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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1220/1361

1220 夜、ファーとおしゃべり





「ねえ、ファー。ひとつ聞いてもいい?」


 怒涛のごとく過ぎ去った、1月3日。

 その夜。

 あとは寝るだけの時間。

 私は自分の部屋でファーと2人、ふわふわのラグに座ってくつろいでいた。


「はい。何でしょうか?」

「パジャマの着心地はどう?」

「メイド服と比べて違和感はありますが、軽量で動きやすくはあるかと」

「そかー。ねえ、ファー。もうひとついいかな?」

「はい。何でしょうか?」

「今日の仕事はどうだった?」

「新年最初の営業とあって、平時より多くの来客がありました」

「そかー」


 ファーはじっとしている。

 ゴーレムとして、必要がなければ動かないようだ。


「ねえ、ファー。明日はどんな1日になるだろうね」

「明日、マスターの予定はありません。自由にされてよろしいかと」

「何しようかなぁ」


 普通なら当然お店だけど……。

 正直、ヒオリさんにファーにフラウにエミリーちゃんがいれば、十分に人手は足りているんだよね。


「ファーは、明日は何をしたい?」

「今日よりも適切に仕事をこなしたいと思います」


 今日は本当に多くの来客があった。

 限定300枚の新年記念「精霊ちゃんタオル」が、なんと今日だけでなくなってしまったくらいだ。


「ファーは、今日でもバッチリ働いてくれていたと思うけど」


 ヒオリさんもフラウも褒めていた。


「ありがとうございます。ただ……」

「何かあったの?」


 トラブルの報告は受けていないけど。


「はい。お客様に話しかけられた時、適切な返事がデータベースになくエミリーに助けられました」

「そうなんだぁ。どんなことを話しかけられたの?」

「あー。あー。と」

「それって赤ちゃん?」

「はい。どのような意図があるのかわからず、戸惑いました」

「エミリーちゃんはなんて言ったの?」

「私のことが好きなだけだから、笑ってあげればいいよ、と」

「うん。そうだねー」


 私もそう思う。


「難問でした」


 無表情のまま、ファーは言った。


「そうなの?」

「笑う、についての情報はありますが、実際に自分がするとなると、頬を自然に動かすことが難しく、どうしても不自然になります」

「あはは。こんな感じだよー」


 私は笑って見せてあげた。


「マスターを始め、皆さん、自然な表情の変化です」

「ふむう」


 考えてみると、自我を持ってからファーは笑っていない。

 思うことを口にして、ちゃんと自分で考えているのはわかるけど。


「ファー、見てて」

「はい」

「波、ざばばざ~。からのー、ゆびがきれちゃったー! からのー、あ、花が咲いちゃったよー」


 私は一芸コンボを決めてみた。


「さすがはマスター。お見事です」


 ファーは拍手してくれた。


「あはは。ありがと」


 さすがは私。

 一分の隙すらなくウケてしまったか。


「ファーも今度は、こういうのやってあげるといいかもだね」


 無理に笑おうとするよりは、いい気がする。


「記憶しておきます」

「うん。ちなみにお店に立つのは、やってて辛くない?」

「辛くはありません。むしろ明日も楽しみです。多くのヒトの仕草や声を見聞きするのは勉強になります」

「楽しみならよかった」


 ここでいくらかの沈黙が空いた。

 するとファーが言った。


「マスター、会話が空いたので、ひとつよろしいでしょうか?」

「うん。なぁに?」

「会話が空いたら確認するようにヒオリから言われていたことがあります」


 むむむ。

 私は少しだけ嫌な予感を覚えた!

 しかし、私が会話を逸らすより、ファーは早かった!


「2学期の復習は万全でしょうか? 3学期の予習は万全でしょうか? 問題があればお手伝いさせていただきます。マスターの学習内容については、すべて習得済みなので問題ありません」


 やっぱりかぁ!

 そうだと思ったよー!

 せっかく、学校のことなんて忘れていたのに!


「ねえ、ファー」

「はい。マスター」

「今を楽しもう」

「はい」

「ほら、こっちおいで。よしよし、してあげる」


 私はファーを引き寄せた。

 頭をなでてあげる。

 進化したファーの髪は、本当にサラサラで柔らかい。


「マスター」

「どうしたの? 気持ちいい?」

「いえ、あの……」

「あはは。私がお母さんなんだから、甘えてもいいんだよー」

「甘えるの情報はありますが……。私はメイドです。メイドとは甘える立場ではありません。困惑します」

「そかー。それはいいことだよー」

「そうなのですか?」

「明日からも、どんどん新しい感情を覚えていこうねー」








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― 新着の感想 ―
[一言] 勉強「知らなかったのか…?大魔王からは逃げられない…!」
[一言] 誤魔化したw 誤魔化しても意味ないw
[一言] 自我を持ったファーが「にくきゅうにゃーん」を恥ずかしいと感じたのに さらに上のネタを教えるとか、クウちゃん様は鬼畜か!
感想一覧
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