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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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758 東屋でおしゃべり




 こんにちは、クウちゃんさまです。

 私は今、奥庭園の東屋で、陛下と皇妃様、それにセラとの4人で、お菓子と紅茶を楽しんでいます。

 話題はもちろん、セラの一ヶ月の修行のことです。

 私も話を聞くのは初めてだったのですが、壮絶だったみたいです。

 正直、ちょっと血生臭くて……。

 セラはごく普通に話すのですけれども……。

 私は引きました。

 引いたけど、同時に、治療行為の大変さを知ることができました。

 いい勉強になりました。


 その話に一区切りがついたところで、私はたずねた。


「そういえば今日は、お姉さまたちはどうされたんですか?」

「もちろん3人ともセラフィーヌの帰りを待っていたぞ。あとでぜひ、話を聞かせてやってくれ」


 陛下が言う。


「一緒でよかったのにー」


 私が笑うと、合わせて皇妃様が笑った。


「ふふ。アリーシャとカイストはともかく、ナルタスに他国に関わるような話はまだ早いでしょう? うっかり誰かにしゃべってしまえば、大変なことになる可能性もありますしね」

「なので我慢してもらったわけだ」


「クウちゃん、出かける時からそういうことになっていましたので。あとでまたお話ししようと思います」


 セラには話が通っていたようだ。

 なら、まあ、いいか。

 私が気にすることではないよね。


 この後、陛下と皇妃様は、セラのことを褒めた。

 ひとしきりセラの頑張りを認めたところで――。


「さて」


 と、陛下が態度を改めて、それからわざとらしくにっこりした。


「――では次に、クウ君の話を聞かせてもらおうかな?」

「というと、やっぱり獣王国の話ですか?」

「もちろんだとも。クウ君は、新生の宣言は聞いたのだろう?」

「素晴らしかったですよー」


 というわけで、話して聞かせた。

 その後でたずねる。


「……で、なんですけど。実はジルドリアで、獣王国とトリスティンの停戦条約を結ぼうって話になっているんですけど、よかったら陛下も来ませんか? 聖女のユイちゃんも来ますよ」

「獣王国とトリスティンとで、すでに和平の話が出ているのか?」

「いえ、エリカがそうしようって言っているだけです」

「簡単にまとまる話とは思えんが……」

「そうですねえ。実際に行うのは先になるかもですけど。一応、計画としてはということで。あ、それよりも大事なことがありましたっ!」

「なにかな?」


 陛下がニッコリと笑った。


「というわけで、めでたく獣王国は新生したわけなのですが――。リゼス聖国とジルドリア王国は、近い内に獣王国を国家として認めて、国交を結ぶ予定なんですけれども……。帝国もどうですか?」


 私的には、4国が仲良くしてくれると嬉しい。

 なにしろ4国とも縁が深いし。


「なあ、クウ君。まずは確認なのだが」

「はい。なんですか?」

「獣王国は、今や日の出の勢いだろうが――。他地域に住む獣人に対しては、何か声明を出す予定なのだろうか」

「えっとお……。と、言いますと……」

「たとえば、すべての獣人は独立するべき、とかだな」

「あー。なるほどー」

「どうかな?」

「ないと思いますよー。そんな話、聞いたこともないしー」

「たとえば、聖女ユイリアの後ろ盾でそれを行えば、帝国とて大混乱に陥ることは必至なのだが」

「あー。それはそうかもですねー」

「だろう? そうなると、さすがに困るのだが」

「じゃあ、言っときますねー。あ、というか、直接、言ってくださいよー。御前試合の時にでも」

「ああ、そうだったな。薔薇姫エリカと聖女ユイリアは、結局、御前試合には顔を出せることになったのか?」

「あ、えっと。エリカの方は来れるそうです。ユイはちょっとまだ……」

「薔薇姫とだけでも十分に話はできる。感謝するぞ」


 黒騎士とホーリー・シールドとローズ・レイピアの代表、そしてロックさんを加えて帝国で行われる御前試合は9月5日の予定だ。

 今朝、ユイに参加の確認をしようと思っていた。

 だけど……。

 いきなりセラが「クウちゃんだけに!」とか叫ぶものだから……。

 完全に消し飛んでしまっていたよ……。

 忘れない内に、あとで聞きに行こう。


「ナオにも声はかけますけど……。来れなかったらすみません。さすがに忙しいと思うので、無理は言えません」

「それは当然だろうな。直前でもいいので、決まったら教えてくれ」

「はい。わかりました」


 ナオとは9月4日に会う予定だ。

 9月4日は、朝の6時から2時間ほど、前世組会議の予定なのだ。

 前日になってしまうけど、その時に聞いてみよう。

 というか、4日のことすらユイには知らせていなかった。

 エリカには、話が決まってすぐに伝えたけど。

 ユイは全国行脚の最中だったので……。

 どちらも今日、伝えるつもりだったのだ……。


 これはいかん。

 また忘れる前に、今、済ませよう。

 その方がいい!


 というわけで。


 御前試合の確認という名目で、私はその場で転移してユイの家に戻った。

 ただ、すでにユイは大聖堂の執務室に居場所を変えていて、ホーリー・シールドの隊員から報告を受けていた。

 とても忙しそうだったのだけど私も忙しいので、ソード様になって緊急の相談事項だと言ってしまった。

 ユイに話をすると、どちらも了承してくれた。

 仕事はたまっているみたいだけど……。

 4日は朝だけなので、実質的にお休みするのは5日だけということで。

 なんとか都合をつけるそうだ。

 リトからは、ゼノへの伝言を受けた。

 そういえばこの御前試合の発端は、ゼノとリトの喧嘩だったね。

 どちらかニンゲンをツヨツヨにできるのか、という。


 東屋に戻るとセラがいなかった。

 セラはお兄さまたちのところに旅の話をしに行ったようだ。


「クウちゃんはもう少しお願いしますね。クウちゃんとの今回のお話は、さすがにナルタスには聞かせられませんし」


 皇妃様が微笑む。

 なんか、はい。

 まだ逃さないという笑顔ですね、わかります。


 結局、陛下と皇妃様とは、ランチまでご一緒することになった。








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