表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

726/1359

726 相変わらず治安が悪かった





 こんにちは、クウちゃんさまです。


 海洋都市に着いた私は、早速、以前に食べて美味しかったレストランに行きました。

 でも、注文して、そこで出てきたバーガーは……。

 あり得ないくらいに酷いものでした。

 文句を言ったところ、出てきたおじさんに泣かれてしまいました。


「なんでもない、なんでもありませんから。もうお店を出ていってください……。すみませんでした……」


 そう言われても、心配すぎる。

 明らかに、どう考えても、何かあったよね。


 と思ってたら――。


「おーい。なんだー」


 と、いかにも威圧的な声を出して、肩で風を切りながら、悪人面な狼族の男がお店の中に入ってきた。


「おいおい。相談に乗るって、おまえがかぁ?」

「うん。そうだけど……」

「なら乗ってもらおうか。そうだなぁ、」

「ま、待ってください。このお客さんには関係のないことですっ! お客さんはもう早く帰って――」

「黙ってろ雑魚――ぐはぁぁっ!」


 面倒なので蹴った。

 あっさりと、狼男は店の外まで吹き飛んでいった。


「おじさん、ごちそうさま。なんかトラブルがあるみたいだね。少しだけど世話を焼かせてもらうよー」


 テーブルにお金を置いて、私も店の外に出た。

 外にはさらに、いかつい男が2人いた。

 ヒト族と熊族。

 敵反応はあるし、見た目的にもまさにチンピラだった。


 とりあえず、2人とも蹴った。

 強めに蹴った。


 うん。


 海洋都市は、こういう場所なのだ。


 前に来た時に学んだ。


「……おい。おまえら、なに?」


 私は、倒れてピクピクしている3人を睨みつけた。

 だけど返事はない。

 すでに戦闘不能のようだ。


「ったく――。なにが雑魚だ。そっちだよね」


 どうしたものか。


 まあ、いいか。


 とりあえず、まだある敵反応は処理しておこう。

 実は、他にも6つあった。

 すごく自然な感じでお店のまわりにいた、一見すると普通の市民にしか見えない男が4人と女が2人。

 全員、緑魔法の『昏睡』で捕まえた。

 6人とも、鍛えられた体をして、武器を隠し持っていた。

 暗殺者だろうか。

 そんな感じがする連中だった。

 とりあえず武器は没収して、6人はダンジョンの隠し部屋に連行した。

 ドアをロックして閉じ込めておく。


 で。


 お店の外に戻ってくると――。


 今度はなんか、30名ものチンピラを引き連れた、いかにもファミリーのボスみたいな男が来ていた。

 当然のように敵反応が出ている。

 とりあえず、全員、問答無用で眠ってもらった。


 ふむ。


 よく見れば、チンピラ連中には、なんとなく見覚えがあった。

 前に来た時に、蹴り飛ばした連中のような気がする。

 ボスだけ叩いて起こしてみた。


「やっほー」


 私が笑いかけると――。

 ボスはまばたきした後、やや大げさに驚いた。


「青色の髪……。まさか……。貴様が噂の……」

「そだよー」


 なんの噂か知らないけど。

 とりあえず、私はうなずいておいた。


「おい! やれ!」

「もうみんな死んだよー」

「ひっ……」


 実際には死んでいないけど、みんなしっかりと寝ている。

 ボスはまわりを見て――。

 絶望して観念してくれるかと思いきや――。


「くくくっ! 馬鹿がぁぁ! 俺の戦力がこの程度だと思ったか! ここには高い金を出して雇い入れた凄腕の暗殺者共を潜ませているのだ! さあ、おまえ達、ついに出番が来たぞ! やってしまえ!」

「いないよ」

「は?」

「そいつらは、もういないよ」


 沈黙が流れた。


「どうした! 早くやれ! その凄腕の暗殺術を早く見せろ!」


 だけど返事はなかった!


 私の記憶が確かならば、とっくにダンジョン送りだ。


 よいしょっと。


 私はボスを担いだ。


「な、なにをする!」


 ボスはじたばたするけど、無駄だ。


「さあ、行こうか」


 にっこり。


 と、言っても、どこに行こう。

 んー。

 またトリスティンでいいかぁ……。

 たぶん、もう向こうも慣れたモンだよね……。


 というわけで。


 ボスを眠らせてっと。

 ダンジョンに転移してっと。

 ボスを床に置いてっと。

 ボスが身につけていたアクセサリーの類はすべて没収!

 財布も没収!

 金貨がジャラジャラと入っていた。

 もちろん武器も没収。

 その後で、ダンジョンに隔離しておいた暗殺者たちと一緒に、ロープでぐるぐる巻きにしてやった。


 で。


 いつものように、トリスティンのお城に連れて行った。

 なんかさすがに、町のチンピラのボスや暗殺者みたいなのを玉座に置くのは失礼に当たるよね……。

 なので今日は、どこかのホールにしておいた。


 真ん中に、ぽいっと。


 あとは手紙だよね。

 忘れちゃいけない。


 ラムス王へ。


 こいつらはチンピラのボスと暗殺者です。

 よろしくお願いします。


 と。


 んー、でも、アレかぁ。

 さすがに今回は、トリスティン関係なさすぎだよねえ。

 ただ頼むだけなのは申し訳ないか。


 私は一筆、添えることにした。


 よろしくしてくれたら、ちゃんとお礼をします。


 と。


 よしっ!

 かんぺき!


 よろしくしてくれたら、今度の手紙に、ちゃんと「ありがとう」って、お礼の言葉を添えよう!

 私は礼儀正しいのだ。


 というわけで、すっきりしたところで町に戻った。


 お店の前では、眠っていたチンピラ連中が、後から来た仲間に叩かれて、意識を取り戻していた。


「なにがあった! 誰にやられた!」


 とかの話をしている。


「もちろん私です」


 1人を蹴飛ばして、私は言った。


「青色の……。髪……」

「青色だ……」

「青色の魔王……」

「魔王だぁぁぁぁぁ! 青色の魔王が出たぞぉぉぉぉぉ!」


 なんか、心外な言われ様だ。

 どう考えても、悪党はおまえらだろうと。


 ともかく。


 私の仕事はまだおわらない。


 とりあえず、こいつらは全員、あらためてぶちのめした。

 増援もぶちのめした。

 途中から楽しくなって思わず笑ってしまった。

 最後の方はかなり逃げていったけど、まあ、うん、私は優しいので追いかけずに許してあげた。


 やがて、誰も来なくなった。


 私は1人で笑っていた。


 私が笑うのを止めると、あたりは静かになった。


 平和だ。


 その後で適当に1人……。


 まあ、最初に店に来た狼男でいいか。

 狼男は、最初からずっと失神したままだったけど――。

 起こして話を聞くことにした。

 最初は、誰が話すかとか言ってきたけど、何回か蹴り飛ばしていたら降参して素直に話してくれた。


 なるほど、だった……。


 レストランのおじさんは、無理やり借金を背負わされて……。

 店を取られて……。

 奴隷にされて……。

 クズ素材での料理製作を強要されていたのだ……。


 私は、おじさんとあらためて話をした。

 おじさんと息子さんは震えていたけど、リムーブ・フィアーの魔法で恐怖は取り除いてあげた。

 ホント、チンピラって怖いよね。


「ねえ、おじさん。いっそ、獣王のところに行くのはどう?」

「と言っても、伝手も金もないよ……」

「伝手はあるよ、ここに。お金の心配もいらないから、気持ちさえあれば後は私に任せてくれればいいよ」


 ナオからの許可は以前にもらった。

 というか頼まれていた。

 移住を希望する獣人がいれば、ぜひ連れて来てほしい、と。

 なにしろ、これから始まる新獣王国には、絶対的に住民が足りない。


 おじさんは迷ったけど――。

 息子さんが、ぜひ私の力を借りたいと頭を下げてきた。


「父さん――。僕たちはもう、すべて取られて、奴隷にされて、どうせ、これ以上に悪くなることなんてないよ。それならさ、獣王様の下で働かせてもらえた方が絶対にいいよ。行こう」

「――そうだな。お願いしてもいいのでしょうか」

「任せてっ!」


 おじさんと息子さんは二人暮らしだった。

 財産もない。

 なので、この場で即座に連れて行った。


 私が向かったのは、王女のクナが住まう獣人軍の砦だった。


 さーて。


 でも。


 ナオがいないと話が付けづらいなーと思ったんだけど……。

 幸いにもナオは砦に戻ってきていた。


 話はすぐに付いた。


 今代の英雄である獣将ナオ・ダ・リムに引き合わされて、おじさんと息子さんは驚きと感激で涙してしまった。

 2人には、砦の調理場で働いてもらうことになった。

 ボスから没収した金貨はすべて2人に渡した。

 砦での生活にお金は必要ないけど、市民として暮らすことになった時に有効に活用してほしい。


 その日の夕食は、誘われたので、ナオと一緒に取ることになった。

 小さな王女のクナも一緒だった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「 お 礼 」はあかんやろ……ラムス王可哀想すぎて笑っちゃう
[良い点] 大活躍! 水戸◯門も何年かけても悪人はいなくならないからね~ 掃除は大事!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ