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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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767 御前試合




 時間が来た。

 私たちはメイドさんの案内で試合会場に向かう。

 試合会場は奥庭園だった。

 石畳の広場を試合場として、斜面の上に特設の観客席が作られていた。

 座席数は100。

 完全指定席だ。

 試合場の左右にはテントが立っていた。

 テントの中では水魔術師や騎士の皆さんが待機して各種事態に備える。

 選手の控室は、会場から少し離れた場所に用意されていた。


 観客席には見知った顔があった。

 ブリジットさんにルルさんに、ノーラさん、ダズさん、グリドリーさん。

 『赤き翼』のメンバーがロックさんの応援に来ている。

 ウェーバーさんもいた。

 挨拶したかったけど、残念ながら席は離れていた。

 私はセラのとなりに座る。

 上位の貴族席だ。


 私たちが着席した後で、バルターさん、ローゼントさん、アロドさんの御一行が現れて着席した。

 帝国貴族を代表する三公爵とその関係者の皆さんだ。


 最後に、陛下と皇妃様。

 そして、その2人に案内される形でユイたちが来て――。

 観客席は埋まった。


 お兄さまとウェイスさん、それに白騎士の鎧を身に着けたロディマスさんは眼下の試合場にいた。

 お兄さま御一行は運営委員のようだ。


 試合場には、審判を務める騎士団長のグラバムさんの姿もあった。

 魔術師団長のアルビオさんもいた。

 アルビオさんは、部下と共に会場に保護の魔術をかけているところだった。


 帝国の重鎮、まさに勢揃いだ。


 思いつきで始めた企画だけど、いつものことながら、うむ、まったく大事になってしまったものだ!


 さあ。


 いよいよだ。


 会場の準備が整って、楽団が勇壮なファンファーレを奏でる。

 ファンファーレの後は陛下からのお言葉だ。

 その中で、非公式ではあるけど帝国に来てくれた賓客――ユイとエリカとナオの紹介も行われた。

 3人はこの場では、紹介を受けただけで何かを語ることはなかった。


「――尚、この戦いは余興だ。

 四カ国の戦士と冒険者が、互いの力量を確認する交流会のようなものだ。

 それを踏まえた上で、皆には楽しんでほしい。

 俺からは以上だ」


 最後にそう語って、陛下の挨拶はおわった。


 続けて、文官の女性がマイクを握る。

 その人の紹介で選手の入場となった。


 最初に入ってくるのは、Sランク冒険者のロックさん。

 観客に手を上げたりして、気負いのないリラックスした姿を見せてくれた。

 さすがだ。

 服装は、動きやすい私服だった。


「クウちゃん、ロックさんですね。勝てるといいですね」

「うん。そだねー」


 セラの言葉に私はうなずいた。

 私はロックさんが勝つと思っているけど、果たして、どうなるか。



 次に紹介されたのは新獣王国の戦士ダバ・ボヤージュ。

 ガニ股歩きでヤンチャに入ってくるのかなぁ……。

 なんて思っていたけど、意外にも普通だった。

 少しは空気が読めるらしい。

 服装は、相変わらず着崩していたけど。


「クウちゃん、獣王国の方は、やっぱり戦い慣れしているんですね。いつでも戦えるように動きやすい格好なのですね……」

「……あれは、イキってるだけかも知れないけどねぇ」



 次は、『ローズ・レイピア』の2名。

 赤い制服姿の少女たちだ。

 クールなトーノさんと、悠然した立ち振舞のお嬢様。

 観客席からは、あれが『ローズ・レイピア』の戦士なのかと、いくらかの驚く声が聞こえた。

 正確にはメイドなんだけどね。

 いずれにせよ、学院生と変わらない年代の少女たちなのだ。

 驚くのは自然だろう。


「クウちゃん、この方たちって、やっぱり死の訓練を受けて、何度も死んじゃってるんですよね……」

「だろうねー。でないと、一気に強くはなれないし」

「そかー」


 と、これはセラです私ではありません。

 言ってから、セラが突っ込んでほしそうにチラチラと私を見てくる。

 私は気づかないフリをした。

 いや、うん。

 露骨に期待されちゃうと、逆に反応できないよ!



 さらに、『ホーリー・シールド』の2名が試合場に姿を見せた。

 メガモウと熊族の獣人。

 白い制服に身を包んだ、どちらも筋肉の巨躯だ。

 年齢は、2人とも20代の前半くらい。

 ロックさんと同年代だね。

 『ローズ・レイピア』の少女たちのとなりに立つと、その大きさとその小ささがどちらも際立つ。


「クウちゃん、聖国の代表は筋骨隆々ですね……」

「だねー」

「わたくしが聖国でお会いした『ホーリー・シールド』の方は、貴公子然とされた方ばかりだったので、少し驚いています」

「あはは」


 まあ、うん。

 メガモウは蛮族系だよねえ、実際。



 最後は黒騎士だった。

 なんか、うん。

 なるほど、と、私は思った。

 黒服に身を包んだ大柄な男2人からは、なんの感情も感じない。

 気合も殺意もなく、淡々と歩いてきた。

 顔も、完全に無表情。

 目に光はない。

 まるで、黒いモヤを身にまとっているかのような、そんな得体の知れない不気味さだけが2人には存在していた。

 年齢は、どちらも30代の半ばに見えた。

 まさに全盛期な人たちだ。


「クウちゃん、お祖父様の部下の方に変なことは言えませんけど……。なんだかすごく怖いですね……」

「そだねえ……」


 まさに闇の属性な感じがする。

 ゼノが、バッチリ教育できたと言い切るわけだ。

 とはいえ、条件としては――。

 半年以上前から訓練を受けてきた、聖国のメガモウたちと王国のトーノさんたちの方が有利だ。


 果たして、どんな結果になるか。


 もうすぐ判明する。


 ワクワクしてきましたよ!


 お兄さま立会の下、試合場でクジが引かれる。

 最初の戦いが決まった。


 ダバvs黒騎士。


 感情むき出しなヤンチャ君と、感情ゼロな闇の騎士。


 対極な者同士の対決だ。


 いきなりすごいことになりそうだ。





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― 新着の感想 ―
[一言] ロックさん頑張れーと思ってる ダバ君は黒騎士とか容赦ない組み合わせだw
[良い点] いつも楽しく読んでます! いよいよ始まる戦い! 負けたら駄目な戦いでないから誰が優勝かわからないけど、作者様も書いてて誰を勝たせるか大変ですががんばってください!? [一言] 好きな…
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