748 8月29日
「「「「「白天の世界に輝く、たったひとつの青い星!
クウちゃんさま!
我らを照らす大空の頂!
クウちゃんさま!
究極の剣士にして、至高の師匠!
クウちゃんさま!
ようこそ!
おいで!
くださいましたーっ!
我ら一同、心より嬉しく思います!」」」」」
うわー。
予想はしていたけど……。
凄まじいハイテンションで一糸乱れない大歓迎を受けましたよ……。
どうしてこうなった……。
まあ、うん。
でも……。
南の島のリザードマンたちみたいに、クウちゃんだけに、くううう! とか大合唱しないだけマシなのかな……。
セラが関わっていなくてよかったね……。
どうもこんにちは、クウちゃんさまです。
今日は8月の29日。
私は朝から、騎士団の屋内訓練場に来ております。
私を待ち構えていたのは白騎士の皆さん。
私が以前、ボルケイノ24スペシャルで鍛え上げた方たちです。
加えて、ロロルト寺院でゼノの特訓を受けた皆さんもいたけど、まったく同じテンションで叫んでいた。
すごいね。
ともかく。
総勢36名。
白騎士隊の初期メンバーとなる精鋭の皆さんだ。
今日はこれから、皆さんの鎧を作る。
早速、並んでもらって、1人ずつサイズを決めていったんだけど……。
なんかもう。
きらっきらの瞳で、きらっきらに見つめられて……。
すぐに逃げたくなった。
なんだ、これは。
ただ私は、これでも帝都の工房主。
気合で仕事はこなしますよ!
「そういえばお兄さま、付与はどうしますか?」
「付与? ああ、強化魔法のことか」
「はい。宝石が必要になるので金貨1枚はいただきますけど、耐久力向上の付与はオススメですよ。ホントに壊れなくなるので」
「では、頼もう」
「はーい」
宝石は、ウェーバーさんがすでに納品してくれたので大量にある。
剣と盾と鎧、すべてに付けることになった。
計、金貨150枚。
1500万円。
うん。
大金のはずなんだけど、なんかもう慣れた!
小銭にすら感じるこの恐怖!
ともかく1人ずつ、サイズにはある程度の余裕を持たせつつ、白騎士に相応しい見事な鎧を生成していった。
剣と盾は、こだわりがなければ規定のサイズで作った。
列にはロディマスさんもいた。
ロディマスさんは、去年まで学院生だった。
お兄さまに認められた努力家の青年だ。
そのロディマスさんまで、なぜか、私のことをきらっきらの瞳で見つめてくる。
ロディマスさん、そんなキャラでしたっけ……。
とりあえず気にしないことにして、鎧はキチンと作ったけど。
36人分の武具を作った後は、残りの14組。
こちらは予備。
あるいは、追加の隊員用だ。
鎧のサイズについては、平均的なものを7組。
小を3組。
大を3組。
極大を1組で作った。
極大は、将来のマウンテン先輩用!
すべて完成させるのには、体力回復の休憩とランチタイムを挟んで、午後3時まで掛かった。
疲れた。
代わりに私のアイテム欄には大量のお金が加わった。
お兄さまは気前のいいことに、ランチタイムの後に即金で支払ってくれた。
ざくざくだ。
仕事がおわった後は、すぐに帰った。
白騎士隊の人たちは、これみよがしに訓練場で訓練をしていたけど。
私は付き合わない!
なにしろ、昨日からずっと生成ばかりしていたのだ。
本当に疲れているのだ。
ただ、うん。
白騎士隊の人たちは、きらきらしているだけではなかった。
わずか一ヶ月で本当に強くなっている。
そのことはよくわかった。
帰り道――。
私は空に浮かんで、ふわふわとしながら――。
あらためて所持金を確かめる。
お兄さまからの支払いは半分が聖星貨だった。
聖星貨は1枚で金貨千枚になる、大きな取引で使われる特別な貨幣だ。
金貨に換算して計算すると――。
うむ。
ついに所持金は、金貨10万枚すなわち100億円を余裕でオーバーしていた。
思わず、むふふ、と頬の力が緩んでしまうね。
いや、うん。
そんなにいらないとは言いつつも――。
たくさんのお金があるのは、やはり心が踊るというものだ。
何に使おうかなー。
有意義な使い道があるといいけど。




