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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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594 二回戦、ガイドルの激闘!!





 武闘会、本当に予想外なことに、わずか二回戦で私の鍛えた屈強な魔法戦士たちが全滅してしまった。

 もう本当に誰が優勝してもおかしくない状況となった。

 次は、ガイドルとネスカ選手の試合だ。

 ネスカ選手のフルネームは、ネスカ・F・エクセラ。

 コーヒー的なつながりで――。

 だぶんブレンディ先輩とマキシム先輩の友人だろう。

 ネスカ選手は銀髪に日焼け肌が特徴的な騎士科5年生の女生徒で、一回戦では投げ技で勝利している。

 ネスカ選手の武装は、片手に持った剣1本。

 盾は使わないようだ。

 見える限りでは、マンティス選手のような特殊な武器も身に着けていない。

 服装は、普通の女生徒のものだ。

 スカートにブラウス姿。

 ブレザーは羽織っていない。

 誤差レベルながらも軽装スタイルと言えるのだろうか。


 ガイドルも手に持つのは剣の1本だけ。

 あとは予備の武器として、腰のベルトに短剣を差している。

 ガイドルは、体力がありそうには見えないけど……。

 一回戦の疲れは取れたのだろうか……。

 とにかく頑張ってほしい。

 まあ、うん。

 ガイドルは、強く肩入れするほどの相手ではないんだけどね、正直……。

 べつに、親しい相手ではない。

 スオナには迷惑だろうし――。

 でも、私が精霊だからか、わかるんだよねえ。

 心の透明感みたいなものが。

 ガイドルは、今回に関しては、私の目には透き通って見えるのだ。

 淀んでいない。

 なので、つい、応援してしまうのだ。


「始め!」


 試合開始が告げられた。

 両者は同時に動いた。

 まずは、スタンダードに正面からの打ち合いだ。

 打ち合いは、ネスカ選手のやや優勢といったところだろうか。

 ただ、大きな差はないように思える。

 実際、ガイドルはネスカ選手の早い攻撃をよく防いで、崩れることなく堅実な戦いを続けている。

 ガイドルにもきっと、勝利するチャンスは訪れるはずだ。


 だけど私は知っている。

 ガイドルも理解はしているだろう。

 ネスカ選手は、一回戦、投げ技で勝利している。


 きっと、どこかのタイミングで、剣を捨てて勝負に来るはずだ。

 勝負はそこだ。

 果たしてガイドルは切り返せるのか。


 大きな金属音が響いた。


 両者の剣が正面から強くぶつかった。


 あっ!


 次の瞬間、反動に負けて、両者の剣が手から離れた。

 私には見えた。

 これは偶然の事故ではない!

 ネスカ選手が激突の瞬間に巧みに剣をひねって、そうさせたのだ!


 さあ、近距離で両者が素手となった。

 ネスカ選手が望んだ展開だろう。

 しかし、体格で言えば、ガイドルの方が上だ。


「飛び込めー! ガイドルー! 体重だー! 体重の差で潰せー!」


 私は叫んだ。


 剣を取りに行っている暇はない。

 一気にネスカ選手は組むか投げるかしてくるはずだ。


 私の声に反応したのか――。


 歓声の中なので、それはわからないけど――。


「うおおおおおお!」


 怒号を上げてガイドルが正面から掴みかかる。


 むう!?


 私はうなった!


 ネスカ選手の姿が、まるで霞のように揺らいで見えたからだ。


 それは、まるで残像――。


 掴みかかるガイドルの腕を、するりとネスカ選手の体がすり抜けた。

 実際には横に流しただけなのだけど――。

 その見事な体捌きは、すり抜けたようにも見えた。


 これはぁぁぁぁぁ!


 私はてっきり――。


 ネスカ・F・エクセラ。


 コーヒー系の人だと思っていたけど……。


 まさかの――。

 ガンダム系の人だったのかも知れないっ!


 トランザム的な意味で!


 今、加速した!


 ネスカ選手がガイドルの胸元に入り込んだ。


 ネスカ選手は、膝を曲げて重心を下げると、体を浴びせるようにして、そのままうしろからガイドルの足首を刈った。


「ぐはっ!」


 ガイドルが背中から床に倒れる。

 痛そうだ。


 だけど審判から勝負有りの判定は出ない!


 ガイドルはまだ、懸命に、ネスカ選手の腕を掴んでいた!

 離さない!


 ネスカ選手がさらに動いた。


 これはぁぁぁぁぁ!


 ガイドルの腕をひねり上げて、そのまま横に倒れる。


 腕ひしぎ十字固めだぁぁぁぁぁ!


 ガイドル――。


 頑張ったけど、もういいよ。


 ギブアップ、しな……。


 私は優しく思った。


 審判は、関節技には理解が低いかも知れない。

 なにしろ基本的には剣技の場だ。

 自分から降参しないと、試合を止めてもらえない可能性があるのだ。


 まだ腕は伸び切っていない……。


 とはいえ、時間の問題だろう。


 だけど――。

 運命の女神さまは、まだ戦いのおわりを告げてはいなかった。


 ガイドルが必死に腰のベルトから短剣を外した。


 そして――。


「ぬおおおお!」


 最後の力を込めて、ネスカ選手の足を突いた。


 ネスカ選手が顔をしかめる。


 拘束が弱まる!


 身を返したガイドルが、ほとんど倒れるように、上からネスカ選手に自分の体重を浴びせると同時に――。

 ネスカ選手の首に、短剣を当てた。


「勝負あり! 勝者、ガイドル!」


 ふむ。


 なるほど。


 考えてみれば、格闘技の試合ではないよね。

 刃を使った勝負なわけで。


 そりゃ、刺せるか。


 ネスカ選手としては、投げ技でノックダウン出来なかったのが失敗だね。

 あとは、反射的にだと思うけど――。

 寝技に入ってしまったことか。

 ガイドルの腕を引き離して、立ち上がるのを待って――。

 もう一度、投げていれば――。

 確実にネスカ選手の勝利だったと思うけど。


「クウちゃんのお友だち、すごいね! 二回戦も勝っちゃったよ!」


 アヤが興奮して言った。


「そうだね。正直、負けたと思ったけど」

「投げられた時には私も思った! でも、頑張ったね! すごかったよー!」

「でもアヤの好みじゃないよね?」

「え? なにが?」

「だってガイドル、マッスルボディじゃないし……」

「クウちゃん、そんな話はしてないからね?」


 しかし、まさかとは思うけど……。

 ガイドル、この調子で優勝しちゃったりしないだろうね……。

 まあ、してくれてもいいんだけど……。







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― 新着の感想 ―
俺が、俺達が、ガンダムだ!
[良い点] ガンダム(笑) わかるからクスリと笑う。
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