1206 大喜利大会の結果は……。
私は解答をおえた。
さあ、評価はどうかな……。
私はドキドキと審査員たちの様子を窺った。
カードが上がる。
◯、X、X。
エミリーちゃん以外は、辛口でした。
負けた……。
私、クウちゃんなのに……。
私、審判者を定めた者なのに……。
クウちゃんだけにとヤマスバに負けてしまいました。
「ふわふわはクウちゃんらしいよねっ! ふわふわ!」
エミリーちゃんが笑顔で論評してくれた。
「確かに。であるが、意味はよくわからなかったのである」
「そうですね……。残念ながら……」
感じて!
そこは、考えずに感じて!
ドント・シンク!
フィールだよ!
と、私は言いたかったけど、ぐっと我慢した。
評価は出たのだ。
受け止めねば、ならないのだ。
「次のお題に移ります」
ファーはすごいね。
初司会なのにスムーズに進行してくれる。
「帝都の新名物を考えてください」
「はうううううううううううううううううううう!」
問題が出た瞬間、セラが悲鳴を上げた!
「……どうしたの、セラ?」
「クウちゃん、帝都の新名物なんてクウバーガーに決まっていますよね……。だけどクウバーガーはすでに存在していて……。わたくし、クウちゃんだけにくうをする機会を見い出せません……。いったい、どうすれば」
「うん。普通の解答を考えようね?」
ホントに。
「あ、思いつきました! わたくし、帝都の新名物を!」
セラが手を上げた。
「セラ様、どうぞ」
「帝都の新名物……。それは、ズバリ! クウちゃん焼きです!
時代は今――。
『クウちゃんだけくう』から『クウちゃんをくう』へ!」
セラが、とっても明るい声で言った。
私は正直、引いた。
だって、うん。
セラの言い方じゃまるで、まさに私を焼いて食べるみたいだし……。
「あははっ! いいわね、それ!」
「そうだね。面白そうだ」
アンジェとスオナの笑い声が聞こえた。
審査員の判定は……。
◯◯◯!
ウケたようだ。
「はいはいなの! それならイルもあるの! クウさまカラアゲ! 最高のカラアゲと最強のクウさまの合体なの!」
◯◯◯!
えー。
「それなら私もあるわ。クウさまの土瓶蒸し。クウさまを閉じ込めて、ぐつぐつ煮てやるの……。ふふ、きっと美味しいと思うわ。ふわふわで」
◯◯◯!
完全に拷問なんですけど……。
「それなら私も」
マリエまで手を上げたぁぁぁ!
「私はクウちゃんなら、やっぱり、スイーツがいいなぁ。クウちゃんなら、ふわふわで甘くて美味しそうだよねー」
やめてお願いっ!
◯◯◯!
エミリーちゃんたちもノリノリでウケないでっ!
「さあ、あとはマスターです。どうぞ」
「え。私も?」
自分で自分の料理を考えるの?
「パスされるなら、次に進みますが」
「あ、もちろんやります」
うむ。
「じゃあねえ……。えっと……。私の料理かぁ……」
「帝都の新名物です」
「そう言えばそうだったね!」
完全に誤解していたよ。
気を取り直して私はネタを考えた。
む!
これだ!
私は正拳突きの構えを取った!
「帝都名物! ていっ! ていっ! とん汁!」
どや……。
ていと。
すなわち、てい、と、ん。
それはとん汁。
私はみんなの様子を窺った!
反応は……。
低い……だと……。
評価は、XXX。
「残念ですが、とん汁は聖都名物な気がしますね……」
「わたしはクウちゃん焼きの方がいいかなぁ」
「である。クウちゃんには申し訳ないが、やはりクウちゃんこそが帝都の名物に相応しいのである」
そ、そかー……。
私、喜ぶべきなのかな、これ。
この後も大会は続いた。
私は、うん。
ちょっと、とん汁でペースを乱してしまったみたいで……。
いまいちウケなかったです……。
結果……。
10戦をおえて……。
「優勝はセラ様、準優勝はマリエ様です」
ファーが結果を告げる。
「やりましたー!」
「ありがとうございました」
セラが飛び跳ねて喜び、マリエは静かに一礼した。
はい。
セラが優勝ですよ。
ほぼ、クウちゃんだけに、しか言っていないのに……。
マリエだって、半分はヤマスバだったのに……。
なんか、ね。
なのに2人とも、ウケにウケまくってね。
アンジェとミルは、キャッキャと笑っていたよ。
アクアとスオナも、セラが「クウちゃんだけに」と言う度に、クスクスと肩を震わせていたし。
おかしいよね、必死に考えた私が笑われないなんて……。
定番ギャグ、強すぎるね……。
大喜利大会なんて、もうやらねーよ!
そう思いつつも私は、一応、頑張って笑顔で拍手をするのでした。
クウはとん汁と言っていますが、私はリアルではぶた汁派ですw




