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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1248 魔法少女のお願い





 ウィルと共にウェーバー邸に到着すると――。


「クウちゃんお姉ちゃんなのー! 来てくれて嬉しいのー!」


 と、いっぱいの笑顔を浮かべたアリスちゃんが、元気に出迎えてくれた。


「ねえ、ウィル。アリスちゃん、元気だね?」

「はい」

「倒れていないよね?」

「はい」

「どゆこと?」


 状況を理解できず、私はウィルにたずねた。

 するとウィルは、心底、疲れた顔で、


「嘘に決まっているじゃないですか。バカなんですか? ああ、すみません、クウお嬢様はバカの代名詞でしたね聞くまでもありませんでした」


 とか言いやがったので……。

 よし、浄化しよう。

 今度こそ私は決意したのだけど……。

 悲しいかな、アリスちゃんに抱きつかれてそれはできなかった。


「今日は遊びに来てくれたの? アリスも、クウちゃんお姉ちゃんに会いたかったのー」

「ありがとー。私も会いたかったよー」


 ウィルをにらみつつ、アリスちゃんの頭をなでてあげていると……。


「にゃー」


 廊下から黒猫のゼノがやってきた。

 2人の執事と、1人のメイドさんも一緒だ。


 メイドさんはミレイユだね。

 ゴーストからフロスト・メイデンへと進化した高位のアンデッドで――。

 冷たい瞳に、冷たい肌。

 冷たい髪。

 見た目的には、まさに氷をまとった美少女だ。

 性格的には無邪気で陽気で、人を氷漬けにしてキャッキャと騒ぐタイプだけど……。

 今は仕事中とあって表情も冷たい。

 メイド姿も様になっているし、真面目にやっているようだ。


 2人の執事は、どちらも高位の吸血鬼だね。

 こちらもアンデッドだ。

 不運にも、悪さしていたところを私とゼノに見つかって、今はかしこい家臣としてウェーバー家に仕えている。

 うん。

 ウィルと合わせて、アリスちゃんのまわりはアンデッドばかりだね!

 いいのだろうかこれは……。

 私は正直、さすがに心配になるけど……。

 アリスちゃんは、すでにアンデッドたちに懐いて、すっかり心を許していた。


「クウちゃんお姉ちゃん、みんなであそぼー!」

「うん。いいよー。何して遊ぶ?」

「はんたーごっこ!」


 なんだろ、それ。

 狩り?


「にゃにゃ、にゃーにゃー」


 ゼノが何かを言う。

 猫語は、さっぱりわからないね!


 あ、でも、わかった!


「じゃあ、アンデッドどもを2人でやっつけちゃおうか」


 獲物ならまわりにいるしね。

 と思ったら、アリスちゃんが不思議そうに言うのだ。


「アンデッドは正義のお助けキャラだよね……? やっつけたらダメだよね……?」


 えー。


 私は黒猫ゼノをつまみ上げて、間近で睨んだ。


「どういうことかな?」

「にゃー」


 可愛い声でごまかそうとしている!

 まあ、いいか。

 ゼノの領域でゼノのやっていることを否定するのは、さすがにダメだろう。


「じゃあ、どうしようねー」


 私はアリスちゃんに、にっこり質問を返した。


「決まっています」


 そうしたら横からウィルが言った。


「……なに?」


 私は嫌な予感を覚えたけど、一応、聞き返した。


「正義の魔法少女と正義のアンデッド軍団が、全力で、思う存分に戦うことのできる悪の大幹部をよろしくお願いします」


 ウィルが、それはもう丁寧に頭を下げてくる。

 そういうことかー!


「にゃーにゃー」


 どうやらゼノも賛同しているようだ。

 猫語はわからない私だけど、それはさすがに理解できる。


 ミレイユが朗らかに言う。


「実は私たち、主様のお力で進化を果たして、とっても強くなっちゃって、敵がいなくて退屈しているんです。せっかく悪党がいても、よわーくよわーく触らないと、生命力を吸い尽くしてすぐに干からびてしまいますし。というか死んじゃうんですよねー」

「殺してるんかい!」

「あ、平気ですよ。蘇生してますから」

「そういう問題!?」

「あれ?」

「どうしたの?」

「蘇生すれば何をしてもいいって……。クウちゃんさまのお言葉なんですよね?」

「あ、はい」


 私はすぐに思い出した。

 確かに私、何度かそんなことを言っていたね……。


「こほん」


 私は気を取り直すことにした。

 まあ、うん。

 ゼノ直下のアンデッドたちと、闇の大精霊の契約者にして魔法少女なアリスちゃんの今の実力を見てみるのはわるくはない。

 私も楽しい時間を過ごせそうな気がする。


「じゃあ、アリスちゃん。やろっか、ハンターゴッコ」


 果たして私に勝てるかな。

 楽しみだ。






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― 新着の感想 ―
嘘はいけないよウィルちゃんちゃん
解ってたww この闇の眷属達がマトモな事をする訳が無いって解ってたからスルーしてたけど、殆どがクウさんが撒いた種ってのが笑えますなw
「蘇生すれば何をしてもいい」 さすが脳筋精霊姫クウちゃん様の名セリフ!
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