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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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456 12月になりました





 こんにちは、クウちゃんさまです。

 12月になりました。

 冬です。

 すっかり寒くなって、町行く人たちは厚着です。

 私も冬服です。

 私の場合、防御魔法をかければ体感温度は最適化されるのですが……。

 さすがにみんなが厚着の中、私だけ薄着というのは変です。

 なので衣替えしました。

 もっとも、下には精霊の服を着ています。

 なので防御力は変わりません。

 人生なにがあるかわからないので、慢心せず、油断せず、ちゃんとしていく所存なのであります。


「じゃあ、クウちゃん、また来るねー」

「ありがとうございましたーっ! お待ちしてまーす!」


 ぬいぐるみを買ってくれたお姉さんを、私は元気に見送った。


 時刻はお昼近く。


 今日は開店からずっとお客さんがいて忙しかったけど、今のお姉さんでお店の中は一旦静かになった。


「ふう」


 息をついて、私はカウンターの椅子に座った。


 最近、私はお店を頑張っている。

 ほとんど毎日開けている。

 おかげでお客さんも、けっこう戻ってくれた。

 売り上げは順調だ。

 ぬいぐるみ、オルゴール、ランプ。

 どれも在庫はかなり捌けた。


「……そろそろ新商品の導入が必要だよねえ。なんにしようかなぁ」


 迷うところだ。


 ぬいぐるみは、精霊ちゃん、銀狼ちゃん、お姫さまが動物シリーズよりもよく売れている。

 なので新商品も人間にしたいところだけど……。

 とはいえ、アリーシャお姉さまやセラといった帝国のご令嬢をぬいぐるみにするのはやめておく方針だ。

 人気ランキングとか作られたら大変なので……。

 実在しない人物がいいよねえ、やはり。

 まあ、銀狼ちゃんはナオだし、お姫さまはエリカなんだけどね。


「……そうだなぁ。……魔法少女とか、かなぁ」


 私には前世の記憶がある。

 魔法少女の漫画やアニメは大好きだったので、デザインは覚えている。


「うーん……。あとはアレだなぁ……」


 もうひとつ、アイデアはある。

 前世では定番だった、擬人化された動物シリーズだ。

 きっと帝都でもウケるだろう。

 ウサギの女の子とか。

 クマの男の子とか。


 こっちの方がいい気がする。


 ただ、いずれにせよ、前世の記憶そのままで作るのは避けたい。

 なんとなく、いやらしい。

 エリカやユイに見せ辛い。


「頑張ってデザインしてみるかぁ……」


 幸いにも私には絵心がある。

 なんとかなるはずだ。

 同じものばかり売っていては飽きられてしまう。

 がんばらねば!


 あと、ユイちゃんぬいぐるみには追加発注があって、すでに納品した。

 またもすごい収入になった。

 なんとびっくり、ユイちゃんぬいぐるみは聖国にも逆輸入されるのだそうだ。

 なんとびっくり、聖女様が自らご希望されたらしい。

 ……言えばあげたのにね。


 そのユイとは、最近、まともに遊んでいない。

 エリカとも。


 2人とも、とてもとても大忙しなのだ。

 とてとてなのだ。

 ただでさえ政治に関わって大変なのに、なんといっても12月の下旬には大祭が開催されるのだ。

 あと、私の「平和の英雄決定戦」も。


 私、司会者なんだけどねえ。


 なにもしていない。


 ユイとエリカには、すべて任せておいてほしいと言われた。


 なんだか、うん。


 私、当事者なのに、蚊帳の外です。


 さみしいのです。


 でも、じゃあ。


 難しいことをやれと言われても無理なので、大人しくしています。

 まあ、うん。

 すべてお任せしたのは私なのですが。


 ナオについては音信不通だ。

 今頃どうしているのか。


 いろいろ考えていると――。

 お店のドアが開いた。


「クウちゃん、来たよー!」

「やっほー、エミリーちゃん」

「やっほーっ!」


 今日も元気一杯のエミリーちゃんが駆け寄ってくる。

 あわせて私は立ち上がった。


「じゃあ、今日もお願いね」

「任せてっ!」


 最近、エミリーちゃんには、お昼の間の店番を頼んでいる。

 おかげで私は、お店を閉めることなく、ふわふわとランチや買い物に出かけることができる。

 お母さんのお手伝いは、そんなに必要ないようだった。

 お母さんは、昼の間は、ウェーバーさんのところから派遣されてきた女性の店員さんと一緒に事務仕事をしている。

 なにかあれば、すぐに対応できる体制のようだ。

 ウェーバーさん、いたれりつくせりだ。

 感謝です。

 でも代わりにエミリーちゃんは、手持ち無沙汰になってしまった。

 というわけで、うちに来ている。


 まあ、うん。


 せっかく時間があるならエミリーちゃんは勉強に集中してもいいんじゃないかなーとは思うんだけど……。

 エミリーちゃん的には、まずは仕事のようだ。


 私は外に出た。


「んー」


 背伸びして、空を見上げる。


 青空だ。


 このまま浮かび上がってしまいたいけど、人目が多いので我慢する。


 とりあえず広場に行った。


 今日も賑わしい。


 ぬいぐるみマートも姫様ドッグも姫様ロールも盛況だ。

 接客するブリジットさんの姿もあった。

 目があって、手を振りあう。

 ブリジットさんは、「平和の英雄決定戦」に参加する。

 明日か明後日にはリゼス聖国に向けて旅立つはずなんだけど、どうやら直前まで仕事はするようだ。

 お店の中からはロックさんの威勢のいい声も聞こえた。

 ロックさんに気づかれると「おまえはレタスを切れ! レタスを!」と、うるさいので私はそそくさと離れた。


「今日のお昼はどうしようかなー」


 いつもの『陽気な白猫亭』でもいいんだけど……。

 帝都にはたくさんのお店がある。

 今更だけど。

 私、思う。

 たまには新たなる刺激、あってもいいよね。


「よし! 今日は新規開拓だ! 知らないお店に飛び込んでみよう!」


 おー!






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