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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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617 閑話・公爵令嬢メイヴィスの朝





 朝、目覚めると、ベッドの中にいました。

 カーテンの隙間からこぼれた朝日が、静かに部屋を照らしています。

 わたくしは身を起こします。

 すぐに、ここが大宮殿の客間だと理解できました。

 ドアを開けて廊下に出ると、2人のメイドが待機していました。

 彼女たちに朝の支度を頼みます。


 身支度を整えてロビーに出ると、すでに友人のブレンダがいて、1人で紅茶を飲んでいました。


「おはよう、ブレンダ」

「よっ、メイ」


 声をかけると、気軽に手を振ってきます。


 わたくしはメイヴィス。

 ローゼント公爵家の娘であり、現在は帝都中央学院の3年生。

 ブレンダは、わたくしが嫁ぐことになるモルド辺境伯家の娘であり、対等な友人と呼べる数少ない1人です。


「私ら、丸1日寝てたんだってな」

「そのようですね」


 すでに日付のことは、メイドから聞いています。



 席に着くと、すぐにテーブルに紅茶が置かれます。

 それを飲みながらわたくしたちは、いくらかの雑談をしました。


「ブレンダ、体調はどうですか?」

「絶好調さ。なんなら今からでも、またダンジョンに行きたいくらいさ」

「同様です」


 陛下から禁止されていますが――。

 クウちゃんの助力がなくとも、今のわたくしたちならマーレ古墳程度であれば軽く踏破できるでしょう。


 しばらくするとアリーシャもロビーに現れました。

 3人で雑談を続けます。


「そうそう、2人はもう聞きましたか? 騎士団の特訓のことは?」


 アリーシャが言います。


「いや。聞いてねーけど。師匠がまたなんかやらかしたのか?」

「ええ」


 ブレンダの問いかけに、アリーシャはうなずきました。

 その内容は、戦闘狂や狂犬などと影で囁かれる、わたくしやブレンダですら呆れるものでした。

 なんとクウちゃんは、徹夜でダンジョン特訓を終えた後――。

 さらに24時間――。

 つい先程まで、騎士たちを鍛え続けたというのです。


「なんだよそれ! 見たかったなぁ! もう少し早く起きられれば!」


 ブレンダが悔しがる気持ちはわかります。

 わたくしも同じです。

 ちなみにクウちゃんは訓練後、倒れるように寝てしまって、セラフィーヌが部屋に運んでいったそうです。

 つい先刻のことらしいので、当分は起きてこないでしょう。


 朝食は陛下達と共に取りました。

 話題は、当然ながらダンジョンでの出来事です。

 主にアリーシャとカイスト殿下がしゃべっていましたが、本当に、思い出すだけでまた行きたくなります。


 朝食の後は、ロディマス達と合流しました。

 ロディマス達は、わたくしたちとは別パーティーでした。

 彼らを鍛えたのは闇の大精霊たるゼノリナータ様。

 闇の力を使った容赦ない特訓にクウちゃんは彼らの精神崩壊を心配していましたが大丈夫だったようです。

 ロディマス達は、実に爽やかに――。

 そう――。

 変わったというならば――。

 なんでしょうか……。

 他のすべてを捨て去って、明るく輝く星だけを胸に宿しているような――。

 あまりの眩しさに思わず目を逸したくなるほどの、輝いた笑顔でした。

 本当にキラキラとしています。

 それはきっと、自信の表れなのでしょう。

 実際、格段に強くなっているのは見て取ることができます。

 これならば――。

 きっと、多分、恐らくは……。

 近衛『白騎士隊』の結成も上手く行くことでしょう。


 わたくしとブレンダは午後まで大宮殿や騎士の訓練場にいましたが、残念ながらクウちゃんは起きてきませんでした。

 次に会うのは、城郭都市アーレでになりそうです。


 わたくしたちは帝都の別邸に帰りました。

 わたくしは、明日には帰省です。

 早くアーレに帰って、都市を上げて行われる皇女セラフィーヌの歓迎会の準備をしなければなりません。

 アーレには、ブレンダも付いてくることになりました。

 セラフィーヌの歓迎会に出席してから、故郷のモルドに帰るそうです。

 モルドには、わたくしも誘われました。

 山から溢れてくる魔物どもを一緒に殺しまくろう――。

 と。

 実に魅力的でしたが、今回は断りました。

 なにしろこの夏は、闇の大精霊ゼノリナータ様が、黒騎士隊を指導するためにアーレに滞在するのです。

 わたくしは参加しませんが――。

 果たして、それはどのような訓練になるのか――。

 しっかりと見ておかねばなりません。







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