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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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292 仲良くしよう?(マリエ視点)

 このまま喧嘩別れになったら、まさか戦争になっちゃうんでしょうか。

 実際、つい先日まで、帝国と王国は戦争寸前でした。

 庶民の私でもそれは知っていました。


 なんとかしないと……。


 と思いながらも何もできないでいると……。


「エリカー。いい加減にしなよー。クウに言いつけるからねー」


 ユイさんが、そんなことを言いました。


「う。そ、それは困りますの……」


 エリカさんが明らかに動揺します。


 クウちゃん……。


 強いっ!


 ユイさんが身を正して、アリーシャ殿下に頭を下げます。


「アリーシャさん、この度のことは私にも責任があります。

 申し訳有りませんでした。

 謝罪します。

 帝国の公でも謝れというのならそうします。

 どこでどうすればいいのか教えてください」


「……ユイさんに思うところは何もありませんわ。

 すでに訂正はいただいておりますし。

 ユイさんに帝国でなにかをしていただく必要はありません」


 それは、うん、そうだと思います。


 ユイさんは、竜の里で私が見た姿からして、けっこう受け身な人です。

 なので今の発言は、きっと天然だと思いますけれど……。

 聖国から姿を消したユイさんが、帝国に現れて、謝罪なんてしたら……それこそ信者の人たちは激怒です。

 間違いなくプンプン丸が出港します。

 炎の船出です。

 帝国が聖女を拉致したと思うに違い有りません。


「では、握手しましょう。エリカもほらっ」


 ユイさんが朗らかにエリカさんの手を取って、それから立ち上がるとアリーシャ殿下の手を取ってしまいました。


「はい、仲良し」


 そして、強引にくっつけます。


「アリーシャさん、どうかご理解ください。

 エリカは大国の王女なので、簡単に頭は下げられません。

 危険を承知で帝国に来ていることが清算だとお考えいただけないでしょうか。

 どうかお願いします」


「……わかりましたわ。今回はユイさんの顔を立てます」

「ありがとうございますっ!」

「――いいえ。――聖女様のお導きのままに」

「さあ、セラフィーヌさんも、ディレーナさん、マリエさんも手を出して下さい。もちろんナオもだよ?」


 みんな、自然に椅子から身を起こしました。

 テーブルの上で手を重ねます。


「これ、なんだか気合を入れるみたいだね。あ、そうだ! みなさん、私に続いて声をあげてみてください。いくよー」


 というわけで。


 私たちは何故か、お茶会の席で。


 聖女ユイリア様の能天気な声に合せて。


 えい・えい・おー。

 えい・えい・おー。

 えい・えい・おー。


 3回、繰り返しました。


 完全に場違いです。

 意味がわかりません。


 もしもこれ、仮に私がやったら――。

 完全におわりです。

 プンプン丸も沈没です。


 だけど、やるのが聖女ユイリア様となれば、話は違います。


 3回おわって着席する時には、エリカ様もアリーシャ殿下も苦笑いというかあきらめの表情というか、そんなものを浮かべて――。

 先程までの緊迫した空気はどこかに消えました。


「これで仲良しだねっ!」

「はいっ! ユイさんっ! わたくし、楽しかったですっ!」

「楽しかったねー」


 ユイさんとセラフィーヌ殿下が笑い合います。

 すごいです。

 一瞬で打ち解けています。


 と、ここでユイさんが急に真顔になります。

 セラフィーヌ殿下を見つめて、です。


「……あの。なにか?」

「あ、ごめんなさい。セラフィーヌさんには光の力があるんですね。クウから聞いていましたけど」

「……はい。まだまだ未熟ですが」

「クウから習っているんだよね?」

「はい。教えてもらっています」

「ライトボール」


 突然、ユイさんが魔術を使いました。

 ユイさんの手のひらの上に、光の玉が浮かびます。


「こういうの?」

「はい……! それ、クウちゃんに教わりました! 同じなんですね」

「うん。同じだよ。さあ、同じ魔法を使ってみて」

「はい――」


 セラフィーヌ殿下が目を閉じ、意識を集中させます。

 そして「ライトボール」と声を上げると、セラフィーヌ殿下の手のひらにも光の玉が生まれました。


「うん。いいね。ちゃんと制御できてる。本当に使えるんだねー。すごいねー」

「ありがとうございます。まだまだですけれど……」

「ううん。セラちゃんが頑張っているのは、すごくわかった。ホント、クウが頭をナデナデしたくなるのもわかるなー。あ、ごめんなさい私ったらセラちゃんなんて」

「いえ、あの……。セラちゃんと呼んでくれるのは構いませんけれど……。頭ナデナデはやめて下さいね? 私、同い年です」

「あはは。ごめんね」

「……なんだかユイさんって、クウちゃんとそっくりです」

「あはは」


 確かに。

 空気を読まない明るさと、よくわからない行動が。


 2人の話を聞いていると、ディレーナ様が足を突いてきます。

 いや無理ですよ!?

 どうしてこのタイミングで……。

 私ごときが口を開けるんですかぁぁぁぁぁぁ!


 ディレーナ様だって空気なのにー!


 私達、今、空気シスターズですからね!


 もうコンビですからね私達!


 ここは空気らしく、静かに漂っていましょうよー!

 ってそれはクラゲかぁぁ!

 海の中かここはぁぁぁぁ!

 窒息しますよこのままではぁぁぁぁぁぁ!


 ブクブクですよ、ブクブク!


 …………。


 落ち着こう、私。


 危なかったです。


 危うく、意味不明なことを叫ぶところでした。



「そういえば光の力と言えば――」


 あ、ユイさんがディレーナ様のことを見ました!


「ディレーナさんには治癒の痕跡がありますけど――。何かあったのですか? 私でよければ相談に乗りますよ?」


 チャンスですディレーナ様!


 ユイさんに怒涛のアピールをしちゃって下さい!

 掴み取って下さい!

 自らの!

 その手で!

 皇太子殿下とのお墨付きを!


 私、応援します!


 心の中での応援だけならいくらでもできます任せて下さい!


 頑張って下さい!




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