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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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768 ダバvs黒騎士、ロックvsトーノ




 さあ、最初の試合だ。


 騎士団長のグラバムさんが審判として間に立ち、ダバと黒騎士が向き合う。


 ダバは着崩した緑の戦士服姿で、髪はたてがみのようだ。

 黒騎士は、ピッチリと着こなした黒い制服姿で、髪もバッチリと整髪剤で整えられてている。

 本当に対照的な2人だ。

 武器は、お互いにノーマルソード。


「おい、ヒト族。よろしくな」


 ダバが挑発気味に、黒騎士へと声をかける。

 黒騎士は返事をしない。

 光のない目で、無表情のまま、じっとダバのことを見つめていた。


「ビビってんのか? おい、返事くらいしろや」


 だけど返事はない。


「ハッ。獣人風情とは言葉も交わせねぇってか? その思い上がりは、すぐに後悔させてやるぜ。やっぱり、ヒト族なんてカスしかいねぇ。雑魚の集まりだぜ。俺が殲滅してやるよ」


 試合が始まる。


「だらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 怒号の気合と共にダバが迷いなく上段から斬り込んだ。

 凄まじい突進力だ。


 それを黒騎士は斜めに構えた剣で受け流そうとする。

 冷静な動きだ。


 初手はどちらに軍配があがるのか。


 私は固唾を飲んで見守る。


 剣と剣がぶつかる。


「おおおおおおおおお!」


 ダバが体重を乗せて押し込む。

 これは、受け流そうとした剣ごと押し潰してしまうか!?

 と思ったけど――。

 黒騎士は剣だけでなく、体も上手にひねって、ダバの一撃を横にずらした。

 ただ、あぶないところだった。

 押し込まれた自分の剣が、額に触れていたし。


 まさに力こそパワー。


 そんなダバの一撃だった。


 私はダバのことを見直した。

 正直、勢いだけのやられキャラと思っていた部分はある。


 とはいえ――。


 試合は自体は、順当におわった。


 強烈な初手を躱した後、黒騎士は実に冷静に動いた。

 まるで詰将棋のように無駄のない攻撃を重ねて、ついにはダバの喉元に切っ先を突きつけたのだ。


「勝負有り! 勝者、黒騎士ラウゼン!」


 グラバムさんが告げる。


 戦いは黒騎士の勝利でおわった。

 圧勝と言って良かった。

 力ではダバが勝っていたけど、技の差が出た一戦だった。


「クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ダバは大きく吠えたけど――。

 結果に異存はないようで、後は背中を丸めて静かにテントの中に戻った。

 落ち込んでいることだろう。

 ただ、言ってもダバはまだ10代だ。

 これからいくらでも伸びる。

 今日の経験を、明日につなげていってほしいものだ。


 私たちは拍手で両者の健闘を称えた。


 次の試合となる。

 舞台に上がるのは、ロックさんと『ローズ・レイピア』のトーノさんだ。


「ロックさーん! がんばれー!」


 トーノさんには悪いけど、私はロックさんを応援する。

 ロックさんを推薦したのは私だしね。

 私の見る目が正しかったことを証明するためにも、ぜひとも、トーノさんもメガモウも黒騎士も打ち倒して。

 ロックさんには優勝してほしいものだ。


 試合が始まる。


 2人は同時に動いた。


 正面切っての激しい打ち合いとなる。


「すごいですね……」

「だねー」


 セラがつぶやいて、私はうなずいた。


 打ち合いは互角だ。

 2人とも速い。

 淀みなく流れる美しいトーノさんの剣は、まさに正統派だった。

 濁流のように激しいロックさんの剣は、まさに我流だった。

 スタイルは異なるけど、どちらもすごかった。

 普通の人には、切っ先がどこにあるのかすら、わからないことだろう。


 しばらく打ち合った後、2人は自然と距離を取った。


 お。


 赤い制服のトーノさんが、わかりやすく突きの構えを取った。

 ロックさんは受けて立つ気のようだ。

 それを見て、同じように突きの構えを取った。


 ふむ。


 私、思う。


 これはロックさんが不利な勝負ではなかろうか。


 トーノさんは、いかにも突きに慣れていそうだ。

 対してロックさんは、見よう見まね。

 正々堂々、度胸があるのは素晴らしいけど、ここは受けて立たず、力で押していくのがいいと思うけど……。


 2人の視線が重なる。


 呼吸を揃えるようにして、同時に動いた。


 勝負の時だ。


 と思ったのだけど――。


「え」


 思わず私は声を上げた。


 なんとロックさんが突きを放つモーションで跳躍しながらも、次の瞬間には勢いよく前転したのだ。

 そして、トーノさんと交差して――。

 間際、剣で足を払った。

 トーノさんが前のめりに転倒する。


 そこに剣を突き立てて――。


「勝負有り! 勝者、冒険者ロック・バロット!」


 ロックさんの勝ちとなった。

 さすがだ。

 この自由な発想というか、大胆なようで的確に死中に活を求められるのがロックさんの強さだね。

 正統派な人には、なかなか予測の難しい動きだ。


「わりぃな、お嬢さん。泥臭い戦法でよ」

「いえ――。並の度胸と反射神経では無理な技です。さすがはSランクに認定された冒険者です。御見逸れしました」

「お嬢さんも強かったぜ。本気で驚いたよ」

「ありがとうございます」


 2人は爽やかに握手を交わした。

 私たちは拍手で称えた。







試合はさくさく進行です\(^o^)/

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