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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍化】  作者: かっぱん


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1371 閑話・マリエはハッピーを探して……。





 朝。

 私、マリエは家を出る時からご機嫌だった。

 なにしろ今日は、帝都中央学院で行われる学院祭の二日目。

 異国から来た友達のお世話もあるので大変といえば大変なんだけど、でも、それを差し引いても学院祭は楽しい。

 たくさんの屋台があって、たくさんの催しがあって、本当に賑やかなのだ。

 構内の生徒たち――普段は見ることのできないエリートさんたちの生姿を見るのもなかなか良い経験になる。

 もっとも、エリートという意味では、私がお世話をする二人は――。

 一人は大陸を代表する聖女様。

 一人は大陸を代表する英雄様。

 それ以上の存在なんて、ほぼいないのだけど。


 正直、初日は大変だった。

 武闘会の予選を見に行ったら、水と風の大精霊イルさんとキオさんがどちらが強いかで言い争いを始めて――。

 そうしたら……。

 光の大精霊リトさんが、二人まとめたって自分の方が強いと言い出して……。

 ならやってやるということになって――。

 もちろん止めたんだけど――。

 ユイナちゃんなんて、舞台にまで追いかけて止めたんだけど――。

 ……大惨事になった。

 その後は、すべてを「なかったこと」にするため……。

 アリーシャ様のところに相談に行って……。

 事後処理のお手伝いをして……。

 あれやこれやの内……。

 気づいたら一日はおわっていた。

 最後には美味しい唐揚げをお腹いっぱいに食べられて満足ではあったけど。


 なので今日は、めいっぱい、屋台と催しを楽しむ!


 私はそう決めていた!


 幸いにも、三人の大精霊さんたちは戦いの舞台を精霊界に移して、そのまま延々とケンカを続けている。

 今日はなので、ナオちゃんとユイナちゃんだけ。

 すなわち平和なのだ。


 と思ったのだけど……。


 待ち合わせの中央広場につくや否や、逃げるようにクウちゃんは消えて……。

 あとに残るのは一触即発の二人だった。

 なぜか仲良しのはずの……。

 聖女様と英雄様が、バチバチと睨み合っているのだ。


「……二人ともどうしたの?」


 仕方なく私はたずねた。


「ユイが酷い」

「ナオが常識知らず」


 二人の言い分はこうだった。


「とりあえず、座ろうか」


 私は二人の背中を押して、まずはベンチに座らせた。

 二人は大人しく並んで座ってくれた。

 ただ、むすっとはしていたけど……。

 私は二人の前にしゃがむ。

 落ち着いたところであらためて話を聞いてみると――。

 なんと、男の人の取り合いだった。

 しかも相手はボンバーさん。

 なるほど、クウちゃんが逃げるわけだ。

 でも話を聞くに、そんな深刻なことには思えなかった。


 ユイちゃんは、ボンバーさんのことが純粋に好きみたいだけど……。

 ナオちゃんは一緒にハッピーしたいだけのようだし。

 でもユイちゃん的には、仲良くされるのも嫌みたいで、それで一緒に遊ぶのを拒否してトラブルになっていて……。


「でもさ、ユイちゃん。それだとクウちゃんなんて、とっくに仲がいいよね? 一緒に仕事をしているし、食事もするし、付き合いも長いし」

「それは……。そうだけど……」

「それでナオちゃんだけ仲間外れにするって、ちょっと可愛そうだよね? ナオちゃんは別にハッピーさんを取りたいんじゃなくて、久しぶりにハッピーしたいって言っているだけなんだから」

「そう。私はハッピーしたいだけ。ハッピーできるのはハッピーさんしかいない。久しぶりにハッピー成分を補充させてほしい」


 ナオちゃんがそう言うと……。

 しばらくの間ユイちゃんは黙り込んでいたけど……。


「うう……。わかったよぉ……。でも、少しだけだけからね? 私だって、久しぶりなんだからさぁ」


 と、ちょっとわがままは入ったままだけど、了承してくれた。


「よかった。ほら、ハッピーになろうよ」


 私は二人を握手させた。

 二人は素直に従ってくれた。


「よしよし! 二人ともハッピーになったね! あ、そうだ! 景気づけに姫様ロールでも食べてから学院に行こうか? 朝からもう開いてるみたいだし。よし! ここは私が好きなだけ奢ってあげるよ!」


 二人の手を取って、私は歩こうとした。


「うん。わかった。食べる」

「マリエ、感謝」


 二人はついてきてくれた。


 あれ、というか。


「ねえ、二人とも、あそこにいるのってハッピーさんじゃない?」

「あ、ホントだ!」


 パァッとユイちゃんが明るい顔をする。


 よく見れば遠くに、黄色いスーツを着た大男がいたのだ。

 ハッピーさん。

 ボンバーさんに違いなかった。


「ハッピーさーん!」


 ユイちゃんが声をかけると、ハッピーさんがこちらに気づいて、慌てることなく紳士な態度で歩いて近づいてきた。

 ハッピーさんことボンバーさんは、かなりの変人だと思うけど、同時に紳士な態度もできる不思議な人だ。


 私たちはその場でハッピーさんを待った。


「どうしたの、ハッピーさん? それにその格好」


 ユイちゃんがたずねる。


「ははは! 実は、ユイナちゃんとカメの子さんを驚かせてやろうと思いましてな! 久しぶりにハッピーになってみたのです。まだ居てくれてよかったですぞ! さあ、一緒に幸せになろうではありませんか!」


 その言葉にナオちゃんが「おー」と答える。

 ユイちゃんは冷静なようで、


「今ここで?」


 と言ったけど、返事を聞くより早くハッピーさんは踊り始めた。


 ハッピー、ちゃっちゃ♪

 ハッピー、ちゃっちゃ♪


 あーうん。

 クウちゃんが逃げ出すわけだよ。


 私はしみじみと思った。


 ナオちゃんは無表情ながら、ハッピーさんと共にハッピー踊りを始めた。

 とても楽しそうなのは頭の獣耳を見ればわかる。

 ぴこぴこ揺れていた。


 ユイちゃんも少しだけ遅れて踊りに混じった。

 最初は戸惑い気味だったけど、すぐに周囲の目とかは気にならなくなったようで満面の笑顔へと変わった。


 ハッピー、ちゃっちゃ♪

 ハッピー、ちゃっちゃ♪


 楽しい声が朝の中央広場に響いた。

 まわりに人は多かったけど……。

 みんな、ちらりとは見るものの、からんでくる人はいなかった。

 ボンバーさんはよくも悪くも有名人だしね。

 またか。

 としか思われないのだろう。


 しかし、ボンバーさんはさすがなのかも知れない。


 これなら私がいなくても平気だったね。


 私は少し離れて、他人のフリをしつつ、三人の踊りを眺めるのだった。


 ハッピー、ちゃっちゃ♪

 ハッピー、ちゃっちゃ♪











竹書房「竹コミ!」にて連載していた漫画版ですが、今週の月曜日で最終回を迎えました。

最後まで丁寧に描いていただき、オギノ先生には感謝しきりです。

本当にありがとうございました。お世話になりました。

お読みいただいた皆様もありがとうございました。

まだの方は、よかったらぜひ見に行ってやってくださいっ!

https://takecomic.jp/series/ee735faee01b8



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― 新着の感想 ―
マリエさんは気付いてないかもだけど、ほぼ庶民と変わらない名だけの貴族の娘でアリーシャ様と懇意にし、クウさんって地上界では神の次に貴い存在と親友になり、その繋がりで各国の偉人となってる幼馴染達とも友誼を…
苦労人人力でなかったことに出来るスキル習得w
マリエさん凄いですね この二人をこうも宥められる人はそういないでしょう ある意味オンリーワンな存在
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