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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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428 久々のリゼス聖国





 エリカと再会した次の日の朝――。

 今度はユイの家に行った。

 エリカとは午後にはお別れしたのでその後で行ってもよかったんだけど、会うなら朝が確実だよね。


 ユイの家には転移陣があるので、移動は一瞬だ。


「おっはよー!」


 バンッと元気にドアを開けてご挨拶。


 ユイは寝ていた。


 むう。


 真っ白なフェレット姿のリトがめんどくさそうに私に顔を向けた。


「静かにするのです。ユイはまだ寝ているのです」

「もう朝なのに?」

「昨日は深夜までニンゲンの治療だったのです。ユイは、一年中が夏休みで毎日がお休みで、心も体もいつでもふわふわのクウちゃんさまとは違うのです。責任があるのです。頼りにされているのです。大変なのです」


 どうしていつもこの小動物は、一言も二言も多いのか!

 温厚なクウちゃんさまも満面の笑みですよ!


「……ねえ、リトちゃん? 朝から喧嘩を売ってるのかなぁ? あ、お腹が空いているのかなぁ? 私の魔力、食べる?」


 リトの首根っこを掴んで持ち上げて、もう片方の手に魔力を集める。


「ふええええええ! リトはお腹いっぱいなのですいらないのですぅぅぅ!」


「んん……。リト、どうしたのお……? ん? あ、クウ……?」


 ユイが起きた。


「おはよー」

「うん、おはよー……。どうしたの……?」


 ユイがのそのそとベッドから身を起こす。

 すぐに時計を見て、


「いけないっ!

 もうこんな時間!

 急がないと朝のおつとめに遅れちゃう!」


 大慌てで部屋を出て行こうとした。


「クウ、ごめん! お話は朝ご飯と一緒でいい!?」

「うん。いいよー。朝ご飯は私が準備しておいてあげるよー」

「ありがとー!」


 ユイが洗面所に駆けていく。


「クウちゃんさまのせいなのです。今日は寝かせてあげたかったのです」


 私に首根っこを掴まれたままリトが未練がましくこぼした。


「でもそれだと遅刻していたよね?」

「いいのです。ニンゲンなんていくらでも待たせればいいのです」

「ま、とにかく朝ご飯を作りに行くよー」


 リトを連れて一階に降りた。


 ユイは朝ご飯と言っていたけど、聖国には炊飯ジャーのような魔道具があるのだろうか。

 これから炊くのは、さすがに無理だろうし。


 キッチンに行くと、あった。


 パカッと蓋を開けると炊きたてのご飯だ!


「おお!」


 これには感動した。


 売っているのなら、ぜひとも買って帰ろう。


 ともかく、あとは、おかずだね。


 冷蔵庫を開けてみると、お惣菜が何種類か入っていた。

 どれも和風な感じで美味しそうだ。


 だけど、生の肉や野菜はなかった。

 ユイは料理上手だけど、さすがに今の環境で、ゆっくり料理をしているだけの余裕はないようだ。


「よしっ! ここはひとつ、クウちゃんさま特製の具だくさん味噌汁でも作ってあげますかー!」

「……クウちゃんさま、料理なんて出来るのですか?」

「もちろんっ!」


 リトを床に下ろして、さあ、調理開始。


 材料はアイテム欄に入っている。


「じゃあ、リトはユイの髪を綺麗にするお手伝いをしてくるのです」

「いってらー」


 さてさて。


 魔導コンロに鍋を置いて、水を入れて。


 出汁には港町リゼントで買った煮干しと昆布がある。

 味噌は、商業ギルドの東方市で買った米味噌がある。


 具材はどうしようか。


 んー。


 少しだけ悩んで、シンプルに大根とナスに決めた。


 あとは、港町リゼントの屋台で買った海鮮串焼き!

 買ってすぐにアイテム欄に入れたものだから、焼きたてなのだ!

 串から外して、お皿に乗せて。


 さくっと完成。


 完成したところで、タイミングよくユイとリトがやってきた。


「うわぁ。なんかいい匂いがするー。もしかしてお味噌汁? あと海の匂いもするんだけどー!」

「クウちゃん特製、ナスと大根の味噌汁だよー。あんど、海の幸ー」

「うわあああ! すごーい!」

「さあ、どうぞどうぞー。座ってー」


 ユイの髪はサラサラのキラキラだ。

 肌もツヤツヤだ。

 リトの手入れを受けてか、それはもう綺麗に全身に光の魔力が通っている。


 しかもちゃんと光のオーラは抑えられていている。


 なんていうか、うん。


 とてもとても自然体に聖女様だね。

 とてとてだ。


 ユイは、おいしいおいしいと大いに喜んでくれた。


「……クウちゃんさまにしては上出来すぎて怖いのです。ずずず……。この味噌汁は本当に良いのです」


 リトは相変わらず一言多いけど、気に入ってくれたようなので今回は見逃してあげよう私は寛容なのだ。


「それにしてもユイ、メイドさんとかいないの?」


 居ても当然な気がするけど。


「お昼に、お掃除とお洗濯はお願いしているよ。本当は自分でやりたいけど、なかなか時間も取れなくて」

「そかー」

「それでクウ、今日はどうしたの? お味噌汁を作りに来てくれたの?」

「実は、次のお茶会が11月の1日に決まったんだー。予定空けといてねー」

「うん。わかったー」

「……ユイ、そんな簡単にうなずいていいのですか? ユイの予定はいつでもてんこ盛りなのです」

「いいのー。私だってたまには遊びたいもん。あ、そうだ。ねえ、クウ、こっちは12月の20日に大きなお祭りをやるんだけどさ、よかったら来ない?」

「へー。いいねー。行く行くっ!」


 それは楽しみだ。


「やったー!」

「どんなお祭りなの?」


 12月といえば……なんだろうか。


「リゼス聖国とジルドリア王国とトリスティン王国が、合同で精霊に祈りを捧げるお祭りなんだよー」

「へー。リトに?」

「すべての精霊に、かなー」

「……それって、私になにか仕事があったりするの?」


 難しいのは無理だよ?


「ううん。クウは普通に楽しんで」

「りょーかい。それならいいね。ちなみにそれって、セラとか、私の友達を連れてきてもいいのかな?」

「うん。いいよー。一応、帝国の皇帝陛下にも招待状は出してあるから、よかったらみんなで来てよ。クウが連れてきてくれれば、みんなも楽だし、というか実はその前提だったりして」

「あはは。わかった。聞いてみるねー」

「……クウちゃんさまは、くれぐれも騒動を起こさないでほしいのです」

「わかってるって。任せて」


 これは、うん。

 年末も楽しいことになりそうだ。


 結局、アレやコレやと話に盛り上がってしまって……。


 この日のユイは、朝のおつとめに遅れた。


 ごめんよ!




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