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53 ぬいぐるみを作ったり




 2階と3階も見学して、皇妃様とセラは大宮殿に帰った。

 私も連れていかれた。

 なぜなら礼儀作法の指導があるからだ。

 今日は中止にするのかと思いきやそんなことはなく、夕食の時間まで、みっちりと厳しく訓練を受けた。

 疲れた。

 でも休んでいる暇はない。

 豪華な夕食の誘いは頑張って断って家に帰った。

 今夜はパンと干し肉とフルーツで十分。


 さあ、生成だ。


 そう。


 私は生成がしたいのだ。


 まずは皇妃様たちにあげるミスリルのアクセサリーを作ってしまおう。

 この世界ではとんでもなく加工が困難らしきミスリルも、私のカンストな生成技能にかかれば簡単に高品質で完成だ。

 さくさくと作った。


 次は効果付与。

 リングにはオートキュアポイズン

 ネックレスにはオートガード。

 イヤリングにはヘルスキープ。

 ブレスレットには物理防御力アップ。


 オートキュアポイズンとオートガードはシルバーリングにつけたものと同じ。

 ヘルスキープは身体の状態異常に対する抵抗力の向上。

 物理防御力アップは、ゲーム的には防御+10の効果をもたらす。

 ブロンズの胸当てをつけるのと同じくらいだ。

 とにかく生存重視で選んだ。


 ちなみに私には必要ない。

 なぜなら、アシス様からいただいた精霊の服には、それを遥かに上回る多様な効果が付与されている。

 ゲームで私が装備していた最強防具の性能をそのまま受け継いでいるのだ。

 今のところ攻撃を受けたことがないので不確定だけど、私を傷つけるにはたぶん古代竜を上回る力が必要だ。


 ただ、そうは言っても、たぶん私はこの世界で絶対無敵ではない。

 たとえば、忍者な獣人のお姉さん。

 銀色の尻尾を持った、たぶんナオの同族な人。

 あの風より早く動く人と仮に戦ったとして、果たして無傷で勝てるのか。

 確証はない。

 ゲームの世界でだって、私は精霊族では個人戦最強だったけど、全体ランキングではベスト10に入れなかった。

 機会があれば、模擬戦をしてみたいものだ。


 それはともかく、贈り物は完成した。

 小休止。

 お風呂に入ってリラックス。

 次はお店に置く品だ。


 ぬいぐるみとクッションは残念ながら素材が足りなかった。

 布はあるけど、糸・わた・ボタンがない。

 ここまで金属と木の製品ばかり作ってきたので、やむなし。

 明日、市場で買ってこよう。


 時計は、強面なドワーフさんのお店とかぶるのでパス。

 オルゴールとランプに決めた。

 こちらもバネやガラスといった中間素材が足りなかったけど、手持ちの素材から作ることができた。

 オルゴールとランプには複数のレシピがある。

 可愛いものを選択。

 まずはデフォルトで作ってみて、そこから前世の記憶を生かしつつ、さらに可愛さを追求していく。

 今のところまったくそれらしいことはしていないけど、一応、私は精霊さんなので精霊な感じの可愛さを出したい。


 私を人形にして、オルゴールに乗せてみようかな。

 ランプにも、ふわふわ浮かんでいる私のシルエットを入れたり。

 って、どんだけ自分が好きなのか私!

 ……まあ、好きですけどね。

 はい。

 最高に好きです。

 というわけで作ってみた。

 うん、可愛い。

 さすが私。

 ホント、私って可愛い。

 さいこーだ。

 でもこれを自分で売るのは、さすがに恥ずかしい気がする。

 ショーウィンドウに飾るだけしておこう。


 悩んだ結果、精霊界で見た光の球な精霊くんたちをモチーフにすることにした。

 失敗もあったけど、満足できるものがそれぞれ10個できた。

 疲れたので休憩。

 そのまま寝てしまって翌朝。


 まずはお店に降りて、棚に置いてあった武具をアイテム欄に入れた。

 棚も撤収。

 ショーウィンドウの鉄装備も片付けた。

 ショーウィンドウには大きなクマのぬいぐるみを置いて、青銅の兜をかぶせて、青銅の剣を持たせてあげる予定だ。

 小動物のぬいぐるみも脇に並べたいね。

 今はまだないので、私の人形が回るオルゴールと、浮かぶ私のシルエットが入ったランプだけ置いておいた。


 ちなみにランプは、この世界の仕様になっていた。

 生成する時にこの世界の仕様にしてくださいと念じたら、そうなってくれた。

 ありがたや。

 電球の部分が魔石を置く台座になっていて、どこかで魔石を買ってきて乗せれば点灯できるようだ。


 ソウルスロットを、銀魔法、緑魔法、敵感知に変えて、市街地に出る。

 最近、ソウルスロットの管理が適当になってきて、生成技能のままだったりするから注意せねば。

 なにしろ戦闘状態になったら変更できないし。


 ついた頃には、すでに市場は賑わっていた。

 わたやボタンは簡単に見つかって、たくさん買うことができた。

 屋台の食べ物も買っておく。

 アイテム欄に入れておけば常に作りたてで食べられる。

 本当に便利だ。

 市場では魔石も売っていた。

 電池と同じようにいくつかのサイズがあったので、一通り買っておいた。


 帰宅。

 早速、ショーウィンドウのランプに魔石をセットしてみる。

 光るかな……?

 爆発とかしないよね……?

 ドキドキしながらスイッチをオンにした。

 普通に光ってくれた。

 よかった。


 さあ、作業の続きだ。


 技能『裁縫』をセットして、工房でぬいぐるみを生成。

 まずは、私の背丈ほどもある大きなクマ。

 次に、ウサギやリスやタヌキといった小動物くんたち。


 早速、ショーウィンドウに飾ってみた。

 クマには剣と兜を装備する。

 うん。

 かわいい。


 満足できたところで、今度はお店の中だ。

 商品の数は少なくていい。

 すっきりとした、可愛いお店にしよう。

 あ、でも、壁の棚にぬいぐるみが一杯っていうのは、いいかもしれない。

 そうしよう。

 あと奥の応接室に行かなくても気楽におしゃべりできるように、お店の中にテーブルと椅子を置こう。


 武具はどうしようか。

 正直、いらない気がしてきた。

 可愛いだけのお店でいいんじゃなかろうか……。

 でも、それだと今までの苦労が水の泡だ。

 いったい、私は、なんのためにザニデア山脈まで行ったのか。


「ふむう。とりあえず、少しは置いておくかぁ」


 擬人化した、大きな犬のぬいぐるみを作った。

 店内では、犬くんに武具を装備してもらおう。

 お店の真ん中に丸い台を置いて、その上に犬くんには座ってもらって……。

 鉄の剣を持たせて……。

 鉄の兜と鉄の胸当てを装着する。

 うむ。

 カンペキではなかろうか。

 あとは、教えてもらった価格を、紙に書いてそれぞれに付けておく。

 これで売り物だということもわかるだろう。


 お店でおしゃべりできるように丸いテーブルと可愛い椅子も生成して、設置。

 壁際には棚。


 ランプとオルゴールはガラス棚を作ってその中に並べた。

 こちらにも紙に価格を書いておく。

 どちらも銀貨3枚。

 3万円。

 安すぎると怒られそうなので、高めにしてみた。

 高すぎだったら値引きしよう。


 あとは、ひたすらぬいぐるみを作った。

 最初は小動物だったけど、途中からは光の球な精霊くんのぬいぐるみを作った。

 私のぬいぐるみも作った。

 これがかわいくて、いくつも作ってしまった。


 気づけば昼をすぎて午後になっていた。

 夢中になりすぎて、お腹が鳴るまで時間に気づかなかった。


 今日はセラと会う約束もないから、1日、仕事だ。


 屋台で買ったサンドイッチを食べて休憩。

 休憩がおわったら、作ったぬいぐるみくんたちをお店の中に並べていく。

 どれもひとつ銅貨2枚。

 約2000円。

 これも相場がわからないので高めにしてみた。

 高すぎたら値引きしよう。


 ぬいぐるみを並べたら、ぐっと店内がかわいらしくなった。


 正直、なんのお店かわからないけど。

 まあ、いいや。


 少なくともこれなら、変なお客さんは来ないだろう。


 と、思ったところでドアが開いた。

 なぜ私はこうなのか。


 現れたのは、明らかに変なお客さんだった。

 お客さんではないかもしれないけど。

 先日、商業ギルドで見かけた大商人のウェーバー氏だ。

 今日は宝飾まみれではないし、服装も地味なスーツだけど、間違いない。


 目が合う。

 私はびくっとした。

 マズい。

 油断しきって今のソウルスロットは、裁縫、木工、錬金だ。


「突然の訪問、申し訳ありません。私はゾル・ウェーバーと申します。ウェーバー商会において頭取を勤めさせていただいております」

「はぁ……」


 急いでソウルスロットを銀魔法、緑魔法、小剣武技に変える。


「本日は、先日の件のお詫びに伺わせていただきました。本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」


 いきなり頭を下げられた。


「はい?」


 最初、意味がわからずに首を傾げてしまったけど、すぐに気づいた。


「あ、もしかしてウェルダンのことですか?」

「はい。あれは断じて当商会の意思ではありませんが、当商会の者が商会の名を使って蛮行に及んだことは事実。本日はその謝罪に参りました」

「えーと……」



ご覧いただきありがとうございましたっ!

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