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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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165 旅立ち、精霊界



「じゃあ、ヒオリさん、家のことはよろしくね」

「はい。お任せください」

「ぬいぐるみ、たくさん作っておいたから、どうしてもほしい人がいたなら売っちゃっていいからね」

「了解です。店長もお気をつけて」

「うん。いってきまーす」


 朝、家を出た。


 夏だ。

 旅行だ。


 任務は重大だけど、楽しめるところは楽しもう。


 まずは銀魔法の『転移』で、竜の里にゴー。

 朝っぱらからカメになっていたナオを素早く捕獲して今後の相談。

 でもナオは国際情勢を知らないし、興味もないみたいで、残念ながら有益なアドバイスは得られなかった。


「エリカにはゲンコツ。前世からのお約束」

「ユイにもゲンコツ。面倒くさいから」


 とは言われたけど……。


 つまりは、難しいことは考えずに、とりあえず殴る。

 それで解決。

 簡単で素晴らしい。


 うん。

 はい。


 王女と聖女にそんなことをしたら戦争になりかねない。


 でもせっかくのナオからのアドバイスなので、覚えるだけは覚えておこう。


 あとフラウが、私たちの友だちなら竜の里に連れてきてもよいと言ってくれた。


 なので、ユイとエリカの許可が得られれば――。

 まあ、最悪、別に得られなくてもいいけど――。


 2人を竜の里に連れてくることにしよう。

 銀魔法『転移』は、触れている相手も一緒に飛ばせるしね。


 さあ、時は金なり。


 ナオへの相談を終えた次は、精霊界に移動だ。


 近くの森に入って、魔法感知で精霊界につながったゲートの泉を探す。

 すぐに見つかった。


 ざぱーん。


 泉に入れば、そこは精霊界。


 マップを開いて、ゼノの家に向かう。

 居てくれるといいけど。


 到着。


「おーい! ゼノー! ゼノちゃーん! いるー? いるなら出てきてー! 出てこないとおうちを破壊するよー! 今から10数えるからー! 数えおわる前に出てきてくれないと、私、知らないよー!」


 いーち!


 にー!


 と、カウントを始めたところで出てきてくれた。


「あのさ! なんでいきなりボクの家を壊そうとしているわけ!?」

「やっほー。久しぶりー」

「だからー! 普通に呼び鈴を使ってね!?」

「あ、そういうのあるんだ」


 よく見てなかった。


 黒い玉くんたちにじゃれつかれながら、ゼノの家に入れてもらう。


 廊下もリビングも見事に黒かった。


「で、なんの用?」

「うん。実はね、私、リゼス聖国ってところに行きたいんだけど……。精霊界からの出口がどこにあるのか教えて?」

「いいけど……。何か面白いことがあるの?」

「もちろん!」

「へー。ボクも行っていい?」

「今回はダメ」

「えー! なんでさー!」

「だって、侵入ミッションだしねー。2人だとやりにくそうだし」

「……何をする気なの?」

「聖女っているでしょ。彼女にこっそり会いに行くの」

「んー。そうかー」


 ゼノにしかめっ面をされた。


「どうしたの?」

「聖女はね、シャイナリトーのお気に入りなんだよ」

「……えっと。誰だっけ?」


 光の大精霊とのことだった。

 ユイの持つ強い光に惹かれて赤子の頃から密かに見守っているらしい。


「だから、下手に手出しすると喧嘩になるよ」

「ふーん。強いの?」

「戦えば、ボクと互角だとは思うよ」

「なら平気だねー」

「一応、ボクもリトも、ひとつの属性を司る強大な存在なんだけどね」

「みたいだねー」

「……クウと話していると、なんだか感覚が変になるよ」

「わはははっ! 褒めてもギャグしか出てこないぞー!」

「あ、久しぶりに見たいっ!」


 いいよいいよ!


 クウちゃんさま必殺の一発芸を披露してあげた。


「あははは! やっぱいいね、最高! あー、あの夜を思い出すねー!」

「またやろうね」

「うん! 絶対にやろう!」


「で、えっと。光の大精霊だっけ。その子もゼノと一緒で、物質界に直接の干渉はしていないんだよね?」

「うん。してはいけないと言っている本人だし」

「そんなに聖女のことが好きなら、すればいいのにねー」

「真面目で堅いんだよね、リトは」

「そかー」


 事前に話をつけておいた方がいいのかな。

 そう聞いてみるとゼノは首を横に振った。


「ごめん。ボクがうっかりしていたよ。考えてみたらさ、クウはすべてを支配する新女王様だよね。大精霊の意向なんて気にする必要はないよ。好きにやった方がいいよ。その方がボクも笑えそうだし」

「笑えるならいいか。笑いは正義だし」

「うん。楽しくなりそうだよね、いろいろと」


 わっはっはー!


 2人で笑って、方針は決まった。


 よし。


 好きにやろう。


 そうだね。


 誰がどうとか、そんなことをいちいち気にしていたら何も進まない。

 というか面倒。

 やってから考えよう。


 というわけで、ゼノにリゼス聖国へのゲートを教えてもらった。

 ついでにジルドリア王国のゲートも教えてもらった。


 マップには、しっかりマーキングしておく。


 これで2つの国に行くのも簡単だ。


 あとはダンジョンの情報がほしい。

 ダンジョンの転移陣を登録できれば、以降の移動は転移の魔法で更に簡単。

 転移の魔法には他人を運べるメリットもある。

 人間同士での会議が必要になった時、重宝することは請け合いだ。


 できるだけ早く各国の転移陣は登録したいところだ。


 少なくとも、各国の首都付近の転移陣は。


 でも残念ながら、ゼノはダンジョンには詳しくなかった。


 まあ、とはいえ、私は冒険者。


 冒険者ギルドで聞けばいいか。


 私の素性がバレてしまう『女神の瞳』のような鑑定具があると不味いけど、話では他国にはないらしい。

 あれは帝国だけのアイテムのようだ。


 他国では、魔術によって善悪の判断がされるだけだと聞いている。

 それなら問題はないだろう。

 なにしろ私、悪い事なんてひとつもしていない。


 準備を済ませてからユイに会おう。


 あとは成り行き任せかな。


 ユイがわかってくれればよし、わかってくれなければ説得すればよし、どうしてもダメならナオのアドバイス通りにしちゃおう。

 それでもダメならもうめんどくさいから『転移』の魔法で連行だ。

 あとはナオに任せよう。


 うん。


 カンペキ。


 私は本当に、かしこい精霊さんだね。




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― 新着の感想 ―
[良い点] みなさん、お久しぶり\(^o^)/ですね! タピ…… じゃなかった黒い玉くんたちも、 ひさ(๑º﹃º๑)ジュルリ…… 二人で行ってたら、きっと 【ミッション・イン・ぽしゃん】 でしたね~…
2021/09/14 03:13 退会済み
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