1305 今夜のメニューを考えようっ!
「そうだ、エミリーちゃん。今日は久しぶりに一緒に夕食をどう?」
「……よろしいのですか?」
「うん。エミリーちゃんがよくて、エマさんがいいって言ってくれればだけど」
「わたしはいいよ! あ、いえ、嬉しいです。ぜひご一緒させて下さい。お母さんについては、あとで走って聞いて来ます」
「ううんー。エミリーちゃんがいいなら、私が聞いてくるよー」
私が行けば本当にすぐだしね。
エマさんは、いつも会社の事務所にいるし。
「ふふ。皆で一緒の夕食ですか。それは楽しみですね!」
なぜかボンバーも参加する気でいる。
「バルディノールさんとファーは、一緒に楽しもうね!」
私はもちろん拒否しましたとも!
「ふふ。そうですね」
ボンバーには、まるで通じていなかったけども!
この面の皮の厚さは、本当に、世界の謙遜しがちな子たちにわけてあげたいものだ。
「わたし、ファーと一緒に食事ができるなんて嬉しいです! ボンバーさんとご一緒するのも初めてですよね! 楽しみです!」
「ふふ。そうですね」
うーむ。
エミリーちゃんはボンバーとの食事に好意的な様子だ……。
クマったね……。
ボンバーなんて、そろそろいい加減に蹴っ飛ばして追い返したいところなんだけども……。
ちなみにファーが食事可能になったことは、すでにエミリーちゃんには伝えた。
我がことのように喜んでくれました。
ともかくまずはエマさんのところに聞きに行った。
ぜひ許可がほしいところだ。
今日は頑張って、エミリーちゃんともっと仲良くなりたい私なのでした。
許可は簡単に下りた。
よかった。
ありがとうございます。
というわけで!
今夜は久しぶりにエミリーちゃんと一緒に夕食となった。
と、なれば!
やっぱアレをやるしかないよね!
久しぶりのー!
夕方にはお店を閉めて、私たちは早速、2階のリビングに集まりました!
「第2回! 最高のディナーを考えようの会!」
わー! ぱちぱちぱちー!
そう!
第2回なのです。
実は、以前にエミリーちゃんとは考えたことがあるんだよね(454話)。
理想のお食事というものを。
ちなみにその時に決めたのはこんなメニューだった。
盾役:ステーキ!
前衛:海鮮串焼き2本!
前衛:タコ焼き!
後衛:蒸かし芋!
後衛:激辛野菜スープ!
後衛:ケーキ!
なぜか冒険者パーティーに見立ててね……。
うん。
はい。
まさにノリだけで決めました、だよね、あらためて見ると……。
「クウちゃん、今回は食べられる量にしようね」
「うん。そうだね。今回は最高だけでなくて、最強も目指そう」
「うん! 目指そう!」
エミリーちゃんと決意をあらためて!
いざ!
「みんなは待っててねー! 今回は私とエミリーちゃんで考えるからー!」
今、リビングにいるのは、ヒオリさん、フラウ、ファー。
エミリーちゃん。
土の大精霊のバルディノールさん。
そして、ボンバー……。
何の遠慮もなくついてきましたよ、この大男は……。
普通ついてきますかね、女の子の家に……。
まあ、うん。
なんとなくバルディノールさんとセットになってしまっているし、今日は珍しく控えめなので我慢しますけれども……。
「さあ、エミリーちゃん、私たちは厨房に行こうか」
「うんっ! クウちゃん!」
エミリーちゃんの手を取って、私たちはキッチンに入った。
「久しぶりだねー、2人で考えるのは」
「そうだねー。クウちゃんには、もうアイデアがあるの?」
「ううん。なんにもー」
「そかー」
と、これは私ではありません。
エミリーちゃんです。
「エミリーちゃんはどう? 今考えるなら、最高のディナーはどんなのがいいと思う?」
「んー。そうだなぁ……。わたしね、思ったの。わたし、何日か竜の里に居て、帰ってきて、おうちで食事を取ったんだけど……。やっぱりおうちの味っていいなあって。だから最高のディナーはいつものお料理だと思うなぁ、今は」
「なるほどー。それはそうかもだねー。具体的には何かある?」
「やっぱりお芋かなぁ。お芋を蒸して、バターで食べるのか一番だったよー」
「なら、それは決まりだねっ!」
「クウちゃんはどう? クウちゃんのおうちの味って、やっぱり姫様ドッグかな?」
「私の味って姫様ドッグなんだ?」
「うん」
たずねると、エミリーちゃんにうなずかれた。
「そかー」
と、これは私です。
本家です。
というか私、姫様ドッグの子だったのか。
まあ、うん。
ただ、否定はできないか。
確かに言われてみれば、おうちの味というか、今の私の定番の食事って姫様ドッグだよねえ。
旅に出て、帰ってきて、姫様ドッグを食べると――。
ああ、帰ってきたなぁって気がするし。
「そうだねえ……。確かに私って、姫様ドッグな気がするよ」
「なら、姫様ドッグも決まりだねっ!」
「だねー!」
というわけで早くも2品が決まった。
蒸した芋バター。
姫様ドッグ、辛さはマイルド。
さあ、今の私たちが考える最強で最高のディナー!
作り上げていくぞー!