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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1283/1359

1283 お疲れ様!





 お兄さまは、居並ぶ貴族たちの前で終戦の祝賀を短く述べた後、自分のとなりにオルデを呼んでこちらも短めに言葉を綴った。


「彼女はオルデ・オリンス。帝都在住の平民の娘だが、美しき出会いがあり、この度、ギニス侯爵家に入る形でナリユ卿との婚約が成立した。この場をお借りして紹介させていただく。どうか親しく付き合ってやってほしい」


 オルデはしゃべらず、頭を下げるに留めた。


 突然のことに驚く声はあったものの、露骨に嫌悪を示す者はいなかった。

 エリカとの仲良しアピールが効いたのか、平民の娘と言われても、それを素直に信じる者は少ない様子だった。

 それどころか、お兄さまがわざわざこの場で紹介したことから推察して、皇族と血の繋がりのある者なのでは、なんて勘ぐる声さえ聞こえた。


 まさに計画通り。

 十分に満足できる結果と言えた。


 これでオルデが嫌がらせを受ける可能性は随分と減ったはずだ。

 素性を隠して後ろめたく生きる必要もなくなった。

 トリスティンに行っても、オルデはオルデらしく頑張っていってほしいものだ。

 大丈夫とは思うけど、無駄遣いだけは気をつけてほしいけど。

 せっかくエリカが断頭台ルートを回避したのに……。

 代わりにオルデが断頭台行きなんてことになったら、さすがに悲しすぎる。


 お兄さまとオルデは、質疑応答はせず、すぐに脇に下がった。


 その後はエリカが前に出て――。

 堂々たる態度で、調印式の閉会を告げた。


 これにて、終了。


 解散となる。


 ナオと視線が合った。

 またね、と、私は軽く手を振る。

 ナオは返事をしてくれず、部下を連れて、踵を返して去って行った。

 ちょっぴり悲しいけど人目もあるからしょうがない。

 ナオはこのまま、すぐに転移魔法で帰る。

 今日はもう話をすることもない。

 今日の感想も聞きたいし、近い内にまた遊びに行こう。


 私とエリカとユイとリト、お兄さまとバルターさん、ギニス氏とドラン氏は、いったん近くの建物の中に入ることになった。

 あと、おまけでナリユも。


 オルデについては、安全を期して『ローズ・レイピア』の隊員がホテルに案内する。


 私は最後にオルデに声をかけた。


「オルデ、頑張ってね。将来は立派な夫人になってナリユのお尻を叩いてね」


 するとオルデは戸惑った表情を浮かべて――。


「はい」


 と、うなずいた後――。


「――いろいろとお世話になりました、店長さん」


 頭を下げたまま、私にそう言った。


 あ。


 私はここでまたもや気づいた!

 本日何度目でしょう!

 そういえば私は、オルデとはほとんど面識のないクウちゃんなのでした!

 ソードの姿はしていなかった!


 なぜ私はこうも迂闊なのか。


 オルデを見送りつつ、反省するのでした……。


 まあ、いいけどね!


 オルデは今日からトリスティン貴族の子なのだ!

 帝都で会うこともないしね!


 あ、というか、そのことをドラン氏とギニス氏に確認しないとね。

 まだ伝えてもいなかった。

 まあ、うん。

 とっくにエリカが話をつけてくれていましたが。


 あと、私は失念していたけど……。

 いきなりトリスティンに行くことになったオルデからのご両親への伝言は、バルターさんが聞いてくれていた。

 オルデはとっくにトリスティンに行く気だったから、今回の調印式に出かける前に別れの挨拶はしておいたと言っていたけど……。

 それでも一応、やっぱりね……。

 ちなみに事務的なことも、すべて手続きは済んでいるそうです。


 私的には、いきなりトリスティンはまさにいきなりだったけど……。

 みんなにとっては、予定の範疇だったようです。


 みんな、本当にしっかりとしているよね。

 すごいです。


 というわけで。


 私はなんかもう、最後はまるで格好のつかない感じだったのですが――。


 エリカにユイにお兄さまにドラン氏たちの難しい話も無事に右から左へと聞き流して、今日を乗り越えることはできたのでした。


 といっても、帰宅できたのは夜だったけど。


 夕食については、エリカからもユイからもお兄さまからも誘われたけど……。

 すべて断りました。


 お店の明かりはついていたので、私はお店のドアから入った。

 すると、すぐに――。


「おかえりなさい、店長!」

「おかえりなさいませ、マスター」

「クウちゃん、おかえりなのである! 式典はどうだったであるか? カメのヤツは元気にしていたのであるか!?」


 ヒオリさんとファーとフラウが明るい笑顔で出迎えてくれた。


「ただいまー」


 私は笑顔でそれに応えた。

 なんか3人の顔を見たら疲れも吹っ飛んだよ。


「マスター、夕食は済まされましたか? お風呂にしますか? それとも今日のお話を聞かせて下さいますか?」

「んー。なら、お話ししようかー。お腹も空いているし、食べなからで」

「おお! やったのである!」


 フラウが飛び跳ねて喜ぶ。


「では某達ですぐに支度を整えますので、店長はしばしお待ちを」

「ヒオリさん、アイテム欄から適当に出そうか?」

「いえ。実は3人で準備しておいたので、店長は何もしていただかなくて結構です」

「そかー」


 ならせっかくだし、ご馳走になろうかな。


 こうして――。

 1月10日。

 長かった調印式の日はおわった。







調印式編はこれにて完結です!

最後までおつきあい下さり、ありがとうございましたっ!

次は休日編を挟んで、精霊界での挨拶編。

精霊界で挨拶をしようというのは、もうかなり前から出ている話ですが、

ついに、ようやく、です……><

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― 新着の感想 ―
そもそもクウちゃんがきれいに締めたことあったかなあw
オルデお幸せに 本当に成長しましたね…… さて、精霊界の挨拶まわりはどうなることやら 結構放置されてますよ……チビッコたち的には
オルデは秀才ですしね、今は不安が大きけど速ければ数年以内、遅くても15年以内で少し位はマシってレベルかもだけど国の建て直しをしてくれるでしょう。 その頃には後継者も出来て十分な教育を受けてるでしょうし…
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