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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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742 クウちゃんさまの懐事情





 8月11日になった。

 ふーむ。

 気のせいか、あっという間に時間が過ぎていく。


 今日、私は久しぶりに午前からお店にいた。

 お店は開けたけど、まだお客さんは来ていない。


「じゃあ、エミリーちゃん。行くよー」

「……はいっ!」


 エミリーちゃんを膝に乗せて、手のひらを重ねて、イメージを伝えつつ定番商品のランプを生成する。

 エミリーちゃんの後はフラウを膝に乗せた。

 最後はヒオリさん。

 ヒオリさんは、膝に乗せるには大きかったけど……。

 なんか、うん……。

 無理やり乗ってきたのでしてあげた。

 3人は今のところ、まだ私のように生成は出来ていないけど――。

 感覚は掴めてきたそうで、自力で『クリエイト・ゴーレム』を成功させる日は近いのかも知れない。


 魔法の指導をしているとお客さんが来た。

 今日の最初のお客さんは、執事さんを連れた御婦人だった。

 フラウとエミリーちゃんが、さっと接客に出る。

 すでに慣れたものだ。

 御婦人の方も、小さな女の子たちが近づいてきても戸惑う様子もなく普通に笑顔で応対している。

 初めてのお客さんではないようだね。


 私の出番はないかな。

 私は大人しくカウンターにいた。


 ユーザーインターフェースを開いて、なんとなく残金を確認する。

 最近、私は盛大にお金を使った。

 それでも実は、まだ私の所持金は半分くらい残っている。


 おそるべしだ……。


 ウェーバーさんと契約した各種グッズのライセンス料。

 国に卸した武器や防具や魔道具の売上。

 皇妃様とその紹介のあった人に売ったミスリル配合な装飾品の売上。

 純粋な、ふわふわ工房の売上。


 すべて大儲けなのだ。


 あと、これは誰にも言えないけど、うちの工房は無税……。

 維持費もタダ……。

 定期的に大宮殿からメイドたちさんがやってきて、必要なメンテはすべてやってくれるのだ……。


 そして、従業員は無給!

 私はエミリーちゃんとフラウに、銅貨1枚すら支払っていない!

 ヒオリさんからは、毎月、家賃をもらっている!


 うむ。


 私としては、もちろん、ね。

 エミリーちゃんとフラウに給料は出したいのだ。

 だけど、フラウは頑なに、私からお金をもらうなんてとんでもない!

 と言って拒否してくる。

 エミリーちゃんも、オダンさんが受け取りを拒否している。

 むしろオダンさんは、授業料といって私にお金を渡そうとしてくる。

 オダンさんは、まったく人が良すぎて困る。

 もちろん、断っているけど。


 税金については、うん。

 タダならタダで、ありがたく享受するのみです。

 私、ふわふわのクウちゃんなので、どっちにしても、なんか難しいことを言われてもわからないのです。


 お。


 お客さんが夏季限定の精霊ちゃんぬいぐるみを買ってくれるみたいだ。

 夏季限定の精霊ちゃんオルゴールも!

 おお。

 ランプもみたいだ。


 ちなみにお値段は……。


 夏季限定の精霊ちゃんぬいぐるみは、銅貨6枚。

 約6000円。

 白いワンピースを着た空色髪の女の子の、とても夏らしい、手の込んだぬいぐるみなのです。


 夏季限定の精霊ちゃんオルゴールは、銀貨8枚。

 夏季限定の精霊ちゃんランプも、銀貨8枚。

 どちらも約80000円。

 オルゴールには夏の精霊ちゃん人形が乗っている。

 ランプには夏の精霊ちゃんを描いた。

 どちらも可愛くて清涼感があって、素材には贅沢に銀も使って、見るからに高級品なのです。


 はい。


 ノーマルのぬいぐるみは、銅貨4枚。

 ノーマルのオルゴールとランプは銀貨6枚。


 限定品は高いのです。


 まあ、うん。


 ノーマル品も高いんですけどねっ!


 これは、うん。


 最初はすべて、この半値だったんだけど……。


 ウェーバーさんとライセンス契約して、『ぬいぐるみマート』が中央広場で類似品の販売を始めて――。

 その時に、向こうとのバランスを取って一気に価格を倍にしたのだ。


 まあ、うん。


 その当時って、うちの店も人気になっていて――。

 押し寄せるお客さんを捌くのが大変すぎて減らしたかったので、まあ、いいかなーと思ったのだ。

 基本はぬいぐるみマートの方で買ってください的な。

 実際、それでお客さんは減った。

 前みたいにごった返すことがなくなったので、正直、よかった。


 今、来ていたお客さんは、結局――。


 限定ぬいぐるみ5個。

 限定オルゴール1個。

 限定ランプ1個。

 あと、お試しで作って棚に乗せておいた金貨5枚のチェーンショルダーバッグを買ってくれた。


 金貨5枚、すなわち約50万円。

 売っておいてなんだけど……。

 小さな女の子が店番しているアットホームなお店で買うような価格の商品でないことは確実だ。

 商品自体は、以前に商業ギルドで買った最高級の牛革を素材にして、私のカンストな革細工技能で仕上げている。

 デザインは生成リストのデフォルト通りだけど、ぶっちゃけ前世の大人気ブランド品にそっくりだ。

 お値段通りの価値は、あると確信している。


 ともかく、その金額を普通に支払えるのが今の工房のお客さんなのだ。

 そして私の懐は、大いに膨らんでいくのだ。


 商品は、ふわふわ工房のショップバッグに入れてお渡しする。

 もはや高級店なので、頑張って作った。

 シンプルながらオシャレなバッグだと自負しているっ!


 今は他にお客さんもいないので――。

 外に出て、馬車で立ち去るお客さんをお見送りした。


 ちなみに子供がやっているからと言って侮ってくるお客さんは、残念ながら極稀にいるそうだ。

 私がいる時ならトリスティン送りだけど――。

 フラウは優しいので、イラッとした程度に合わせて闇の魔力で暗示をかけてお帰りいただいているそうだ。


 そんなこんなで。


 ふわふわ工房は今日も営業中なのであります。


 そして、昼になって――。


 お店にお兄さまがやってきた。


 今日は事前に連絡を受けて、お兄さまが白騎士隊の装備の相談がしたいというので実は待っていたのだ。





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― 新着の感想 ―
[一言] トリスティンは確かに国の名前でゴミ捨て場ではないような気がするが...
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