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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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357 かしこい精霊さんの天才的なひらめき





 ひらめいた。


 いきなりだけど、私、いいことを思いつきました。


 というわけで。


 私は急いで精霊界に戻って、ゼノを竜の里に連れてきた。


「……で、なんなの一体」

「ふふー。なんでしょうかー?」


 当ててみて?


 可愛くおどけてみたら、


「あのさ。問答無用で連れてきてその態度は酷くない!?」


 ゼノさんがキレたので謝りました。


「さて……。用件なのですが、実は結界を張りたいので、ゼノさんにも協力をお願いしたいと思いまして」

「ふーん。どこに張るの? 帝都?」

「あ、帝都にも張りたいね」


 陛下の許可が出れば。


「それなら王国にもお願いしたいですの」

「そだねー」


「――ということは、ニンゲンの領域ではないのであるか?」

「ううん。人間の都市だよー」

「なら聖都? 聖都は、私とリトで張ったから、もう問題はないよ?」


 フラウに続いて、ユイが首を傾げる。


「ふふー。今回、私が結界を張りたいと思うのはトリスティン王国なのでーす」


 私が発表すると、みんなに不思議がられた。


「……クウちゃん、あんな国を守りたいのであるか?」

「うん。悪魔の魔の手から、市民のみんなを」

「ああ。そういうことであるか」

「うんっ!」


 フラウはすぐに察しがついたようだ。


「どういうことなんですの? わたくしにはわからないのだけど……」

「えっとね、結界を張ることで、悪魔を締め出すか、苦しめるか、身動きとれなくしてやろうと思ってねー」

「そのようなことができるんですの?」

「できるかなーと思ったんだけど……。ゼノ、フラウ、どう思う?」


 たずねると、ゼノが答えてくれた。


「できるんじゃないかな。だって悪魔は邪神の眷属だし。どれだけ受肉していても穢れた力そのものだし」

「どんなことになると思う?」

「さあ。悪魔とは会ったこともないからわからないよ」

「ないんだ?」

「ボク、物質界には、イスンニーナの領域だった帝国にしか来ていなかったし。少なくとも帝国で見たことはないよ」

「フラウはどう? どんなことになると思う?」

「妾も悪魔とは遭遇したことがないのである。……クウちゃんが消し去ってくれた瘴気の谷から出てきていたかも知れないと思うと、情けない話なのである。竜の里に閉じこもり過ぎていたのであるな」


「ここ、本当に快適ですよねー。空気も部屋も綺麗だし。私、ナオと一緒に、ずっとここに居てもよかったんだけどなぁ」


 ユイが未練がましくぼやいた。


「そんなこと言うと、リトが泣くよー」

「うん。まあね……」

「がんばれがんばれ」


 ユイは、リトとの契約に加えて、前世の魔法の使い方にも目覚めている。

 光の翼で空を飛んで、転移魔法すら使えるのだ。

 悪魔を撃ち抜く攻撃力もある。

 能力的には、しっかりやっていけることに疑いはない。


「……しかし、話を聞いていると、わたくしも不安になりますわね。ジルドリア王国は大丈夫なのかしら」

「少なくとも聖国には、変な噂は来ていなかったよ」

「心配なら3号も早めに国に戻ると良いのである。3号にはハースティオが従者としてついていくのであろう? ハースティオは7000年を生きた古代竜。悪魔への対処もできるはずなのである」

「そうですわね……。その方がいいかしら……」


「とりあえず行ってくるよ。ユイ、リトを少し借りるねー。リト、ユイの家でユイの帰りを待ってるんだよね?」

「私は行かなくていいの?」

「うん。私とゼノとリトで、精霊界を経由してさくっと行ってくるよ」


 そうすれば、すぐだし。

 夜が明けるまでにはおわるだろう。

 普段ならとっくに寝ている時間だけど……。

 テンションが上がりすぎて、まるで眠くならないし。


「妾も悪魔は見てみたかったのであるが、そういうことなら待っているのである」

「あ、ねえ、フラウ。もしも悪魔を捕まえたら、ここに連れてくるのってどう? やっぱりそれは危険かなぁ」


 捕まえるんだ、と、みんなには驚かれたけど。

 緑魔法が効くなら拘束は可能だ。


 ただ、その後が問題だよね……。


 どこで、どうするのか。


「連れてきて良いのである」

「いいの?」

「で、ある。完全武装して待っているのである」

「聞いておいてなんだけど、危険かも知れないよ…‥?」

「世界の敵を知る絶好の機会なのである。そもそも竜と精霊で太刀打ちできなければこの世界はおわりなのである」


「というより、クウに捕まった時点で勝負はついていますわよね」


 エリカが肩をすくめる。


 それはそうか。


 拘束できた場合は、竜の里に連行することで決まった。

 ついでに光の大精霊リトも、今回限りは連れてきても良いことになった。


「でも、アレだね。悪魔の話はあれこれあっても、やっぱり魔王の話はないんだ? 悪魔には王とかいないのかな?」


「そうであるな……。

 悪魔というのは、我らにとっては影のようなものだったのである。

 その存在を許容するつもりはないのであるが――。

 たとえばトリスティンの件でも、あくまで主体はニンゲン――。

 悪魔などは、ただの影。

 ニンゲンが力を得るために魔術で利用しているだけと認識していたのである。

 故に、気にしてこなかったのである」


「そもそも悪魔連中は、5000年前に完膚無きまでに叩きのめされて、力の大半を無くしたままだしね」


 ゼノが肩をすくめる。


「そして1000年前までは、この世界には精霊がいたのである。

 精霊の息吹は、悪魔にとっては毒。

 精霊がいる世界で、悪魔が好き勝手できるはずもなかったのである。

 我らは精霊が去るのに合わせて竜の里に引きこもったので、

 どうしても悪魔とは縁が薄いのである」


「……天敵の精霊が消えた世界で、1000年をかけて悪魔は力を蓄え、今、このタイミングで活動を始めた、ということなのかな」


 ユイのつぶやきに、フラウとゼノがそうかも知れないとうなずく。

 続けてエリカがたずねた。


「5000年前の時には、司令官とかはいませんでしたの?」

「さあ」


 ゼノが肩をすくめた。


「そういうお話は、精霊の間にも残っていませんの?」

「ないね。ボクたちの間では、先代女王の伝説のひとつでしかなかったし。まったく気にもしていなかったよ」


 話を聞いていて、わかったことがある。

 つまり、魔王の実在については――。

 気にして来なかった、調べて来なかったというだけで、不明なわけだ。


「よし。ゼノ、そろそろ行こっか」

「リョーカイ」

「じゃあ、みんな、後はよろしくねー!」




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― 新着の感想 ―
[一言] 精霊くんたちもいつか物質界でふわふわできるといいね。みんな何も考えずにふわふわするだけで、なんか癒される気がする。
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