表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1346/1359

1346 スオナにお願い






「ねえ、クウ。僕にも何かお願い事はないかな?」


 休日、お店にスオナとアンジェが遊びに来た。

 で、お店にはお客さんがいたので、奥の工房に入って、では何をしようかと思ったところ、いきなりスオナが言った。


「どうしたの、スオナ」


 意図がわからずに私は首を傾げた。


「ほら、コレがね」


 アンジェが腰のベルトに差したワンドに手で触れる。


「ああ」


 なるほど。

 そのワンドは私がラシーダのことをお願いする時に差し上げたものだ。

 風と火の属性石がついた特製の魔道具です。


「スオナもほしいんだ?」

「恥ずかしげもなく言ってしまうと、ほしくて」

「私も手伝うからさ、何かない?」

「んー。そうだねー」


 スオナになら、ほしければあげてもいいけど。

 タダというのはあんまりよくないか。


「じゃあさ、スオナ。これからファーとエミリーちゃんに魔力の扱い方を指導してもらえる?」

「それは構わないけど……。僕で役に立てるのかい?」

「うん。ファーもエミリーちゃんも優秀だし、フラウっていう優秀な教師もついているけど、優秀すぎるからこその弱点も見えてね」

「私、それわかったかも。アレじゃない? 3人とも魔力と意志力が強すぎて、ほとんどのことが力づくで出来ちゃう。だからスオナみたいな繊細さがなくて、魔力が弱まった時にちょっと不安がある的な?」

「お。アンジェ、鋭いねー。まさにそれだよー」


 私も人のことは言えないけどね。

 ファーとエミリーちゃんにも、同様の傾向を感じるのだ。


 それでも私やフラウ、ファーもだけど――。

 私たちならば、素体自体がチートで、そもそも圧倒的に強いので平気だけど。

 エミリーちゃんはマズイことになる。


 そこは今のうちに、是正しておいた方がいいだろう。


「実は私もそれ、学院に入ってから痛感してね。最近では意識しているのよー」

「あはは。アンジェもかー」

「そ。私もだって、才能に恵まれた天才だしね」


 なるほど。

 たしカニ。


「というわけでスオナ、お願いしてもいいかな?」

「ああ、もちろんさ。協力させてもらうよ」

「アンジェは私と店番をいい?」

「ええ。いいわ! お店に立つのは久しぶりだから楽しみねっ!」


 というわけで。


 ファーとエミリーちゃんには工房に入ってもらって――。


 私とアンジェがエプロンをつけて、お店に立った。


 ちなみに今日、ヒオリさんとフラウはない。

 2人は大宮殿に行って、宮廷魔道士たちと魔道具の研究をしている。

 研究内容は、対悪魔。

 メティちゃんの協力のおかげで、どんどん進展している。

 遠からず、チート組の力がなくても、人間は悪魔と戦えるようになるだろう。


 店番について、メティちゃんも呼んでやろうと思ったけど――。


「やめてええ!」


 アンジェが悲鳴をあげたのでやめておいた。

 悪魔には、まだ抵抗があるようだ。

 まあ、うん。

 それが当然の感覚か。

 私も慣れすぎないように気をつけよう。



「それにしても、クウと2人で店番なんて初めてね」

「そうだねー」

「ねえ、私たちだけで大丈夫かな?」

「私、これで店長だよ?」

「それはそうか。私も、これでも天才だったわ。楽勝よね」


 あはは。


 私とアンジェは気楽に笑った。


 ちなみにお店には、今、お客さんはいない。

 ちょうど空いていた。


「そう言えば、クウ。アンタ、ちょっと今さらの話題だけど、学院でカッコいい子とつるんでいるそうじゃない?」

「まあねー」


 エンゼのことだね、わかる。


「でもその子って、実は女の子だったのよね? セラが言っていたけど」

「うん。そうだね」

「ねーねー。私も今度、紹介してもらっていいかな?」

「興味あるんだ?」

「そりゃあるわよ。その子って、しかも『ローズ・レイピア』なのよね? 強くてカッコいいって最高じゃない? 私も一緒に歩いてみたい」

「へー」

「なによー?」

「いや、うん。アンジェもお年頃だなぁと」

「それを言ったらアンタもでしょ。外から見たら取り巻きにしか見えないって聞いたけど?」

「う。それは否定できないかも……」


 言われてみれば、そんな気もする。

 クラスの子と左右を挟んで、腕を組んでみたりもしちゃうしね。


 キャイキャイそんなことを話していると――。


 からんからん。


 ドアの鈴が鳴って、お客さんが入ってきた。


 私たちは笑顔でお出迎えしようとしたけど――。


 げ。


 一目見て私はわかった。

 なんか、うん。

 こういう系の人には、にじみ出るオーラがあるのだ……。


「フン! ここが噂の精霊グッズの店か! 思ったよりまるで地味ではないか。おい、そこの娘ども! この店にある商品は、すべてこの私、西の大貴族、オカネ・モ・テール様が買い取ってやる! さっさと梱包して引き渡せ!」


 そう。


 しょっぱなから、二度と来るなと言いたい客が来てしまったのでした。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
…間違って次の回の感想を投稿してしまった。 ログイン感想じゃないとこれ消せないかな? 失礼しました!?
呼ばれちゃったか。 これはもう、西で悪魔か何かが暗躍してるに違いない。
クウちゃんが店番すると曲者が来るなぁw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ