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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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468/1361

468 得点は!


 さあ……。

 まずは審査員の得点。

 審査員は、リゼス聖国とジルドリア王国から選ばれた大御所芸人の方々だ。

 皆、歴戦の猛者。

 果たして今のブリジットさんの芸に、どのような評価を付けるのか。

 私としても気になるところだ。

 なにしろこのクウちゃんさまの目から見ても、評価が難しい。

 前半と後半のあまりの格差を、どう見るのか。


 緊張の時間が流れ――。


 そして――。


「では、どうぞー!」


 一斉に得点の書かれたパネルが上がった。


「10点! 10点! 5点! 5点! 10点!」


 このような結果だった。


「これは見事に真っ二つです! さあ、では、どなたかに論評をお願いしたいと思うのですが――。では、10点をつけたオドリーナ流舞踊家元! キレイニ・オドリーナさん、お願いします!」


 ここはまず、踊りの面から語ってもらおう。

 私が指名すると、マイクを受け取ったオドリーナ氏がすっと立ち上がった。

 いかにも家元な感じの上品な女性だ。


「人と精霊の絆を感じる見事な踊りでした。私は物心ついた3歳の頃から踊りの世界にいますが、これほどの感動を覚えたのは本当に久しぶりです。まさに10点に相応しい踊りでした」


「ありがとうございましたーっ!」


 ここはもう1人いってみよう。


「では次に、5点という厳し目の評価を出した、講談師、6代目シャベーリ・マクリングさんお願いします!」


 立ち上がるのは、四角い眼鏡をかけた厳しい顔立ちの男性だ。


「残念ながら構成の失敗ですな。あれでは見ている側は、感動すればいいのか笑えばいいのか、呆れればいいのかわからない」


「ありがとうございましたーっ!」


 論評に対する拍手は、両者、どちらも同じくらいに大きかった。

 どちらの論評にも共感できるということだろう。

 私もそんな感じだ。

 ブリジットさんの芸は、本当に素晴らしかった。

 踊りには感動した。

 後半のギャグも強烈だった。

 ただ、うん……。

 6代目マクリング氏の酷評は理解できる。

 芸は奥が深いね。

 難しいところだ。


「さあ、では次に、特別審査員のみなさま、よろしくお願いします!」


 ユイにエリカに陛下。


 果たして、どんな評価を下すのか。


 パネルがあがった。


「これはぁぁぁぁぁ! 高得点です! 高得点が出ましたぁぁぁぁぁぁ!」


 ユイ、20点。


 エリカ、18点。


 陛下、19点。


 ユイが最高評価で、エリカと陛下も高得点だ。


 観客がざわめく。


 ユイの得点は、これまでそれなりに辛口だった。

 最高でも17点だった。

 そんなユイが満点をつけたのだ。

 観客も驚いたようだ。


「では、ここはユイさんにコメントをお願いしましょう!」


「はい。わかりました」


 ユイが立ち上がって、マイクを手にする。


「……どう言えばいいのか。

 私、思ったんです。

 うおだけに、魚。

 うん、とてもいいと思います。

 でも、ぎょっ!って驚くのもありなんじゃないかなーと思いました。

 ついでに、お金をためてみたりとか」


 え。


 それってまさか。


 お金をためる、すなわち、ちょきん。

 そして、ぎょ。


 それはつまり、前世に存在した……。


 ユイ、まさか……。


 こんな大勢の前で前世ネタを披露しちゃう気なのですか……!


 マズイ……。


 ことは別にないけど……。


 別に披露したっていいとは思うけど……。


 誰にもわからないよ、きっと?


 下手すると、私とエリカだけ笑っちゃうよ?


 ユイが天を仰ぐ。


 そして、言った。


「ぎょーさん、ぎょーさん」


 たくさん、たくさん。

 ですね。

 そっちでしたか。


「というわけで、20点です」


 にっこり笑って、ユイはマイクを置いた。


 …………。

 ……。


 なんの論評にもなっていないのは、きっと気のせいだろう。

 だって会場は割れんばかりの拍手だ。

 ぶっちゃけ、アレだよね。

 なんでもいいからユイがしゃべれば、みんな感動するね。


「さあ、では!

 改めてみなさん、ご注目を!

 これより!

 最高審査員マリーエ様に評価をいただきたいと思います!

 果たしてマリーエ様は動くのか!

 世界の審判は下されるのか!

 お願いします!

 マリーエ様、どうぞー!」


 さあ。


 どうだろうか。


 マリエは今のところ、沈黙を続けている。

 1点も出していない。

 最高審査員として貫禄たっぷりな、なかなかの演出ぶりだ。


 会場の視線がマリエに集まる。


 さあ……。


 来るか……。


 来ないか……。


 私は息を呑み、しばしの時を待った。


 打ち合わせはしていない。


 すべてはマリエの判断だ。


 マリエは動かなかった。


「動かず! 今回も最高審査員は動きませんでしたぁぁぁぁぁ!」


 ブリジットさんの得点は定まった。


 97点!


 素晴らしかったです。

 とても心に残りました。


 これにて前半戦は終了となった。

 聖歌隊の合唱を挟んで、次は後半戦だ。







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