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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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499 入学試験の朝





 おはようございます、クウちゃんさまです。

 今日はついに、いよいよ、帝都中央学院の入学試験、当日です。

 天候は、やや曇り。

 吹き抜ける風が冷たい冬の日です。

 雪が降りそうな気もします。

 とはいえ帝都では、降っても、たいして積もることはないそうです。

 3センチも積もれば、大雪警報!

 みたいな感じのようです。

 この世界は、少なくとも帝都周辺については、夏は暑くなりすぎず、冬は寒くなりすぎず、なかなかに過ごしやすいです。


「ふう。緊張する」


 私のとなりを歩くアンジェが、白い息を吐きつつ肩をこわばらせる。


「あはは。リラックスしていこう」

「クウはお気楽ね。テスト、そんなに余裕なの?」

「ていうか、まあ、ね」


 アンジェは昨日、私の家に泊まった。

 ただ、遊んではいない。

 アンジェは熱心に勉強していた。


 私?


 ヒオリさんと2人で工房の新商品を研究開発していましたよ!


 だって、そもそも合格は決まっている。

 テストは形式的に受けるだけで、別に0点でもいいわけだ。


 私がそのことを話すと、アンジェは呆れた顔をした。


「アンタまさか、0点で合格する気なの?」

「いいんだよね?」


 さすがに0点にはならないと思うけど。


「そりゃ……いいけどさ……。推薦人に恥をかかせることになるわよ」

「そなの?」

「だって推薦人のいる子は、推薦人の名前も一緒に張り出されるのよ。入試の結果は上位20名まで公表されるし、推薦だけでの入学じゃないことを示すためにもそこには入らないと」

「私、確実に駄目ですね」


 あっはっはー。


 クマったものだ。


「……たしか、クウの推薦人って皇帝陛下と皇妃様だっけ?」

「うん。あと、ローゼントさんと、バルターさんと、なぜかアロド公爵さんも推薦してくれたみたい。あとは誰だったかな……。アルビオさんとグラバムさんもそういえばそうだったかな?」

「アルビオさんとグラバムさんって……。もしかして、魔術師団長様と騎士団長様のこと?」

「うん。そだよー」

「バルターさんっていうのは、ラインツェル公爵様のことよね?」

「うん。そだよー」


 バルターさんは物腰柔らかで、いつも執事みたいにしているのに、実は公爵というのはすごいよね。


「クウの場合は問題なさそうね! よかったよかった!」

「そなの?」

「はっきり言って別格すぎて、誰も成績なんて気にしないと思うわよ。素性は詮索されそうだけど」

「そかー。もしかして推薦って、実はそんなにもらえないものなの?」

「そりゃそうでしょ。推薦すれば名前が出るのよ。推薦した生徒が問題を起こせば責任問題になるし。逆に、推薦した生徒が大成すれば、才能を見出した人間ってことで名声が得られるんだけどね」


 なるほど。


 すなわち私は、可能性のかたまりというわけですなっ!


 そういえば、いくらか揉めていたセラの入学科だけど、予定通り魔術科に入ることで決まった。

 セラは堂々と学院で光の力を磨いていく予定だ。

 なにしろ聖女様とは和解できたのだ。

 もう隠す必要はないのだ。


「入試、誰が首席になるのか楽しみだねー」

「私も負けないからねっ!」

「がんばれー」


 セラかスオナか。

 あるいは、アンジェか。


 はたまた、私の知らない誰かが飛び抜けてくるのか。


 なんといっても帝国中から優秀な人間が集まるのだ。


 果たして、どうなるか。


 まあ、それでも正直、セラとスオナとアンジェの勝負だと私は思っている。

 3人はとてもとても優秀だし。

 そう簡単に比肩する同年代はいないだろう。


 学院に到着した。


 多くの受験生が門をくぐっている。


 セラとは中庭で合流した。


「おっはよー!」

「おはようございます。アンジェちゃんはお久しぶりです」


 セラは目立たないように地味な格好だった。

 お供もシルエラさんとサギリさん、2人しかついていない。

 まあ、十分だろうけど。


「おはよう。本当に久しぶりね、セラ。今日は正々堂々と戦いましょう」

「ええ。当然です」


 アンジェとセラが握手を交わす。

 熱いね。

 私は応援しようっ!


 早速、指定された筆記試験の会場に向かう。

 私とセラは同じ教室だ。

 アンジェは2つとなりの教室だった。


 教室に入る。


 教室には、いかにも貴族っぽい子がずらりと座っていた。

 ざっと30人くらいか。

 巷で話題の皇女様であるセラが教室に入っても、ざわめくことはない。

 ちらりと視線を感じる程度だった。


 それとなく教室を見渡す。

 スオナの姿はない。

 別の教室のようだ。

 スオナにも、精一杯、頑張ってほしいと思う。


 私は席についた。


 しばらく大人しくしていると、試験官の先生がやってきた。

 最初に本人の確認を行う。

 1人1人、魔道具でチェックされた。


 私、個人情報を見られるのはマズイなぁ、と思ったのだけど……。

 なにしろ、種族は精霊で出身は神界だし。

 驚かれることも騒がれることもなく、普通におわった。

 助かった。

 というか事前に通達はあったのだろう、たぶん。


 それが済めば、いよいよ最初の科目だ。


 テスト用紙が裏返して配られる。

 まずは、算学。


 開始を告げるチャイムが鳴る。


 みんなが一斉に、テスト用紙を表に返した。

 もちろん私もだ。


 さあ、ここまで来たからには、それなりには頑張ろうか。

 うん。

 ……それなりには。



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