608 テスト結果発表!
7月5日。
午前のホームルームで、一斉テストの結果が発表された。
私なのですが……。
こんな感じでした。
すべて、100点満点中であります。
算学80点。
語学75点。
社会学55点。
自然学50点。
合計260点。
一科目あたりの平均で言えば65点。
うむ!
我ながら、かなり頑張ったのではなかろうか!
ちなみに赤点は50点未満。
はい……。
自然学は、まさにソード様の必殺技!
スーパースペシャルマックスバスターな感じでしたともですよ!
「危なかった……」
テスト用紙を見て、私はつくづくとそう思い、ほっと胸を撫で下ろした。
赤点を取れば、当然、夏季補習となる。
すると、どうなるか。
騎士団への指導、魔術師団への指導、お兄さまたちとのダンジョン特訓、さらには旅行――。
すべてが、白紙になるっ!
いや、正確には、ならない!
何故ならば、テスト前に大宮殿でディナーをご一緒した時――。
陛下が笑ってこう言ったからだ。
「ははは。安心しろ、クウ。この夏季休暇に君に頼む仕事は大きい。故に、たとえ君が全科目0点でも赤点になることはない。リラックスして、気楽な心構えでテストには挑むといい」
はい。
入試の時とまるで同じですね。
私は頑張って、ここまでその言葉を忘れてきました。
何故ならば。
さすがの私もテストを0点でズル抜けしようとは思わなかったからだ。
うん。
さすがに……ね……。
いくらなんでもそれは駄目だろう、と。
先生が言う。
「ちなみにこの5クラスでの最低得点は259点でした」
なんと。
私じゃないのか、最下位!
「その次は260点でした」
私かぁぁぁぁぁ!
私ですねぇぇぇぇぇぇぇ!
はい。
ビリじゃなくて本当によかったですけれども……。
「下位の生徒の名前は公表しませんが、該当する者は大いに反省して、夏季休暇に遅れを取り戻すように」
ふむ……。
私よりも下の259点のクラスメイトか……。
誰だろう……。
私はちらちらと教室の様子を伺った。
エカテリーナさんやアヤ、ラハ君やダリオでないことは確実だ。
このあたりは優等生。
思いっきり勉強ができる生徒たちだ。
「では、5クラスでのベスト10を発表します」
先生が上位陣の名前を告げる。
ラハ君は4位、ダリオは3位、アヤが2位、エカテリーナさんは当然のように1位を取っていた。
「尚、クラス順位と全体順位については、昼休みに1階の中央ロビーの掲示板に貼り出されます。そちらで確認をするように」
休み時間になる。
私はすぐにアヤを称賛した。
「アヤ、すごいね! 2位だって! おめでとう!」
「えへへ。ありがとう。クウちゃんは何点……。あ、ううん。いいの! クウちゃんも頑張っていたよね!」
アヤ、何も聞かずとも私が最下位だと察したね……。
「あの、アヤ……」
「いいよ。クウちゃんは頑張ったよね」
「あ、うん。でも私、最下位じゃなかったよ……?」
「え?」
「うん」
「そっかー。すごいねー。おめでとう」
これ、素直に喜んでいいのだろうか。
正直、少し悩んだけど、ありがとうとは言っておいた。
ちなみに259点のクラスメイトは、すぐに判明した。
レオだ。
テストがおわった時には、余裕の発言をしていたクセに……。
私よりも下とは情けない……。
レオは、クラスの男子たちに、
「レオさんもバッチリだったのに10位までに入れなくて残念でしたね、ケアレスミスでもしたんですか?」
等々、慰めの言葉をかけられて――。
「お、おう! そうなんだよー! ちょっとだけな! ほ、ほら、解答欄を少し間違えて書いてたみたいでよ! イヤーまいったぜー!」
なんて言っていた。
バレバレだ。
男子たちから逸したレオの視線が、私に重なった。
私はニヤリと笑ってやった。
いつもなら、何だよ!と、威勢よく食って掛かってくるところなのに、レオは私からも視線を逸らした。
いやもう見事に挙動不審だ。
男爵家嫡男の威厳なんて、まるでなしだ。
まあ、もともとないけど。
逆にエカテリーナさんは人格者だ。
私の点数を追求することもなく、ねぎらいの言葉をかけてくれた。
そして、昼休み。
私たちはロビーに行ってクラスの順位も確認した。
「「おおー!」」
私とアヤは思わず声をあげた。
「すごいね、クウちゃん! 私たち、1年生の普通科で2位だって!」
「うん! よかったー!」
これで最下位とかだったら大変だったよー!
ちなみに1位は、学院祭で争って引き分けとなった1クラスだった。
「それなりですね。次は1位ですよ」
エカテリーナさんは、まだ上を目指すつもりのようだ。
ちなみに1年生個人の全体成績は――。
同率1位が3名。
満点の400点。
セラ、アンジェ、スオナ。
うん。
3人とも、1問も間違えることはなかったようだ。
すごいね。
本当に私と同じ12歳なのだろうか。
実は転生者で、前世に大学生だった記憶があるのではなかろうか。
…………。
……。
それは私かぁぁぁぁぁぁ!
どうもすいませんでしたぁぁぁぁぁぁ!




