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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1309/1361

1309 いろいろなこと





「そういえばお兄さまは大宮殿にいていいんですか? 今日は騎士団の入団試験日ですよね」

「俺は、試験には関わっていないぞ。結果を聞くだけだ」

「そっかぁ……」

「どうする? 仮に落ちていたら合格に変えるか?」

「あ、いえ。別にどうこうしてほしいとか言うつもりはないんですけどね。試験結果が公正なものなら異存はありません」


 裏口入団については、以前にマウンテン先輩に断られているしね。


 こんにちは、クウちゃんさまです。


 私は今、大宮殿にいます。


 本当はセラと遊びに来たのですが、今日のセラはお茶会ということで、そちらを頑張ってもらうことにして――。

 私は、お兄さまとお姉さまに近況を報告することになったのです。

 で、報告もおわって――。

 気になっていたことを質問してみたのでした。


「落ちても俺に文句を言うなよ?」

「文句はいいませんけど、恨みはするかもです」

「それなら合格とするが?」

「あーもー! そーゆー意味じゃないですよー! 裏口は不要ですっ!」


「ふふ。クウちゃんの恨みは怖そうですものね」


 私が思わず叫ぶと、お姉さまが物腰柔らかく笑った。


「その通りだ。クウ、おまえはいつものことではあるが、もう少し、自分の立場に合った言動をするように心掛けろ。俺やアリーシャであればまだこうして修正もできるが、相手が精霊だと話を聞く限り修正すら難儀なのだろう?」

「はぁ……。もー。そのとーりですー。私は頭が痛いですよぉ。なんにしても、さっきの恨みは取り消すので忘れて下さい」


 確かに失言だったね。

 気をつけよう。


 なんにしてもマウンテン先輩の合否は、速報で教えてもらえることになった。

 期待しておこう。

 キタイじゃなくて、ちゃんと期待でね……。


「では、その話はいったん置きまして。クウちゃん、わたくしからもいいかしら?」

「はい。なんですか、お姉さま」

「クウちゃん、オダウェル商会と面白いことをなさっているようですわよね。ぜひそのお話も聞かせていただけるかしら」

「というと……。もしかして、ディシニア小麦のことですか?」

「ええ! それですっ! なんでも、スイーツによく合う小麦なのだとか!」

「耳が早いですね」


 私は思わず苦笑した。


「ふふ。当然です。これでもわたくし、スイーツには煩いのです」

「あはは」


 それは、はい、よーく知っていますが。


「あ、彼らのことは怒らないであげて下さいませ。今回は、わたくしが巧みな会話術で上手いこと聞き出したのです」

「わかりました。お手柔らかにしてあげてくださいね」

「ええ。スイーツ以外のことで、そのような手段は取りませんわ」


 いやそこはむしろ、他のことで。

 と思ったけど、まあ、うん。

 むしろスイーツのことだけの方が関係者には平和か。


「しかし、試食については、かたくなに断られしまいましたの……。わたくしとクウちゃんの仲だというのに無念でしたわ……」

「あー。もしかして、食べさせろと?」

「製法を教えろとは言いません。しかし、食べるくらいは良いですわよね?」


 だけど残念ながら、私もディシニアまんじゅうは所持していない。

 なにしろまだ試作段階だしね。

 そのことを伝えると、お姉さまは落ち込んだ。


「そんなことよりもアリーシャ」

「そんなこととはどういうことですか! お兄さま!」

「そんなことよりも、だ。おまえはイル殿を迎えるにあたって、事前にクウとは話しておくことがあるのではないのか?」


 あー、そういえばその話もあったか。

 イルはこちらの世界に来る気、満々。

 当然、契約の内定しているお姉さまが面倒を見ることになる。

 ただお姉さまは、このあたりはさすがというか、すでに受け入れの準備を整えていた。

 お姉さまのとなりにイル用の部屋を準備して、衣服も手配済み。

 明日来ても平気だという。

 さすがだ。


 まあ、とはいえ、イルは青い小鳥になることができる。


 私的には……。


 イルには、ゼノと同じように、普段は小動物でいてもらうつもりだ。

 その方が実害は少ないだろうし。

 なにより目立たないしね。


「それなら鳥かごも用意しておきますわね。それでイルさんはお元気なのですか?」

「今は投獄中ですね」

「え」

「あー。ちょっとイタズラが過ぎまして、お仕置き中なんです」

「……大したことではないのですか?」

「はい。それで、なんですけど――。イルは近日中に連れてきてもいいですか?」

「もちろんです。歓迎しますわ」

「ありがとうございます。よかったです」


 私はホッとした。

 お姉さまなら、うまくイルを扱ってくれるだろう。

 少なくとも私よりはマシなはずた。

 私はね、うん、無理!

 一刻も早く丸投げしたいです!


「では、その話は、いったんそこまででいいな。クウ、次に俺からもいいか?」

「はい。なんですか、お兄さまの方は?」

「オルデ・オリンスの両親から、ソード宛の伝言を預かっている」


 オルデは調印式の後、帝都には戻らず、そのまま馬車に乗ってトリスティンに向かった。

 そろそろ到着していることだろうか。

 到着すれば、オルデはギニス侯爵家の養女として新しい生活が始まる。


 両親とはそうなることも予期して出かける前に別れは済ませたと、オルデはさっぱりした様子で言っていたけど……。

 両親としては心配だよね……。


 伝言の内容はこうだった。


「あの子はどうせ調子に乗るから、その時には容赦なく蹴飛ばして下さい。だそうだ」

「あ、はい」


 予想した内容とは、かなり違った!


「さすがは両親だろう? 良い目をしている」

「殴るではなく蹴るというところが、まさにですわね」

「うむ」

「そこですかっ!」


 まあ、それはたしカニですけど!

 私は大人しくて控え目な子なのでヒトを殴ったりなんてしませんからね!

 蹴りはしますけど!


 なんしにても、うん。


 普通なら永遠の別れになるところなんだけどね……。


 ご両親も、それほど悲観的には考えていなくてよかった。


 前にオルデと話した――。


 身分を隠さずに堂々と行けば、きっといつか堂々と帰省することもできる。


 それを信じてくれているのかも知れない。


 オルデが将来、キチンと学習をおえて盟主夫人となったのなら、その時には私も全力でお手伝いさせてもらおう。


 お兄さまが愉しげに言う。


「しかし案外、オルデ・オリンスは大物になるかも知れんな。あの調印式の場で、まさかナリユ卿を諌めるとは思ってもいなかったぞ」

「それは確かにですねぇ」


 今度はちゃんといつものカニポーズを決めて、私は同意した。

 カニカニv(・v・)v





月日が経つのは早いもので……。

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― 新着の感想 ―
精霊を鳥かごに...?
オルデは調子には乗るかもですけど、それ以上にナリユ卿が調子に乗るから冷静に対応出来る様な気がします。 クウさんの幼馴染達が友となってるのも大きいでしょう お兄様の言う通り案外、あの周辺で最も発言権の…
オルデさんのご両親はまあね。普通に嫁にいった場合でも、そうそう会えないのは当たり前なのでしょうしね。最強の精霊さんと違って隣町だって気軽に行けない可能性があるのだから。それを思えばこれくらいの感覚なの…
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