1224 1月5日、新年会の日です
おはようございます、クウちゃんさまです。
今日も私は元気に目覚めました。
我が家3階の私の部屋から窓ごしに見上げる空は快晴です。
空気は冷たくて、布団から出るとブルッとしますが、今日もいい天気になりそうです。
今日は1月の5日。
気がつけば、1月も何日か過ぎました。
今日は大宮殿で新年会の日。
セラに加えて、お兄さまやお姉さまとも会えます。
楽しみです。
マリエも参加するそうなので、マリエと会えるのも楽しみです。
もちろん、スオナやアンジェとも。
あと……。
北の旅で出会った、ひとつ年下のお嬢様……。
マリエことハロお姉さまのことが大好きなラシーダも新年会には来ると言っていたけど……。
本当に来るのだろうか。
会えることを、楽しみにしておこう。
「おはよー!」
「おはようございます、店長」
「おはようなのである、クウちゃん」
2階のリビングにおりて、ヒオリさんとフラウと朝の挨拶を交わす。
2人も、今日の新年会には参加する。
「ファーもおはよう」
私は、無言のまま部屋の壁際に立っていたメイド服姿のファーにも笑いかけた。
「おはようございます、マスター」
ファーが流暢な言葉で挨拶を返して、頭を垂れる。
うん。
いかにもメイドさんな綺麗な物腰だ。
今日の新年会には、実はファーも参加することになっている。
なんとメイドとして。
なので今日のファーのメイド服は、大宮殿仕様。
皇妃様に直接お願いしてみたところ、快く了承をいただいて、プロのメイドの仕事を体験できることになったのだ。
ファーは、午後からの新年会に先駆けて、朝一番で皇妃様の元に送り届ける予定だ。
なので今から、ちゃんとしているのだろう。
いや、うん。
ファーはいつでもちゃんとしているか。
常に毅然として、だらけた姿は見たことがないね。
せっかく自我を持ったのだし、今度、楽しく笑わせてあげよう!
第何回だっけ……。
久々に、シルエラさんを笑わそうの会をやりたいところだ。
ちなみに、ふわふわ工房のもう1人の仲間であるエミリーちゃんは、残念ながら大宮殿での新年会には参加しない。
陛下や皇妃様に頼めば招待状はもらえたと思うけど……。
強引に参加させても肩身が狭いだろうしね。
本人も遠慮したがっていたし。
「さあ、店長。朝食をいただきましょう!」
「うん。そだねー」
ヒオリさんに急かされて、私はテーブルの席についた。
テーブルには、すでに朝食が並んでいた。
パンにフルーツにソーセージ。
シンプルだけど、栄養はしっかりと取れそうだ。
早速、いただく。
ぱくぱく。
くうくう。
「ふう。満足満足」
お腹いっぱいになりました。
「じゃあ、早速だけど、行こうか、ファー」
「はい」
あれ?
よく見ると、いつも毅然としたファーの表情が、今はどこか浮かない。
プロメイドの職場体験には大いに乗り気だったと思うけど。
「どうしたの?」
「少し緊張しています。マスターと離れて仕事をするのは、これが初めてなので……。マスターに恥をかかせる結果にならなければよいのですが……」
「あはは。ファーなら平気だよー」
私よりずっと優秀だしね。
「ファーもすっかり、ニンゲンらしくなったのである」
「そうですね。素晴らしいことです」
フラウとヒオリさんがファーの成長を喜ぶ中、私はファーを連れて大宮殿のいつもの奥庭園の願いの泉のほとりにまで飛んだ。
到着すると、私服姿のセラが出迎えてくれた。
「おはようございます、クウちゃん!」
「おはよー、セラ」
今日もセラは元気な様子だ。
セラはファーとも挨拶して、それから大宮殿の皇妃様のところに案内してくれる。
まだ朝の時間帯なのに、皇族の私空間にいた皇妃様はすでにドレス姿だった。
皇妃様とも新年の挨拶を交わす。
「ところでセラはドレスに着替えていないけどいいの?」
「え」
「新年会の前にも、身近な人たちへの挨拶とかあるんじゃないの?」
皇妃様は臨戦態勢だし。
「この子は時間までクウちゃんと遊ぶと言って聞かなくて。困ったものです」
皇妃様がため息をついた。
「セラ、私は遊べないよ? 私は仕事でいったんお店に戻るからね?」
「ええええええ!? そうなのですか!?」
「うん」
そもそも皇妃様にため息までつかせて、気にせず遊ぼー! と言えるほど、私の胃袋は丈夫なものではないのです。
「ならわたくしも仕事のお手伝いをします!」
「セラはセラの仕事を頑張ろうね」
「うう……。わかりましたぁ……」
「ありがとうございます、クウちゃん。やはりセラフィーヌは、クウちゃんの言うことなら素直に聞くのですね」
「あはは」
私は苦笑いした。
なにしろ、うん。
セラがわがままを言うのは、総じて私と遊びたい時なのだ。
セラは、普段は真面目な優等生なのです。
この後、皇妃様が、ファーの指導に当たる皇妃様専属のメイドさんを紹介してくれた。
キリリと眼鏡の凛々しい、いかにも頭の良さそうな……。
冷徹で冷静で優秀そうなお姉さんだった。
うん、はい。
まさに、そう。
エリートを絵に描いたような……。
そんな彼女から、それはもう丁寧な挨拶を受けて……。
そんな彼女から、それはもう冷静に、いくつかの質問をされて……。
「すすすす、すべてお任せしまううう! ファー、先輩の言う事をよく聞いて、今日はたくさんのことを学んでね! じゃあ私はこれでー!」
ファーを置いて、私は逃げた!
はい。
私、ダメなの……。
冷徹で優秀でいかにもエリートって人に正面から見据えられると……。
私の小鳥さんブレインは、簡単にショートしてしまうのです……。
ぐるぐるしてしまうのです……。
前世の就職活動で植え付けられた私のトラウマは……。
精霊生活、すでに1年……。
未だに克服されては、いないのです……。
うう。
私は空の上に逃げて、1人、朝から落ち込んでしまいましたのです。
まあ、はい。
すぐに気は取り戻しましたけれども!
今日も忙しくなるのだ。
早く工房に戻って、商品の生成をしてしまわないとね!




