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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1340/1359

1340 久しぶりの精霊界





 放課後、憂鬱ながらも精霊界に入ると――。

 すでに大精霊たちが待っていた。


 エリートサラリーマン風な火の大精霊イフリエートさんを初めとして――。


 土のバルディノールさん。

 いつものキオ。

 いつものイル。

 いつものゼノ。

 いつものリト。


 あと、他の大陸の大精霊さんたちも集まっていた。


「さあ、皆! よく聞くのです。これより精霊女王陛下が、物質界で行動する上での規則をお語りになります。それをよく聞いて、問題なく行動するように」


 えっとお。


 イフリエートさん、それはみんなでこれから決めるんですよね……?

 と私は思ったのですが……。

 みんなは聞く姿勢を取っていて、どうも違うようだった。


 助けを求めてゼノに視線を向けると――。

 呆れた顔でそっぽを向かれた。


 なぜ!?


 まるで私が悪いみたいに!?


 私は大いに憤ったけど、イフリエートさんがじーっと見ているので、それを顔に出すことは怖くてできないのです。


「クウちゃんさま、言いたいことがあるなら早く言うのです。リトは忙しいのです」


 リトがいらいらと私を促す。


 はぁ。まあ、いいか。


 私はあきらめて、とっても一般的なことを語った。


 それは、うん。


 人間にも動物にも、迷惑をかけないようにね、ということだったけれど……。


 みんなは拍手してくれた。


 ちらりとイフリエートさんに目を向けると、


「ありがとうございました」


 と、感情のない声で言われて、一礼された。


 うん。

 はい。


 言いたいことがあるなら言ってね!?

 自分でも、足りないことはわかっているからさ!


 と私は思いましたけれど……。


 まあ、いいや。

 疲れたし。

 わざわざ自分からは口にはしませんとも。


 集会は短い時間でおわった。


「で、バルディノールさん、大魔法って何を教えてくれようとしていたんですか?」

「それは決まっております。土の大魔法と言えば大変動です。山を作り、谷を作り、大地を大きく再形成する魔法ですぞ。山のひとつでも作って教えてやろうと思ったのですが、そうですな、また明日にでも」

「こほん。さっきの規則をよく思い出して下さいね」


 帝都に山を作るなんて、とんでもない。

 帝都の外だとしても周囲は農地だし、山なんて作られたら大迷惑だ。


「それにエミリーちゃんには、さすがにそこまでの魔法はまだ強力すぎます。まずはゴーレムの生成からお願いします」

「ふむう。わかりました。クウちゃんだけに、くう、ですな」


 何がわかったのか。

 まったくの謎だけど、まあ、いいや。


 とにかくわかってはくれたようだし。


「はぁ。まったく、完全に時間の無駄だったのです。リトはもう帰るのです」

「ボクもー。もうちょっとマシな用事で呼んでよねー」


 私にため息をついて、リトとゼノが消えた。

 いや、うん。

 私が呼んだわけじゃないよね!?

 と、言う暇もなかった。


「ご安心ください、陛下。すでに物質界で長く暮らしているあの2人には無駄でも、他の者たちには有益でした。これで少しはマシになるかと思います」

「はぁ……。それならいいですけど……」


 イフリエートさんにフォローされて、私は肩の力を落とした。


「よう、陛下。もう難しい話は済んだか?」


 次には火の大精霊の女性が来た。

 彼女はサラマンディア。

 私が挨拶会で蹴っ飛ばして蹂躙した精霊の内の1人だ。


 彼女は炎の剣を私につきつけると、獰猛に吠えた。


「アタシはなぁ! あれから火の山にこもって! 徹底的に自分を鍛え直した! やっぱり物質界はサイコーだよなあ! 火の力をダイレクトに感じられてよ! さあ、今度こそ、まともに打ち合わせてもらうぜ!」

「ほお。この私と打ち合う、なんてね」


 私は手に『アストラル・ルーラー』を呼び出す。

 青く輝く私の愛剣。

 ここに至るまで、一度も本気で使ったことのない最強の刃だ。


「いくぜええええええ! フレイム・バーストォォォォォ!」


 アストラル・ルーラーの軽い一振りで、剣から立ち昇った炎の柱は綺麗に消えた。


「あ」


 サラマンディアが止まった。

 私は死なない程度に、それなりの力で蹴っ飛ばした。


「ぎゃあああああああああ! 覚えてろよおおおお!」


 サラマンディアは精霊界の向こうへと消えていった。


「ああああ、サラマンディア様ー!」


 それを中級精霊の部下たちが追いかけていく。


 むなしい。


「ははは! まさにクウちゃんだけに、くう、ですな!」


 バルディノールさんが豪快に笑う。

 それしか言えないのかい!

 とツッコミかけたけど、疲れそうなのでやめた。


「陛下、本日はお忙しいところをありがとうございました」


 イフリエートさんは何事もなかったかのように、あらためて私に一礼した。

 どうやら帰ってもいいようだ。

 と思ったら――。


「では、次は精霊界の現状についてのご報告を」


 とか言われたので――。

 私は勇気を出した!


「イフリエート」

「はっ」

「精霊界については、従来通りに。つつがなくでよろしい」

「はっ」


 よし!

 偉そうにしたら、平伏してくれた!

 勝った!


「では、私はこれで」


 私はそそくさと、精霊界から立ち去るのでした。










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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! サラマンディアさんは、勝てないけど向かってくるライバル??に進化できるか!今後の修行が楽しみですね(笑) 負けすぎて闇落ちはしないでね〜 人間界でふて寝してたら同情は出来…
誤魔化したwww けどクウさんには難しいですしね、皇女殿下を始めとしたイツメン達の没後にでも眷属として召し抱えて、彼女等に手伝って貰う以外に精霊界の運営なんぞ出来んでしょ(苦笑)
無難にまとめた感じでしょうか。先代が居なくなってから今まで問題なく過ごしてきたのですしね。今後も維持すれば間違いないですよね
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