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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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300 世界の平和!(マリエ視点)

「それでは後はお願いしますね、ナオさん! 私、期待しています!」


 ナオさんが上手くまとめてくれることを。


「期待?」

「はいっ! 期待しています!」


 私が拳を作ると、ナオさんがゆっくりと私から視線を変えます。

 ナオさんの視線は、クウちゃんのところで止まりました。

 そして、言います。


「期待」


 なぜかクウちゃんがビクッと全身を震わせます。

 なぜか怯えているみたいです。

 怖いものなしで、なんでも思い通りにできちゃいそうなクウちゃんが。

 どうしたんでしょうか。


「クウちゃんが期待なんですか?」


 ナオさんに聞いてみました。


「いえす。クウは期待の子」

「そうなんですかぁ」


 さすがはクウちゃんです。

 みんなに頼りにされているんですね。


「クウ」

「は、はいっ!」


 ナオさんに呼ばれて、クウちゃんが大きな声を出します。

 やっぱり怯えているみたいです。

 本当にどうしたんでしょうか。


 すっ――。


 と、ユイさんとエリカ様が拍手の準備をします。

 その様子を見て、アリーシャ殿下やディレーナ様までもが拍手できるように手を胸の前に持ってきました。

 あわてて私も同じようにします。


「……や、やめて、ナオ。……お願いここでは許してぇ」

「大丈夫。私はわきまえている」

「ホント……?」

「本当。それはともかく、本当に私が決めていいの?」

「はい! お任せします!」


 立ち上がってクウちゃんが敬礼します。

 事情はさっぱりですが、話はまとまったようです。


「なら、決めます」


 いよいよです。

 果たしてナオさんは、どんな裁定を下すのでしょう。


「リトさんは精霊界に帰って、仕事をして下さい」

「酷いのです!」


 リトさんが悲鳴みたいな声を上げます。

 ユイさんも非難しようとしますが、それをナオさんが手で制します。


「ユイは修行中です。イスンニーナさんの領域に居るので一緒にはいられません」

「闇の領域……。なのですか?」

「はい」

「……そうなのですか」


 私にはさっぱりわからない話ですが、リトさんは納得したようです。


「でもおまえは、どうして知っているのです? いや、おまえ――。光と闇の力を兼ね備えるおまえは何者ですか!?」

「私はカメです」

「……ユイのそばにいるのは納得なのです」


 納得するんだ!

 と思ったけど、もちろん口にはしません。


「修行がおわるまでは、月に一度、会うということでどうでしょうか。場所は、安心安全なクウの家を提案します」

「わかったのです。リトも、イスンニーナの領域に入るつもりはないのです。なのでそれでいいのです」

「ユイもいい?」

「……うん。……リト、ごめんね」


 了承しながらも、なぜかユイさんは謝りました。

 罪悪感を抱いているようです。

 でも、修行中ならしょうがないですよね。


「クウもいい?」

「はいっ! ナオ先生の決定に従います!」


 ナオさんってもしかして、すごい人なのでしょうか。

 あのクウちゃんが下っ端ムーブです。

 光と闇の力も持っているそうですし……。

 本当に――、このお茶会の参加者で一般人なのは、私だけみたいです。


 どうして私、ここにいるんでしょうね?


 今更だけど笑えてしまいます。


 でも、なんにしても。


 これで世界は平和ですよね!


 よかったです!


「ユイ、リトと正式な契約をしてほしいのです」

「契約?」

「なのです。リトとつながって、光の力を自由に使ってほしいのです。リトはユイをいつでも感じていたいのです」

「うん。いいよ。お願いできるかな?」

「なのです!」

「あ、リト。ついでにこの子もお願い」


 セラフィーヌ殿下のうしろに回って、クウちゃんが殿下の背中を押します。


「え、あ、クウちゃん!?」


 セラフィーヌ殿下がびっくりした顔で振り向きます。


「よく見れば、もう1人、光の属性持ちがいるのです。驚きなのです」


 リトさんは本当にユイさんのことが好きなのですね。

 先程のナオさんと同じで、他の人のことはまったく見ていなかったみたいです。


「一緒に契約してあげて?」


 クウちゃんが、なんとなく怖い笑顔でリトさんにお願いします。


「クウちゃん!?」


 セラフィーヌ殿下が更に驚いた声をあげます。


「無理なのです」

「は? 喧嘩売ってるの?」

「お、怒ったってどうしようもないのです! だってその子は、もうクウちゃんさまと契約しているのです上書きは不可能なのです」

「……あ。そういえばそうか」

「そうですよっ! わたくし、クウちゃんと契約しましたよね!? 今さら他の精霊様に移れだなんて酷いですっ!」

「ごめん……。正直、忘れてた……」

「酷いです! クウちゃん!」

「あははははは! バカなのです! さすがはクウちゃんさま! 大切な契約相手のことを忘れるなんてバカの極みなのです!」

「おい……。リト……?」

「ひぃぃぃぃぃ! 助けて! 助けてなのですユイぃぃぃぃ!」


 という騒動はあったものの、平和なお茶会が戻りました。


 この後は夕暮れまで。


 ゆったりと、いろいろなことをおしゃべりしました。

 政治に関わる真面目な話もありました。

 オシャレや娯楽の話もありました。

 なにしろ、聖国と王国――二度とは会うことのないかも知れない、他国のお姫様が目の前にいるのです。

 お互いの興味は尽きません。

 アリーシャ殿下にディレーナ様にエリカ様の笑顔が怖いのは、もう見ないことにしているので私は平気でした。


 私は、はい。


 ひたすらニコニコしていました!

 胃が痛いです!

 本当は平気じゃありませんでしたとも!


 でも後少しの我慢です。


 私は夕方には帰れるのですから。

 さすがに晩餐会には出なくていいですよね。

 なにしろ庶民ですし!


 はい。


 フラグでした。


 お茶会の後。


 私はディレーナ様に連れられて、馬車ではなく大宮殿の客室に入るのでした。

 強制イベントです。

 棺に入っていてもそのまま連行です。

 帰る選択肢はないようです。



ついに300話まで来ました!

ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました!

評価にブクマに感想もありがとうございました!

ここまでで、PV250万、総合評価8430、ブックマーク2075をいただきました。

お話は、まだ続きます。

まだまだやる気なので、今後ともよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] バカなのです!  さすがはクウちゃんさま! バカの極みなのです! \(^o^)/ [一言] なんと300話! (*゜▽゜)/゜・:*【祝】*:・゜\(゜▽゜*) これで多分、全体の300分…
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