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608/1359

608 テスト結果発表!




 7月5日。

 午前のホームルームで、一斉テストの結果が発表された。

 私なのですが……。

 こんな感じでした。

 すべて、100点満点中であります。


 算学80点。

 語学75点。

 社会学55点。

 自然学50点。


 合計260点。

 一科目あたりの平均で言えば65点。


 うむ!


 我ながら、かなり頑張ったのではなかろうか!


 ちなみに赤点は50点未満。

 はい……。

 自然学は、まさにソード様の必殺技!

 スーパースペシャルマックスバスターな感じでしたともですよ!


「危なかった……」


 テスト用紙を見て、私はつくづくとそう思い、ほっと胸を撫で下ろした。

 赤点を取れば、当然、夏季補習となる。

 すると、どうなるか。

 騎士団への指導、魔術師団への指導、お兄さまたちとのダンジョン特訓、さらには旅行――。

 すべてが、白紙になるっ!


 いや、正確には、ならない!


 何故ならば、テスト前に大宮殿でディナーをご一緒した時――。

 陛下が笑ってこう言ったからだ。


「ははは。安心しろ、クウ。この夏季休暇に君に頼む仕事は大きい。故に、たとえ君が全科目0点でも赤点になることはない。リラックスして、気楽な心構えでテストには挑むといい」


 はい。


 入試の時とまるで同じですね。


 私は頑張って、ここまでその言葉を忘れてきました。

 何故ならば。

 さすがの私もテストを0点でズル抜けしようとは思わなかったからだ。

 うん。

 さすがに……ね……。

 いくらなんでもそれは駄目だろう、と。


 先生が言う。


「ちなみにこの5クラスでの最低得点は259点でした」


 なんと。

 私じゃないのか、最下位!


「その次は260点でした」


 私かぁぁぁぁぁ!

 私ですねぇぇぇぇぇぇぇ!

 はい。

 ビリじゃなくて本当によかったですけれども……。


「下位の生徒の名前は公表しませんが、該当する者は大いに反省して、夏季休暇に遅れを取り戻すように」


 ふむ……。


 私よりも下の259点のクラスメイトか……。


 誰だろう……。


 私はちらちらと教室の様子を伺った。


 エカテリーナさんやアヤ、ラハ君やダリオでないことは確実だ。

 このあたりは優等生。

 思いっきり勉強ができる生徒たちだ。


「では、5クラスでのベスト10を発表します」


 先生が上位陣の名前を告げる。

 ラハ君は4位、ダリオは3位、アヤが2位、エカテリーナさんは当然のように1位を取っていた。


「尚、クラス順位と全体順位については、昼休みに1階の中央ロビーの掲示板に貼り出されます。そちらで確認をするように」


 休み時間になる。

 私はすぐにアヤを称賛した。


「アヤ、すごいね! 2位だって! おめでとう!」

「えへへ。ありがとう。クウちゃんは何点……。あ、ううん。いいの! クウちゃんも頑張っていたよね!」


 アヤ、何も聞かずとも私が最下位だと察したね……。


「あの、アヤ……」

「いいよ。クウちゃんは頑張ったよね」

「あ、うん。でも私、最下位じゃなかったよ……?」

「え?」

「うん」

「そっかー。すごいねー。おめでとう」


 これ、素直に喜んでいいのだろうか。

 正直、少し悩んだけど、ありがとうとは言っておいた。


 ちなみに259点のクラスメイトは、すぐに判明した。

 レオだ。

 テストがおわった時には、余裕の発言をしていたクセに……。

 私よりも下とは情けない……。


 レオは、クラスの男子たちに、


「レオさんもバッチリだったのに10位までに入れなくて残念でしたね、ケアレスミスでもしたんですか?」


 等々、慰めの言葉をかけられて――。


「お、おう! そうなんだよー! ちょっとだけな! ほ、ほら、解答欄を少し間違えて書いてたみたいでよ! イヤーまいったぜー!」


 なんて言っていた。

 バレバレだ。


 男子たちから逸したレオの視線が、私に重なった。

 私はニヤリと笑ってやった。

 いつもなら、何だよ!と、威勢よく食って掛かってくるところなのに、レオは私からも視線を逸らした。

 いやもう見事に挙動不審だ。

 男爵家嫡男の威厳なんて、まるでなしだ。

 まあ、もともとないけど。


 逆にエカテリーナさんは人格者だ。

 私の点数を追求することもなく、ねぎらいの言葉をかけてくれた。


 そして、昼休み。


 私たちはロビーに行ってクラスの順位も確認した。


「「おおー!」」


 私とアヤは思わず声をあげた。


「すごいね、クウちゃん! 私たち、1年生の普通科で2位だって!」

「うん! よかったー!」


 これで最下位とかだったら大変だったよー!

 ちなみに1位は、学院祭で争って引き分けとなった1クラスだった。


「それなりですね。次は1位ですよ」


 エカテリーナさんは、まだ上を目指すつもりのようだ。


 ちなみに1年生個人の全体成績は――。


 同率1位が3名。

 満点の400点。

 セラ、アンジェ、スオナ。


 うん。


 3人とも、1問も間違えることはなかったようだ。


 すごいね。


 本当に私と同じ12歳なのだろうか。

 実は転生者で、前世に大学生だった記憶があるのではなかろうか。


 …………。

 ……。


 それは私かぁぁぁぁぁぁ!

 どうもすいませんでしたぁぁぁぁぁぁ!










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― 新着の感想 ―
[一言] 返信ありがとうございます、まあ、恐怖の夏季補習にならなくて良かった?例え0点祭りでも大丈夫って陛下言ってましたけど流石に不味いでしょ(笑)
[一言] クウちゃん、人生、勉強がすべてではないさ。たぶん・・・?
2022/11/27 13:02 となりのにゃんぱすー
[一言] 陛下はあのように言ってますが試験結果したら旅行中に立ち寄った宿や移動中の馬車内でセラ・アンジェ・スオナによる緊急夏季補修が開催されそうな気がします(笑)
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