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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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752 短剣




 正直、危ないところだった。

 上から目線でお説教をして反省させるつもりが、あやうく虎族の連中に言い負かされるところだった。

 だけど、助かった。

 何故ならば、武器を抜いて襲いかかってくれたからだ。

 しかも、タイミングを合わせて一斉に。

 あっという間に私とフラウは囲まれた。


「うん。やっぱり君たちの中に一般人なんていないよね。どう見てもプロの戦闘集団の動きだよね」


 知ってたけど。


「残念だが、この距離なら魔術は使わせんし、竜にも戻らせん。少しでも動けば制圧させてもらうぞ。おまえたちの正体は暴かせてもらう。銀狼族など、すでに王家の器でないことの証明としてな」

「任務は、まだまだ達成可能ってこと?」

「ふふ。そうだな」


 というわけで制圧した。


 ホント。

 イヤだよね。

 なんでもすぐ、力で解決しようとするヒトたちってさ。

 まあ、うん。

 正直、有耶無耶にできて助かったけど。


「あ、そうだ」


 私はしゃがんで、倒れていたゴウ・キに目を向けた。

 ゴウ・キには、まだ意識があった。


「これ、返すね」


 私はゴウ・キの手に、短剣を握らせた。


「これは……。金虎族の短剣……」

「以前に私がルルさんから貰ったものだけどね。ノノを救ったことへの感謝を込めて金虎族の長からという話で」


 ルルさんはノノの姉で、ロックさんのパーティーメンバー。

 今は帝国に住んでいるけど、去年に一度、大量の物質をお土産にして故郷の大森林に帰っている。

 その時にノノの話を聞いたそうだ。

 ルルさんには、ちゃんと正確に話は伝わっていた。

 なので私に渡してきたわけだし。


「でも、話が違うみたいだし、もういらないから返しておいて」

「貴様……。何故、ルル様の名を知っている……」

「あと、伝言ね。精霊と竜は、大森林と新獣王国の友好を望んでいます。暴力的な挨拶は許しません。わかった?」


 残念ながらゴウ・キからの返事はなかった。


「フラウからは何かある?」

「妾はこいつらの王に、嘘を撤回しないのであれば町を滅ぼす、と言おうと思ったのであるが……」


 なんて物騒な。


「しかし、クウちゃんが友好をと言うのであれば、友好でいいのである」

「だ、そうです。よかったね」

「……伝言は伝えておく。おまえたちの名は?」

「青い髪の少女と、角の幼女。本当に精霊と竜のことを知っているなら、それだけで通じると思うよ」


 よし。


 なんとなく綺麗に話をまとめることはできた!

 襲いかかってくれてありがとう!

 ぶっ飛ばして、一方的に話をするなんて、野蛮なことだけど……。

 正当防衛しただけだし、いいよね!

 うん。

 問題はなしっ!


 さて。


 これで虎族については片付いたんだけど……。


「あ、奥で、必死に呪具を構っている人ー。呪具はとっくに無効化されているから構うだけ無駄だよー。

 杖を振っている人も残念だけど無駄だよ。

 貴方たちの魔道具は、すべて、ガラクタになっていますよー」


 虎族以外の人も、なかなかに問題がありそうだ……。

 全員、獣人なのにね……。

 いや、違うか……。

 獣人に変装したヒト族も何人かいるね……。

 よほどの恨みがあるのか。

 金で雇われたのか。

 残りの連中は、背後関係を調べるためにナオに引き渡した方が良さそうだ。


 いや、うん!


 ヒト族についてはトリスティン送りにしよう!

 私は送りたい!


 というわけで、再び『昏睡』した。

 魔物に襲われないように、結界は張っておいてあげる。


 虎族の人は――。

 まあ、ここでお帰りいただこうか。

 ナオに引き渡しても、テロ行為自体は未遂だし、相手にするだけ面倒になることは請け合いだ。

 とはいえ、80人を転移するのは面倒すぎる。

 岩山から下ろして、あとは勝手に帰ってもらうことにした。

 怪我は治してあげました。

 ただ、嫌がらせとばかりに、帰りがてら獣王国の人たちに暴力的なことをされてはたまらないので――。

 どうしようかと思ったんだけど――。

 フラウがやってくれた。

 工房の迷惑客を追い返すために使っている催眠術だ。

 ゴウ・キを始めとする中心人物にかけて、大森林に帰るまで、獣王国の人に迷惑をかけるヤツは絶対に許さない!

 とさせた。

 というか、アレだね。

 最初から催眠術で好きにしてもよかったね。

 まあ、いいか。

 それはなんか、高慢が過ぎる。

 伝言だけでよしとしておこう。

 道中については、彼らは屈強な者ばかりだし、問題はないだろう。


「じゃあ、元気でねっ!」


 ポカンとした虎族の人たちを岩山の麓に残して――。

 私とフラウは空に浮き上がった。


 なんだかんだで、かなり時間が過ぎてしまった。


「フラウは先に戻ってて。私はヒト族の連中をトリスティンに送ってくるから。新獣王都の空の上で合流しよう」

「わかったのである」


 さて。


 ソード様に着替えてっと。

 獣人に変装していた5人のヒト族をまとめてっと。

 転移。

 そして、いつも通り、銀魔法で捕虜を浮かせて、姿を消して、トリスティンの王城に外から忍び込んでっと。

 んー。

 どこにしようかなー。

 今日は時間もないし、庭の噴水のところでいいか。

 ちょっと適当だけど。

 あとは手紙だね。



 ラムス王へ。


 こんにちは。元気ですか? 私は元気です。

 こいつらはテロリストです。よろしくお願いします。



 と。


 これでいっか!


 時刻は11時30分を過ぎてしまっていた。


 さあ、時間もないし戻ろう!








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― 新着の感想 ―
[一言] 最近も嫌な事件もありましたし、平和にできたらいいのにね〜 力しかないのかな〜 話し合ってほしいねこの世界はせめて
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