表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1287/1359

1287 マウンテン先輩





 マウンテン先輩は、中央騎士の入団一般試験を間近に控えている。

 その訓練だろう。

 指摘された体力不足を克服するため、ガッチリと頑張っているようだ。


 私は姿を消したまま空から近づいて――。


 魔法で応援してあげようかなーと思ったけど……。


 迷った末、やめておいた。


 先輩は本当なら、とっくに合格している。

 なにしろ私がお兄さまと話をつけて、騎士選抜合格の確約を得た。

 だけど先輩はそれを断った。

 自分の力で、ちゃんと入って見せる、と。


 正直、ものすごく応援したいけど……。


 なので魔法なんてかければ、きっと怒られることだろう……。


 あーでも!


 よく見ていると、走る先輩は体のバランスが少し悪い。

 明らかに片方の膝を痛めている。

 時折、顔をしかめて、膝に手を当てているし。


 無理をしているのか……。


 この世界には治癒の魔術があって、治癒のポーションもあるから、治せることが前提での無理なんだろうけど……。

 でも、光の魔術でなければ、癒やしの力は万能ではない。

 慢性的になると、特に治り辛い。


 大丈夫なのだろうか……。


 ああ!


 ついに転んだぁぁぁぁぁ!


 すぐに起き上がったけど、走るのは無理そうで、道端に座ってしまった。


「先輩、大丈夫ですか……?」


 私は見ていられなくて、つい声をかけてしまった。

 声をかけたことで透化も解けた。


「え。あ、クウちゃんさんですか」


 さすがに先輩には、かなり驚いた顔をされたけど。


「あはは。はい。たまたま通りかかって」

「通りかかって、ですか……」


 先輩は街道の左右に目を向けた。


 帝都から近い場所とあって、街道にはそれなりに人の行き来がある。

 馬車も通っていた。


 なので、うん。


 たまたま!


 馬車の影とかに隠れて、見えていなかったのです!


「そうですか。これはお恥ずかしいところを見られてしまいましたね」


 先輩がはにかんで微笑む。


「早速ですけど、魔法で治療しますね」


 私は問答無用で先輩に白魔法のヒールをかけた。

 私の回復魔法はチート。

 ユイやセラの光魔術の上位互換だ。

 私の回復魔法ならば、慢性疾患も含めてたちどころに完治できる。


「これは……」


 魔法を受けて、マウンテン先輩も驚いた顔をしていた。


「どうです?」

「はい。完全に痛みが消えて……。以前より軽くなったくらいに感じます」

「あはは。それはよかった」


 ちゃんと効いたようだ。


「……しかし、クウちゃんさんは、やはり光の魔術が使えるのですね」

「え。あ」

「今の白い光は、水の魔術とはまったくの別物ですよね」


 しまった!

 偽装するのを忘れていた!


「大丈夫ですよ。絶対に誰にも言いませんから」

「あ、はい……。ありがとうございます」

「いいえ。お礼を言うのはこちらですよ。ありがとうございました」


 まあ、うん。


 マウンテン先輩は、ぐへへへ、とかしてくる人ではないよね。


「先輩、ついでに応援もしていいですか?」

「応援、ですか……?」

「はい。魔法で」


 私がそう言うと、マウンテン先輩は少し迷った後、


「ええ。ぜひお願いします」


 と言ってくれた。


 私は精一杯の祝福の魔法をかけてあげた。


「こ、これは……! 体中から力が漲ってくるような……!」

「先輩、頑張って下さい。応援しています」

「ありがとうございます! これならまだまだ、いくらでも訓練できそうです!」


 マウンテン先輩は、すぐにランニングに戻った。

 私は手を振ってその姿を見送る。

 先輩には本当に、立派な騎士になってほしい。


 それにしても我ながら、私の魔法はすごいね。

 マウンテン先輩の勢いは、転ぶ前よりもずっと増していた。

 それこそアーレまで走っていけそうだ。



「さて、私も行こうかな」


 スオナとアンジェのところに、お笑いを届けに!






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
精霊が気に入った子に祝福とかを施すのは普通のことだしね!
マウンテン先輩頑張れ! 先輩なら乗り越えて騎士団入りも出来ますよ?(*^^*)
クウちゃんがやりすぎない程度に助けてるだとw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ