表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1211/1360

1211 ファーの展望





 お風呂に入ってすっきりして、私たちは再びリビングに集まった。

 夜のおしゃべりタイムだ。

 ヒオリさんとフラウも一緒にいる。

 みんなパジャマ姿。

 元旦の長い1日もおわって、あとは寢るだけなのだ。


「ファーは明日から、やりたいことはあるの?」


 私はたずねた。


「まずは、ふわふわ工房の立派な店員になりたいと思います」

「次には?」

「戦闘技能を習得し、外敵から工房を守れるようになりたいと思います」

「他には?」

「商業技能を習得し、外部との取引をより優位にできるようになりたいと思います」


「さすがはファー殿ですね。立派な志です」

「で、ある。妾とエミリーと共に、工房を育み、守っていくのである」


 ヒオリさんとフラウが感心してうなずく。


「はい。よろしくお願いします」


 ファーがペコリと頭を下げる。

 実に礼儀正しくて、実に勤勉な姿だった。


「ふうむ」

「どうしたのであるか、クウちゃん」


 私が腕組みしてうなると、フラウがたずねてきた。


「いや、ね。それは本当に嬉しいんだけどね」


 私も楽ができるし。


「でも、うちの工房だけだと、ファーの世界が狭くなっちゃうよね」

「それは、そうであるな」

「では、学院に編入させますか?」

「ファーって外見的には10代後半だし、入るとしたら高学年だよね。無理があるかなぁ、さすがに」


「学院のカリキュラムはすべて習得済みです」


 ファーが言った。

 すべて……。

 なんて優秀なんでしょうか。


「であれば、ウェーバー商会やオダウェル商会への出向はどうであるか?」

「それがいいかもだねー」


 どちらのボスも、よく知っているヒトだし。

 いい経験になることだろう。


「……マスター、私は工房を出されるのでしょうか?」

「週に何回かだけ、ね。ずっとじゃないよ? 他でも経験を積まないと一流にはなれないと思うし」

「よかったです。放逐されるのかと思いました」

「あはは。そんなことはしないよー。私たちはファミリーだよー」

「うむ。クウちゃんファミリーである。ファーも一員である。構成員として立派に働くとよいのである」

「はい。ありがとうございます」


「店長、まずは大宮殿に連絡報告相談を行った方が……」

「あ、うん。そうだねー」


 勝手にやっちゃうと、あとで怒られるよね……。


「いっそ、大宮殿に入ってもよいかも知れぬのである。妾も最近はたまに足を運んでいるが、あそこのメイドは洗練されているのである」

「それもいいね。いいかも」


 フラウの提案は、いいかも知れない。

 ファーはメイドだし。


「確かに名案です。他では得られない経験になるかと」


 ヒオリさんも賛成のようだ。


「ファーはどう?」

「はい。最高峰のメイド業務には興味があります」

「なら決まりだね。できるだけ早めに陛下にお願いしてみるよ。皇妃様のお付きがいいんじゃないかなー」

「店長……。皇妃様付きのメイドは、国の最上位ですが……」

「へー。いいねー」


 いろいろ学べそう。


「いえ、あの」

「ヒオリ、クウちゃんがいいというなら、それはいいのである。そこには、何の問題も障害もないのである」

「あ、はい。そうですね。その通りでした」


 駄目なら一般のメイドでもいいし、お姉さま付きでもいいしねー。

 セラ付きは……。

 うん。

 やめておこう。

 だって、クウちゃんだけに、だし……。

 思いっきり影響されそうで怖いよね……。


「ファー、仕事と勉強と訓練以外では、何かしたいことはないの?」

「と言われますと……」


 私がたずねると、ファーが困った顔をした。


「たとえば、芸とか」

「私にはニクキュウニャーンがあります」

「もっと覚えるとか」

「……マスターがお望みであれば」


 わずかな沈黙を挟んで、ファーは言った。

 訳せば、お好みではないということかな。

 残念ながら。


「町に出て友達を作ってみるとか」


 私は提案してみた。


「マスター、私は自分が特殊な個体であることを認識しています。不要な接触は避けるべきかと」


 それはそうかぁ。

 ごめんね。


「ねえ、ファー。何かない? 私、ファーに好きなことをしてほしいの。なんでもいいんだけど……」

「マスター、私が1番にしたいことはマスターのお世話です」

「私の?」

「はい」

「そかー」

「大丈夫です。ご迷惑になるので申し上げませんでした」

「あ、うん。ごめんね……」

「いえ。マスターが多忙な身であり、常におそばにいることが難しいことは承知しておりますので」

「で、ある。妾もできれば常にクウちゃんのそばにいたいのである」

「某も従者として、おはようからおやすみまで、店長のおそばにいさせていただきたいところですが……」

「えっと。みんな、気持ちだけありがとね」


 あはは。

 この話はもうやめておこう!

 うん!

 とりあえずファーは、うちで店員さんをしつつ、週の何日か大宮殿でメイドとして働くことになった。

 許可が出れば、ね。


 あと、ファーには3階の部屋をプレゼントした。

 3階はガラ空きだったしね。

 最初は、3階は私のプライベート空間ということで遠慮されたけど、2階にはもう空き部屋がない。

 2階には、リビングにキッチンにバスルームに加えて、ヒオリさんとフラウの部屋と客室もいるしね。


「ついでだし、ヒオリさんとフラウも3階に来る?」

「いいのであるか!?」

「うん。いいよー」

「難しい問題なのである……」

「そうですね……。我らが店長の私空間に部屋を持ってしまうのは……」


 結局、ヒオリさんたちは2階で暮らすことになった。

 遠慮しなくてもいいのにね。


「3階は、メイドと精霊の間にするといいのである」

「そうですね。これから大勢が来そうですし。キオ殿にイル殿、他にも大精霊はいるのですよね」


 いや、うん。

 キオとイルは来ても追い返しますけどね!

 絶対に我が家はお断りです!

 断固として、よそへ押し付けます!


 他の大精霊は……。


 どんな子たちなんだろうか……。

 今月中には挨拶会で対面することになるだろうけど……。

 考えるのが怖いねっ!






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 宮殿のメイドになる際に、普通なら素性確認のため女神の瞳による鑑定をするでしょうから、ファーもそこでどういう存在になったかわかるかも…?
[一言] 王妃殿下の所に行くと確実に位階が上がるでしょうねー。 立場上、常に周囲を警戒しないとだし
[一言] 王宮にまた悩みの種投下スタンバイ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ