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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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604 おわったぁぁぁぁぁ!





 7月1日、午前9時。

 ついに帝都中央学院に入って初めての一斉テストが始まった。

 テストは4科目。

 入試の時と同じ、算学、語学、自然学、社会学だ。

 時間は、1科目につき50分。

 10分の休憩を挟みつつ、いつもなら3限目の後にあるお昼休みはなしで、連続して行われる。


 そして、午後0時50分――。


 鳴り響くチャイムの音と共に、1年生最初の一斉テストは終了した。

 テスト用紙を回収して、先生が出ていく。


 私は机にへたばった。


「おわったぁぁぁぁぁぁぁ!」


 疲れ切りつつも、思わず大きな声を出してしまった。


「どうだった、クウちゃん?」


 となりの席のアヤが聞いてくる。


「うん。できたよー」

「そっかー。よかったねー」

「アヤは?」

「私もバッチリだよー」


 アヤが私にVサインを見せる。

 ちなみに私はバッチリというよりは、なんとか、だけど……。

 私にしては頑張ったと思う。


「それはよかったです。私も肩の荷が降りました」


 クラス長にして子爵令嬢のエカテリーナさんが、私のところにやってきて安心したように笑顔を見せた。


「お陰さまでねえ……。最近は毎日、お世話になりました」

「どういたしまして」


 教室を見渡せば、だいたいみんな、頑張ったという顔をしていた。

 全然駄目だったと落ち込んでいる子はない。

 あのレオでさえ、全部の科目で70点以上は確実だぜ! と、かなり自信満々なことを言っている。

 ただ、それを聞いたエカテリーナさんが、


「その程度で自慢しないで下さい。貴方は中央貴族でしょう。将来、上級文官となるのであれば、最低でも全科目90点以上が合格ラインです」


 と、ものすごく怖いことを言った。


「はんっ! 俺は冒険者になるから関係ねーな!」


 レオはまだそんなことを言っている。

 まあ、うん。

 まだ12歳なんだから、夢を見るのは自由なんだろうけれども。


「そういえばアヤも、文官を目指しているの?」


 普通科の生徒は文官希望が多いけど。


「うん、一応。でも今は、事務職でもいいかなーって思ってるけど。たとえば、冒険者さんのサポートをするみたいな」

「へー。冒険者ギルドの職員とか?」

「うん。そんな感じ」

「あ、もしかして、ボンバーズの事務員とか?」


 アヤはたしか、同じ犬系の獣人でクラン『ボンバーズ』の一員、タタくんのことを気に入っていたよね。


「やだもー! クウちゃんったらー! ちがうってばー!」


 顔を赤くしたアヤに背中をバンバン叩かれた。

 図星だったようだ。

 ただ、クラスメイトの目もあるし、からかうのはやめておこう。


「お。ボンバーズか! ボンバーズがどうかしたのか!?」


 レオが興味を持っちゃったしね。


「なんでもありませーん。レオには関係ないでーす」


「いずれにせよ、後は発表を待つばかりですね。クウちゃんとアヤは、明日の騎士科と魔術科の実技は見学の予定ですか?」

「もちろんっ!」


 セラたちの実技、見学せねば!

 入試の時からどれくらい進歩したのか、見るのが楽しみだ!


「友達も出るので私も見に行く予定です」


 わめくレオは無視して、私とアヤはエカテリーナさんにうなずいた。


「先日のエルフの方ですか? 名前はサクナさんでしたかしら」

「はい。そうです。あの大きな獅子族の男子を必ず倒すって、ものすごく練習していましたよー」

「それは楽しみですね」

「はい。応援します」


 獅子男のギザは今やメイヴィスさんの舎弟だけど……。

 因縁の対決ではある。


「騎士科の順位決定戦って、魔術はアリなの?」


 私はたずねた。


「なしみたい。しかも、学院指定の武具しか使えないんだって」

「そかー。でも、頑張ってほしいね」


 サクナは風の魔術の使い手だった。

 剣と魔術を融合させて戦うのを得意としていた。

 使えないのは残念だ。


 ともかく。


 テストは無事におわった。


 明日、中庭で合流することを約束して、私たちは帰路についた。


 ふわふわ工房に帰ると、セラとアンジェとスオナが来ていて、エミリーちゃんとフラウと談笑していた。


「ただいまー!」

「クウちゃーん! やっと会えましたーっ!」

「うん。久しぶりだねー」


 テスト前には会わなかったしねー。


 この後は久しぶりに、セラたちともおしゃべりした。


 当然のことのように……。

 3人とも、テストは完璧だったようだ。

 というか3人は、テストなんて解けて当たり前で……。

 明日の実技こそを本番にしていた。


「すごいね……」


 と言ったら、アンジェに肩をすくめられた。


「でもクウにとったら、私たちの必死の実技なんて赤子の手も同然よね。むしろまだまだ未熟を感じるわ」

「わたくしも同感です! やっぱり凄いのはクウちゃんです! クウちゃんこそが輝ける星! 宇宙一! 世界一! 大陸一! 帝国一の最強に強くて最強に可愛くて最強に素敵な存在なんですっ!」

「なんだか懐かしいね、セラのそのよいしょフレーズ」


 昔はよく言われていた気がするけど。


「よいしょじゃありませんっ! わたくしの、本当の気持ちですっ!」

「あはは。ありがと」

「なんにしても、明日は見に来てくれるんだろう? 僕たちがこの3ヶ月でどれだけ成長したか、ぜひクウには見て欲しいよ」

「うん。もちろん見に行くよ。期待してる」








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