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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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482 ユイと相談?





「――て、ことをね、あいつら話してたんだよー」

「ふーん。そうなんだー」

「そんな他人事みたいに」

「え?」

「え?」


 いや待ってね、ユイさんや。

 どうしてそこで不思議そうに首を傾げるのかな?


 というわけで。


 私はユイの家に戻って、ラムス王の会話を報告しています。


「だってクウが全部やってくれるんだよね? 私、安心だよね?」

「え? やらないよ?」

「え? なんで?」

「だって私、様子を見に行っただけだし」

「え?」

「そもそも大祭がおわったら、私、陛下たちと一緒に帰るからね? 後のことなんて知らないよ?」

「え? クウ、私を置いていくの?」

「うん」


 そもそもユイの身は、リトの力で守られている。

 それ以前に、ユイ自身がすでに単身で悪魔を倒せるほどの存在だ。

 これ以上に守られる必要はない。

 となれば、あとは政治の問題だ。

 私の出る幕は、どう考えてもないよね。


 ちなみに今、リトは部屋にいない。

 私と入れ替わりで、ラムス王たちの様子を見に行った。


「……あのお、一応、着替えましたけどぉ」


「クウー! 私を捨てないでぇぇぇぇ!」


 ユイが私の腰にしがみついて、泣き始める。

 まあ、うん。

 なんかもういつものことだね。


「あのお、クウちゃん? ユイさんになにをしたのかな?」


 ちなみに現れたのはマリエだ。

 他の人じゃなくてよかったよ。

 マリエはユイのカメ時代を知っている。

 醜態を見せたところで、今さら気にする必要はない。


 マリエはとなりの部屋で、審判者の衣装に着替えていた。

 着替え終わったようだ。


「いつものことだから気にしなくていいよー。それより今日もバッチリだね! まさにマリーエ様だよ!」

「ねえ、クウちゃん。私、今日は何をするの? 私、昨日の話までしか聞いていないんだけど……」

「今日は居てくれるだけでいいみたいだよー。私のソードと同じで、なんか話題になっちゃったから、挨拶だけ受けてほしいんだってさー」

「挨拶!? 私、無理だよそんなのっ!」

「一言もしゃべらなくていいからー。じっとしてるだけでいいよー」

「……まあ、それならいいけど」

「でも、怖気づかないようにねー。相手、聖王とか総大司教とか国王とかだから」

「えええええ! さすがに無理だよね、それ!? 私、普通に当然に庶民の娘だよ知ってると思うけど! そんな人たちの前に出たら、恐れ多くて気絶して死んじゃうからねっ!?」

「大丈夫だってー。ほら、それより格上の聖女様が、今、ここにいるのに普通に会話してるでしょー」

「……それは、そうだけど」


「ねえ……。クウ?」


 いつの間にか泣き止んでいた聖女様が、ぼそりとつぶやいた。


「どうしたの、ユイ?」

「私、無視されてる?」

「うん」


 正確に言うなら、放置だけど。


「そっかー。悲しいね」

「泣いててもいいよー」


 私、気にしないから。


「ううん、もういいです……」


 泣き止んだユイが静かに身を起こす。


「……あの、それで、ユイさん、なにかあったんですか? 私にできることなら力になりますけど」

「ほんと……?」

「はい! もちろんですよ!」

「ありがとー、マリエさん! ほら、聞いた、クウ! マリエさんは力になってくれるって言ってるよ!」

「あーはいはい。頑張ってね」


 私は肩をすくめた。


「え?」

「え?」


 ちなみに私は首を傾げていない。

 傾げたのは、手を取り合っているユイとマリエだ。


 結局……。


 ユイだけでなくマリエにも泣きつかれて、手伝うことになった。

 といっても本当にできることはない。

 だって、政治的な問題だし。

 でも、3人で相談して、ひとつ、やることに決めた。


 ザ・自作自演。


 とりあえず圧倒的な力を見せつけて、怪しい計画なんて実行するだけ無駄だと理解してもらおう大作戦だ。


「ユイ、ただいまなのです!」


 作戦が決まったところでリトが帰ってきた。

 今の私と同じ、『ホーリー・シールド』の衣装を着た仮面の少女姿だ。


「おかえり、リト。時間かかったみたいだけど、なにか問題があった?」


 飛び込んできたリトを抱きとめて、ユイがたずねる。


「ラムスたちは静かだったのです。クウちゃんさまに脅されたのが、しっかりと効いていたのです」

「他にもなにかあったの?」

「ついでにトリスティン王国に行って、クウちゃんさまが成敗したという王子の様子も見てきたのです」


「へー。ちゃんと反省してた?」


 私はたずねた。


「クウちゃんさまに言われた通り、一晩、部屋にいたようなのです。でも腹を立ててまわりのニンゲンに八つ当たりしていたのです」

「うわ。最低だね、それ」

「必ず復讐してやると叫んでいたのです」

「うわぁ……」


 めんどくさ。


「安心するのです。ユイに危害が及んでは大変なので、こっそりとリトが善い様にして来たのです」

「へー。そかー」


 私は適当に受け流した。

 これは、うん。

 ありがたい話だけど、具体的には聞かない方がいいような気がする。

 と、私が思っていると、ユイが笑顔でたずねた。


「具体的にはどんな風にしたの?」

「性格を反転させてやったのです」


 えへん、と、リトは偉そうに胸を張って答えた。


「ねえ、クウ。トリスティンの王子って、ものすごく悪い性格だったよね?」

「まぁ、そうだね……」

「じゃあ、リトはすごくいいことをしたんだねっ!」

「ふふー! なのですっ!」

「えらいえらいっ!」

「なのですっ! なのですっ!」


 リトとユイは無邪気に喜んで、きゃっきゃと手を取り合っているけど。

 ゼノといい、相棒のことになると、精霊さんって容赦ないね。

 まあ、うん。

 私もそんなに人のことは言えないけど……。

 お互い、やりすぎないように、ホント、気をつけようね……。


 と、思っていると、マリエと目が合った。


「あ、えっと。今のリトの話はね……。決してニンゲンを気楽に思うままにしているわけじゃないというか、仕方なくやっただけのことでね……」


 私があたふた言い訳すると、マリエはにっこりと笑った。


「おはようございます。いきなりどうしたんですか? 私、3分ほど寝ていたのでなんのことだかさっぱりです。あ、説明とかはいいですよ? それより一緒に楽しく笑いましょう。あはははは」


 さすがは審判者マリーエ様。

 完璧にして隙のない見事なスルースキルだ。

 よし。

 私も笑おう。


 あはははは。




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― 新着の感想 ―
[一言] やったね、マリエ様またヤバいことを知っちゃったね。
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