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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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766/1359

766 大宮殿に到着!





 ユイたちを乗せた3台の馬車が、大宮殿の正門前ロータリーに到着した。

 トラブルなく、無事に到着することができた。

 ロータリーでは陛下と皇妃様が馬車の到着を待っていてくれた。


 ユイたちが降りてくる。


 最初に陛下が歓迎の言葉を伝えた。

 それに続いて、皇妃様がまた会えて嬉しい旨を口にする。


 返答するのはユイ。

 次にエリカ。

 エリカは、改めてという形でナオのことを紹介する。


 ナオ・ダ・リム。

 ド・ミ新獣王国の戦士長。

 新生の英雄。


 ナオは、エリカやユイと同様に、以前のお茶会の時に陛下や皇妃様とも会っているので初対面ではない。

 だけど当時とは肩書きがまるで違う。

 当時はまだカメの子で、苦し紛れに竜騎士とか名乗っていた。

 改めての紹介は必要だろう。


 紹介を受けてから、ナオが自分の口で挨拶をする。


「再びお会いできて嬉しく思います。今日は、選ばれし戦士たちの力比べを楽しませていただきます」

「ああ。楽しんでいってくれ」


 ナオと陛下が握手を交わす。


 その後、陛下たちは、セイバーなリト、メイド長なハースティオさんにも気さくに挨拶をした。


 私はちらりと、うしろにいる参加者たちの姿を見た。


 暴れ牛と熊人の大男コンビは、問題なし。

 ビシッと直立している。


 赤いスーツに身を包んだ美少女コンビも、問題なし。

 実に洗練された立ち姿だ。


 ナオのところの黒豹族、ヤンチャ君のダバは……。

 なんか、うん……。

 ボロボロなんだけど大丈夫なのだろうか……。

 戦う前からダメージを受けているね……。

 ただ、そのおかげか、微妙にフラフラながらも、悪態をついたりすることはなく大人しく立ってはいた。


 最後に陛下が参加選手たちにエールを送って――。

 最初の挨拶はおわった。


 選手たちは、それぞれの控室に案内される。

 ユイにエリカにナオ、それにセイバーとハースティオさんは、陛下と皇妃様と共に応接室に向かう。

 ちなみにダバの傷は、ナオがこっそりと光の魔法で癒やした。


「君には期待している。忘れないでくれよ」


 ナオがそう言うとダバはぶっきらぼうに、


「ハッ! 知るかよ!」


 と、思いっきり示威的に、ガニ股で、肩で風を切って歩いていった。

 うん。

 ヤンチャ君だね。

 というか、戦士長のナオってクールなんだねえ。

 声も低く抑えているし。

 私の知っているナオとは完全に別人だ。

 というか、もしかして。

 ナオ……。

 前世のハマーン様をイメージしていたり、しないだろうか。

 なんかそんな気がする、そこはかとなく。

 まあ、いいけど。



「クウはどうする? 我々と一緒に応接室に来るか? それともセラフィーヌたちのところに行くか?」


 陛下に聞かれて、私は迷わず後者と答えた。

 いや、うん。

 だって、ね。

 一緒に行って難しい話を聞いても……。

 私の小鳥さんブレインは反応しないし、眠くなるだけなのです。


 というわけで。


 私は、セラたちがいるロビーに行った。


 ロビーにはセラとアリーシャお姉さま、それにメイヴィスさんとブレンダさんの姿があった。

 他にも、今日の御前試合を見に来た人たちの姿がある。


 ゼノとフラウとヒオリさんもすでに来ていた。

 3人は食べていた。

 なにしろロビーには、豪華な軽食がたくさん置かれている。


「やっほー」


 私はセラたちのところに行った。


「クウちゃんっ! おはようございます! ユイさんたちの送迎は、もうおわったんですか?」

「うん。今、おわったとこー」

「そうですか。わたくしも会うのが楽しみですっ!」

「さあ。クウちゃんも座ってください。一緒にお話ししましょう」


 お姉さまに誘われて、私も席に着いた。


「面白い話、いくらでもあるんだろ? 聞かせてくれよ、師匠」


 ブレンダさんが身を乗り出してくる。


「ブレンダ、がっつくものではありませんよ」


 メイヴィスさんは物静かだったけれど――。


「――それで、この夏には、どんな悪党をどのように退治したのですか? やはり楽勝でしたか? それとも苦戦しましたか?」


 質問の内容は具体的だった。


 ここでお姉さまが割り込んでくる。


「ねえ、クウちゃん」

「はい」

「クウちゃんは今夏、いろいろなところに行ったと思いますけど。そう言えばサンネイラには行ったのかしら?」

「……サンネイラ、ですか?」

「巷で有名な、食の都ですわ」


 あー、わかった。

 お姉さまは他人事みたいに言うけど……。

 お姉さまと仲良しになったトルイドさんが次期領主の町だね。


「お姉さま、お顔が赤いですけど、大丈夫ですか?」

「気のせいです……っ!」


 こんな時には敏感なセラに気づかれて、慌ててお姉さまが顔を背ける。


「すみません、行っていないです」


 私は苦笑して答えた。


 この後はしばらく、私の夏の出来事を差し障りのない範囲で話した。

 特に海洋都市で、ファミリーの連中をぶっ飛ばした話を中心にして。

 メイヴィスさんとブレンダさんには本気で羨ましがられた。

 とはいえ、ブレンダさんはブレンダさんで、今年もまた、ザニデア山脈から溢れ出した魔物との死闘を繰り広げてきたそうだ。

 メイヴィスさんはゼノの訓練を見学して、なにやら「強くなること」に哲学めいた想いを抱いたようだ。


「……夢と現には、どんな違いがあるのでしょうか。

 ……あるいは私たちの人生も、夢――。

 ……露のように落ちて、露のように消えるだけのものなのでしょうか」


 なんて言っている。

 哲学だ。



「そう言えば黒騎士の人たちって、どうなったんですか?」


 私は、何気なく聞いてみた。

 ゼノは自信満々だったけど、まだ黒騎士さんたちとは会っていない。

 するとメイヴィスさんは物憂げに微笑んだ。


「――ええ。強くなりましたよ。それこそ、黒き騎士として」

「そかー」


 さすがはゼノ。

 キチンと仕事はこなしたか。








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