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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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715 エリカ2



「エリカのところにも、トリスティンから何か来たの? ユイのところには苦情が来ていたけど」

「泣き付かれましたわ。聖国との仲を取り成してほしいと」

「そかー」

「だいたい、どうして、トリスティンの王城に、ソードとして貴族や刺客を投げ入れていますの?」

「自分で処理するの面倒だしね。ていうか、ソードの仕業になってるの?」

「なっているのというか……。クウがあえて、そうしたのですわよね?」

「最初の一回はね。あとは、秘密にしたつもりだけど」


 手紙に名前も書かなかったし。


 私がそう言うと、エリカに呆れられた。


「逆に、なぜ秘密にできると思ったのか、ぜひ聞きたいですの」

「ふむ」


 さすがはエリカ、良い質問だ。


 ここで気を取り直して、あれやこれや、連中を王城に放り込むまでの経緯をエリカに語って聞かせた。


「なるほど、そういうことですか……。たしかにそれは、クウが自身で処理するには面倒なことですの」

「でしょー」


 悪魔に手を貸していた貴族に商人。

 獣王国新王女の誘拐犯。

 城が落ちたのに現実を理解できない貴族一家。


 すべて、国に処理してほしい案件だ。

 私の手には負えない。


「正直、他はどうでもいいけど、ナオんとこの小さい子は私も知ってるし、次に手を出したら城を砂にする予定だよ」

「……そう言えば、トリスティンの港町で、船や建物がたった一晩で砂になったという噂を聞きましたの」

「あー。うん。それも私だねー」

「それを聞いて、逆に安心しましたの。そんなことを出来る存在が他にもいたら大変すぎますの」

「あははー」


 まあねー。


「本当にもう。中立という話はどこへいったのやら」

「え。中立だよ、私」

「どこがですの」

「だって、今回のあれこれって、悪魔とナオに関わることだけだし。他のことは知らないよ?」

「まあ、そうですわね。ともかくクウとしては、具体的にこうしろという意思はないわけですのね」

「ないよー。よしなにお願します」

「わかりましたの。ユイと協議の上、無難に進めますの。あと獣人軍は、やはり快進撃を続けているのですね」

「だねー。旧領奪還は時間の問題だと思うよー」


 なにしろ戦いにもなってなかったし。


「ナオは元気でしたの?」

「元気も元気。風魔衆っていう忍者軍団の頭目になってたよ」

「やはり、実在していますのね。獣人軍に同行しているエンナージスからの報告は届いていましたけど」

「本気で忍者な、とんでも集団だったよ。それこそ、『ローズ・レイピア』や『ホーリー・シールド』に匹敵するくらいの」


 ここで私は、御前試合のことを思い出した。

 夏のおわりに、帝国、聖国、王国でそれぞれに精鋭を出して、戦ってみようというイベントだ。

 早速、エリカに話してみた。


「――というわけだから、よろしくね」

「よろしくね、ではありませんの。また勝手に決めて」

「……不参加?」

「もちろん参加しますの。帝国と聖国が参加するのに、うちが参加しないわけには参りません」

「よかった。なら決定ね。エリカも来る? 私が魔法で送迎するから、移動の手間なしにお気楽見学できるよー」

「そうですわね。せっかくですし。あと、あくまで、普通の人間での1番を決めるということなのですよね?」

「うん。ハースティオさんやリトは参加禁止で」

「わかりましたの。……ところで、クウ」

「ん? なぁに?」


 どうしたの、あらたまって。


「帝国や聖国ではイベントを開いているようですけれど、ジルドリアではなにかしてくれませんの?」

「ふむ。なにかしてほしいの?」

「してほしいですの。うちにも一度くらいはユイと帝国皇帝を招いて、国威を盛り立てたいですわ」

「なら、獣王国が復活したらナオも呼んで、なんか式典やろうか」

「いいですわね! そうしましょう! いっそ、うちでトリスティンと獣王国の条約締結をしてもいいですわね」

「ユイとうちの陛下を見届人にして?」

「ええ。その通り。クウはどう思いますか?」

「いいんじゃないのー」

「決まりですわねっ! その線でよろしくお願いしますの」

「おけー」

「となれば、あとはナオに祖国復興を宣言してもらうだけですわね」

「この夏の内にはあるといいねえ」

「長引けば長引くだけ、混乱は広まるでしょうし……。できれば、早めにお願いしたいところですわね」

「エリカんとこは、すぐに獣王国を承認する予定なの?」

「ええ」


 エリカはあっさりとうなずいて、


「それについては、とっくにユイとの間で話もまとまっていますし。そもそも否定したところで、クウが許してくれないでしょう?」

「なんで私が出てくるの? 私の意見なんて、どうでもいいよね?」


 私がキョトンとすると――。

 エリカはわざとらしいため息をついた。


「はぁ。クウはもう少し、いえ、もっと強く、自分が持っている圧倒的な影響力を自覚した方がいいですの」

「えー。やだー。私、そういうの嫌いだしー」


 影響力とかいらないよ?

 私、ふわふわのクウちゃんだからね?


 私が思いっきり顔をしかめると、またエリカにため息をつかれた。


「なんにしても、もちろん――。わたくしたちがナオの国を認めないなんてことは有りえませんわよね。目に余るほどの非道さえなければ。戦争なのですから、血は流れるでしょうけれど」

「だねえ……」


 それについてはその通りだ。


 今までの仕返しとして、

 ヒト族はすべて奴隷だぁぁぁ!

 ひゃっはぁぁぁ!

 とかになったら……。

 さすがに仲良くするのは難しいだろうけど――。


 少なくともナオの獣王国は、ヒト族に退去の時間を与えているし、私が見た限り風魔衆は理性的に動いていた。

 上手くやってくれることを願うばかりだ。





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