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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1324 お疲れクウはマッサージを所望する / 悪魔フォグの近況





 疲れた……。


 長い1日をおえて、ようやく私は家に帰った。

 エンゼにテオルドにラシーダ……。

 エンゼは別に、迷惑だったわけではないけど……。


 ともかく疲れた。


 私はバタンとベッドにうつ伏せに寝転んだ。

 でも幸いにも、明日は休日。

 ゆっくりしっかり、心と体を休めることはできる。


「あー。テオルドが学院に入ったこと、エミリーちゃんに伝えないとだなぁ」


 エミリーちゃんは今日も元気にお店で働いてくれている。

 頼りになる内の正社員だ。


「あとはマリエにも、ラシーダが来ちゃったことを言わないとねえ。あとは、久しぶりにタイナを堪能したいなぁ、それは無理かぁ」


 モルド旅行で出会ったオトコノコのタイナは、ラーラさんと恋仲になってしまったのです。

 お触り禁止になってしまったのです。


「ふう。あ、そうだ」


 私は魔法を使った。

 悪魔召喚。

 すうっと、メイド姿のメティちゃんが現れる。


「ねえ、メティ。マッサージをお願いー。背中と腰ねー」

「ねえ、クウ」

「なぁに? はやくー」

「はいはい。やりますよ。やればいいんでしょ」


 メティは素直にマッサージをしてくれた。


「まったく本当に。こんな用件で悪魔を呼び出すなんて、有り得ないわ」

「何を今更。悪魔的には、契約を遂行できれば力になるんでしょ? いいじゃない、これで力をつけられるのなら」


 なにしろ平和だし。


「それでもそろそろボーナスくらいほしいわ」

「ボーナスって?」

「決まってるでしょ。闘争よ、闘争」

「闘争ねえ……」


 メティはなかなかのマッサージ師で、実に気持ちよかった。


「あーそうだなぁ。それなら久しぶりに海洋都市にでも行ってみようかなぁ。メティも連れて行ってあげるよ」


 あそこなら確実にトラブルが起こるし。


「はぁ。海洋都市かぁ。懐かしいわねえ」

「行く気はない?」

「行くわよ。いくいく」

「よし。なら決定ねー」


 そういうわけで明日は――。

 メティを連れて、久しぶりのストレス発散大暴れ祭りだ。




 ☆




【閑話・悪魔フォグの近況】



 いつもの転移場所で待っていると、優雅な仕草でメティネイルが帰ってきました。


「おかえりなさい、メティ。今日も青髪のところですか?」

「あら、フォグ。久しぶりね。メティちゃんのところになんて来てもいいの? なにもかもあいつに伝わるわよ?」

「ご安心を。伝わって困るほどの進展はありませんよ」

「そ。ならいいけど」


 私、悪魔フォルグフェイドは今、動き慣れた中央大陸を離れて、オーク大帝国のある南大陸で活動をしています。

 どうしようか迷いましたが、結局、魔王を名乗ってオーク大帝国の切り取りを進める武闘派の悪魔ビスクブレイズの下についたわけです。

 ビスクブレイズの下には私だけでなく、策謀に優れたゼルデスバイトを初めとして、すでに何人もの悪魔がついています。

 遠からず南大陸は、ビスクブレイズのものとなるでしょう。


 と、そこまではメティも知っていることです。


「青髪の方はどうですか?」

「そっちをどうこうするつもりはないみたいよ。さすがの青髪も、人間が家畜同然の場所に遊びに行くのは嫌みたいね」

「遊びにですか。まったく忌々しい」

「いいでしょ、幸運よね」

「それはそうですね」


 私は息をついて、素直に認めました。

 ビスクブレイズは随分と力をつけて聖女にも青髪にも今なら勝てると豪語していますが、私の目から見ればまだ足りません。

 青髪が現れれば、いともたやすく蹂躙されることでしょう。


 それを覆すために、今、我々は、大量の奴隷を駆使して南大陸の採掘を進めています。

 魔素の薄い南大陸ですが、地中には魔石があります。

 大鉱床が見つかれば可能性は無限大です。

 それがなくとも、奴隷を苦しめれば、それだけ呪力は集められますし。


「しかし、メティ。君も随分と力をつけていますね」

「そりゃそうよ。契約はひたすらこなしているし。今日だって完遂してきたのよ」

「今日は何をやらされたのですか?」

「マッサージ。疲れたから揉めと言われて、小一時間揉んで終了よ」

「それは逆に楽でいいですね」

「まったくよ」


 今度はメティが息をつきました。


「私は苦労していますよ。オークどもは単調すぎて、私の囁きの出番がほとんどなくてですね。しかも貴女がいないから呪具も不足している。そろそろ私は南大陸をあきらめて、再び中央大陸に潜むつもりでいますよ」

「へー。それはまた。青髪に伝えておくわね」

「それはやめて下さい。せっかくの復讐計画に支障が出てしまいます」


 私は困った表情を作りつつも、目だけでは笑います。

 ぜひ伝えてもらって、青髪には中央大陸を見ていてもらいましょう。


 そう。


 メティは残念ながら青髪に縛られていますが――。

 それならばそれで、やりようはあるのです。


 実際には、オークは単調だからこそ、私の囁きは大いに有効で、オーク大帝国を崩壊させるのに一役買っているわけですが。

 おかげで私の生活は、それなりに充実しているのです。


「あ、でも、明日は楽しみかな」

「何があるのですか?」

「メティちゃん、明日は青髪と海洋都市に行くのよ。久しぶりに暴れられそうだわ」

「海洋都市ですか――。懐かしいですね」

「だよねー。フォグの商人としての拠点だったものね」

「ええ。私の商会は――。いえ、私の商会はとっくに潰れたのでした」

「そっか。残念なことに、潰れちゃったのね」

「ええ。その通りです」


 私の商会は名前と場所を変えてまだ残っています。

 ですが、それはメティには言えません。


「なんにしてもしばらくは、メティちゃんは大人しく力をつけておくわ」

「そうですね。それがいいでしょう。力さえあれば、状況が変わった時、どのように動くこともできますしね」







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― 新着の感想 ―
この作品、大体が暗躍すると暗躍側は当初の予定とは違う結果になりますけど、この悪魔達の企みも後一歩って所で頓挫しそうな気がするんですよねー…。 大体がクウさんの出たとこ勝負的な感じの動きで(苦笑)
暗躍してだいじょうぶかなあw
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