。


「がんばれー。応援です」

「……ありがと」


 私は少し下がった。


 さて。


 拳を引いたネスカ先輩が――。

 自身の力と共に、私の強化魔法を乗せて――。


 今!


 モッサにボディーブローを叩き込んだ!


 どすんっ!


 鈍い音と共に、モッサの体が1メートルほど浮き上がったぁぁぁぁぁ!


「ぐほばべぇぇぇぇ!」


 変な声を出してから、モッサの足が地面に戻った。

 このままダウンか……。

 と思ったけど……。

 おお……。

 やはりモッサという男も、ただ威勢がいいだけではないようだ。

 ぐらついて、膝が崩れて……。

 もう駄目か、というところで、ギリギリ、耐えた。


「はぁ……! はぁ……! はぁ……!」


 モッサは、腹を押さえて前かがみでしばらく息を吐いてから――。

 なんとか身を起こすと――。

 まるでなんでもなかったようなフリをして、脂汗を流しつつも、ニヤリと微笑んでこう言った。


「ふ、ふん。小娘にしては、まあまあ、やるではないか。健闘を称えて、少しだけ痛がるフリをしてやったぞ」

「おおっ! さすがは先生! 見事な演技でした!」


 すかさず門下生たちがヨイショする。


「じゃあ、2発目行くわね」


 ネスカ先輩が、身をかがめて拳を引くと――。


「ま、待て!」


 すかさずモッサが止めた。


「なに? さっさと済ませて、早く対決をしましょ。あと2発でしょ」

「か、か、考えてみればアレだ! そう、アレだ!」

「……だから、なに?」


 静寂が流れた。


 と、そこに、通りからマウンテン先輩が現れた!

 大きいので一目でわかる!


「ちょっと失礼」


 チンピラ門下生をかき分けて、マウンテン先輩が私たちのところに来た。


「ネスカ、これはいったい何の騒ぎですか?」

「かま?」


 かま、とかいうのは、もちろんマンティス先輩だ。

 マウンテン先輩と一緒に入ってきた。


「見ての通り、道場破りよ」

「それは穏やかではありませんね」

「かま!」


 ちなみにマンティス先輩は、今、鎌を持っていない。

 なのにかまかま言っている!

 何故だ!

 と思ったら、


「ふ。まあ、お遊びはやめておきましょうか。それで、これから乱闘というなら私たちが手伝いましょう」


 普通に戻った!


「乱闘? 乱闘と言ったな? 乱闘と言ったな!」


 おや。

 にわかにモッサが元気づいたぞ。


「おい、おまえたち! こいつらは乱闘をするそうだ! そうなれば、もはや決闘などは関係ない! 全員で叩きのめせ!」

「「おおー!」」


 なるほど、そう逃げたか!

 チンピラ門下生たちを煽ってモッサはうしろに下がった。


「ごめんね、ヤマちゃん、カマ、唐突に巻き込んじゃって」

「ふ。こちらから来たのさ」

「学院生パーティー、再結成ですね」


 マンティス先輩もマウンテン先輩も男気がある!

 さすがだ!

 しかし、マンティス先輩は、鎌なしで大丈夫なのだろうか……。


 ああっ!


 一番弱そうと見て、チンピラ門下生の1人がマンティス先輩に襲いかかった!


「かまぁ!」


 おおおっ!


 それをマンティス先輩、見事な腕の動きで受け流して、転倒させたぁ!

 そしてぇぇぇ!

 カマキリのような構えを取った!

 これは、まさに螳螂拳!

 そうか――。

 マンティス先輩は、素手でもカマキリになれるのか!







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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく読んでます! もしかして、カンフー映画でも見たのかな? 前回からの展開が(笑) そして一人空気になってる人がいますね~ 帰るときはちゃんと、忘れずひろってあげてね。
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