表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

398/1362

398 闇の魔力




 庭のテーブルに戻ると、お腹いっぱいのミルが寝ていた。

 大満足の様子だ。


 指でつついて起こす。


「んー。なぁにぃ?」

「ミル、テーブルの上で寝ちゃうのはお行儀が悪いよ」

「ふぁい」


 魔法をかけて、ミルがお腹を元に戻す。

 本当に妖精は羨ましいね。


「ふー。でも本当に美味しかった。ありがとね、アリス!」

「……うん」


 お茶会を再開する。


「にくきゅうにゃ~ん」


 アリスちゃんは私の芸を気に入ってくれたようだ。

 早速、披露してくれた。


「なにそれ、かわいいー!」


 ケーキに夢中だったミルは、練習の様子を見ていなかったようだ。


「ししょうがおしえてくれたの」

「クウ様?」

「うん」

「へー。いいなー」

「アリスちゃん、教えてあげたら?」

「いいの……?」

「うん。いいよー」

「やったー! 教えて教えてー! 私もやるー!」


 アリスちゃんの指導を見つつ、私はケーキをいただくことにした。


 ミルを連れてきたのは正解だった。

 アリスちゃんとの相性はバッチリのようだ。


 ミルが覚えてからは、3人でにゃ~ん祭りを開催した。


 楽しかった。


 息が合った時の充実感がたまらいね。


 残念ながらアリスちゃんが芸を披露する機会は少なそうなので――。

 ウェーバーさんに、挨拶代わりに芸をするのは問題があると言われてしまった。

 ごめんなさい。

 言われてみればその通りです。

 アリスちゃんはお嬢様だし、尚更だ。

 なので今、存分に堪能しよう。


 というわけで堪能した。


 満足したところで、普通のお茶会に戻った。

 紅茶が美味しい。


「ねえ、クウ様。アリスには芸だけなの?」

「ん?」

「セラには魔法を教えてあげたんだよね? アリスには教えないの?」

「残念だけど、魔力がないと無理なんだよ」

「ないの?」

「一般的にはないんだよ」

「そっかー。アリスならいいと思ったけど」


 ふむ。


 そういえば確認はしていないか。


 未覚醒の魔力は、緑魔法『魔力感知』でないとわからないし。


 試しに使ってみた。


 すると――。


 アリスちゃんの中に、黒い小さな光があった。


 未覚醒の、闇の魔力だ。


 私は、そのことを口に出しかけて、どうにか押し留めた。


 何事もなかったように紅茶を楽しむ。


 言わない方がいいと判断した。


 ゼノが聞いたら怒るだろうけど――。


 人間の社会の中で、闇の魔力というのはイメージがよくない。

 そのまま黒魔術に結びつくくらいだ。


 実際には、闇の魔力と黒魔術は結びつくものではない。


 闇の魔力は、あくまでこの世界に満ちる力のひとつだ。

 光や風と変わらない同質のものだ。


 黒魔術はちがう。

 黒魔術の根源となっているのは、異界から侵食してこの世界を蝕もうとしている邪悪な力だ。

 この世界の力ではない。


 だけど世間では、同じものとして見られている。


 どうしたものか。


 お誕生日会はつつがなくおわった。


 アリスちゃんとも、すっかり仲良くなれたと思う。


 また一緒に遊ぼうね!


 お別れを悲しむアリスちゃんに手を振って、私とミルはウェーバーさんのお屋敷を後にした。


 まずは『帰還』の魔法で大宮殿の奥庭園に飛んだ。

 ミルは普通に付いてきた。

 ふむ。

 私はここで気づいた。

 『帰還』は、すべてのプレイヤーが最初から持っている個人用の魔法だ。

 自分1人だけをホームポイントに飛ばす。

 ゲームでは、そういう仕様だった。

 なのにミルは、ごく普通に私と一緒に魔法で帰ってきた。


 仕様が拡張されているのかも知れない。

 他人も一緒に飛べるならすごく便利だ。

 特にセラと外で遊んだ時に。


 ただ、ミルは小さな妖精さんなので、アイテム扱いされている可能性もある。


 今度、誰か……、ヒオリさんあたりで試してみよう。


 まあ、でも、それは今度でいい。


 アリスちゃんの中に眠る闇の魔力についての方が優先課題だ。


 私が知る限り、この大陸に闇の力を持つ人間はいない。

 光の力はユイとセラが持っている。

 大陸で2人だけだ。

 同じように闇の力は超レアな特性なのだろう。


 あ、ナオがいるか。

 未覚醒のままだけどナオにも闇の力はあったね、そう言えば。

 光の力も。

 考えてみるとナオって、まさに忍者な身体能力に加えて、将来的には光と闇の力も使えるようになるのか。

 すごいね。


 まあ、それはともかく。


 潜在魔力は『女神の瞳』では識別されず、専用の魔道具による詳しい調査が必要みたいなので……。

 普通に生きていけば、知られずにおわるのだろうか……。

 それなら放置でいいと思うけど……。


 ご両親に伝えてみる?


 安易に伝えても、いい結果にならない気がする。


 うーん。


 困った。


 誰かに相談したいところだけど。


 誰がいいんだろうか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] アリスちゃんに闇の魔力・・・。でも、闇=夜=安らぎ=月の光=癒しの時間・・・悪いイメージばかりではないのよ。   クウちゃん、アリスちゃんを助けて、・・・。
[一言] >誰かに相談したいところだけど。 >誰がいいんだろうか。 女神様、女神様、聞こえますかー
[一言] そこはまずウェーバーさんと両親に相談では?真っ先に陛下が出るのはいつも迷惑かけてるからなんだろうが。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ