1296 平和な朝の襲撃者、なの
1月13日。
朝。
「さあ、クウちゃんさま! まずは山盛りのカラアゲを用意するなの!」
「そうよそうよ!」
気持ちよく目覚めてリビングに下りると、なぜか水色の髪と若葉色の髪をきらめかせる、2人の幼稚園児、イルとキオが――。
それはもう偉そうにふんぞり返っていた。
「……ねえ、なんでいるの?」
昨日、やっと挨拶会がおわったばかりなのに。
せめて半年は空けてほしかった。
「まさか忘れたとは言わせないの! 挨拶会がおわったらこっちに来てもいいと言ったのはクウちゃんさまなの!」
「そうよそうよ!」
「いや、うん……。それは覚えているけどね……」
私はため息をついた。
相槌マシンと化しているキオはともかく、イルには確かに言った。
「マスター、問題がなければカラアゲの調理はさせていただきます」
見れば、メイド服のファーがキッチンに待機していた。
「うむ。大精霊のためとあらば、妾も手伝うのはやぶさかでないのである」
「そうですね。光栄なことです」
フラウとヒオリさんも、エプロンをつけてキッチンにいた。
「大丈夫だよー。出来合いのがあるから」
私はアイテム欄からカラアゲのパックをいくつかとりだして、テーブルの上に置いた。
「ほら、今日のところはこれで我慢して?」
イルとキオに言うと――。
イルが怒りにあらわに、水色の髪を逆立ててきた。
「何を言っているのー! イルのカラアゲは、作りたて限定なの! 空間収納に入っていたカラアゲなんてイヤなの! さっさと3人にメーレイして、この間の新年会みたいな、すっごいカラアゲの山を作るなのー!」
あーもう、朝からキーキーうるさい!
なんでこんなに元気なのか!
昨日の今日なんだから、少しは疲れていればいいのに!
まあ、はい。
私も一晩寝たら元気はいっぱいですが。
イルの勢いと来たら、確実に私以上だ。
外見の年齢は、そのまま体力の回復力を現しているのかも知れないね。
「ハァ……。まあ、いいか。ごめんね、3人とも。朝から忙しくさせちゃうけど、カラアゲの調理をお願いしてもいいかな」
食べながら、今後のことも相談しようかな。
イルとキオは本気で帝都に居着くつもりなのか確認もしたいし。
と私は観念したのだけど……。
「ねえ、イル」
ここでキオが、妙に静かな声でイルに声をかけた。
「何なのですか、キオ」
「この間の新年会ってなぁに? カラアゲの山ってなぁに? 私、知らないけど」
「知らないのは当然なの。キオには内緒だったなの」
「私、ノケモノだったんだ?」
「なの。あ、でも、これは秘密だったの! キオは忘れるなの!」
「ふえ……。私、ノケモノだったのね……」
キオがうつむいて、プルプルと震える。
そこにイルが追い打ちをかける。
「キオは泣くんじゃないなの! 今日だって本当は、イルは1人で来て1人で楽しむつもりだったのなの! それをキオが来ちゃったから、仕方なく連れてきてやったなの! キオは泣く前に感謝するべきなの! ありがとうございます、なの!」
また余計なことを……。
私の予測通り、さすがのキオもこれにはキレた。
若葉色の髪を逆立てて、涙目でイルを睨むと、
「許せない……。許せない! 許せなーい! どうして私をノケモノにするのよー! カラアゲなんて破壊してやるー!」
「カラアゲを破壊!? それはイルへの宣戦布告なの! 許さないなの!」
「はん! 当然アンタも破壊してやるわよ! 覚悟しなさーい!」
「やれるものならやってみろなの!」
あー!
我が家のリビングで今、風と水の力が大爆発しようとしている!
「はい。昏睡」
もちろんそんなことはさせませんが。
意識を刈り取って、私は2人を肩に担いだ。
「ごめんね、ファー、ヒオリさん、フラウ。カラアゲはやっぱりいいや」
かなり間が空いてしまって申し訳ありません!><
現在、ゲームにハマりすぎており……
更新は、まだ続きます!
はぐれ狼オムの新☆立志編も近い内には!w
しばらく不定期になるかもですが、できればお見捨てなきよう。。。。。><




