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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1202/1359

1202 新春の対決は……。




「にくきゅうにゃ~ん! 波ざはざば~! からのお!

 必殺、スルメ焼きー!」


 私は仰向けに寝転ぶと、体をゆっくりと折り曲げていった!


 じゅじゅ、じゅじゅ、じゅじゅ……。


 まさに、網の上で焼けるスルメ!


 カンペキだ……。


 わー!


 ぱちぱちぱち!


 みんなの拍手を受けつつ私は立ち上がると、片方の手をリビングの天井に伸ばして堂々と宣言した。


「えー! というわけで、これより!

 新春、一発芸大会を行いまーす!

 みなさん、芸の準備を、よろしくお願いしまーす!」


「いきなりどうしたのかと思ったら、そういうことね」


 アンジェが肩をすくめた。


「クウのことだから、やるとは思っていたよ」

「そうね」

「準備してあるんだ?」

「一応はね」


 私が質問すると、スオナも肩をすくめてうなずいた。


「ふふっ! もちろんわたくしも準備は万歳ですよ!」


 セラも平気のようだ。


 ただ、さすがにいきなり過ぎた仲間もいて、


「ねえ、クウさま。私、よくわからないんだけど……。とにかく今のクウさまのを真似すればいいの?」


 と、ミルは首をひねっていた。


「猫の真似をすればいいのね! わかったわ!」

「なの。任せろニャなの」


 キオとイルも似た感じだった。

 受けて立ったものの、内容は理解していなかったらしい。

 まあ、うん。

 猫の真似でも立派な芸ではあるんだけど……。

 それではさすがに、歴戦のマリーエ様には太刀打ちできないだろう。


「覚悟しなさいっ! マリエ! アンタなんて、この私の猫でギッタンギッタンにノシてやるんだから!」

「なの! マリエを猫ツメで引っ掻いてやるなの!」


 キオとイルが斜め上のやる気を見せていると、


「なるほどわかったわ! 私もマリエなんてやっつけてやるわ!」


 と、なぜかミルが乗っかってきた。


「やっつけるんですか……? マリエは、お友だちですよね?」


 アクアが不審げにたずねる。


「何を言っているの、アクア! このお2人は偉大なる精霊様なのよ! 間違ったことを言うはずはないわ! マリエは敵だったのよ! ……本当に残念なことではあるけどね」

「そうなんですか……。わかりました。というか失礼ですが、もしかして、そちらの水色の髪の御方はイルサーフェ様では……?」

「なの! おまえはよく見れば、この間、ゼノの紹介で祝福してやったヤツなのね! 元気そうでよかったなの!」

「はい。お陰様でこのように成長することができました。わかりました。私も全力でマリエさんを倒します」


「ふふーん。おまえたち、妖精の割にはなかなか見どころがあるわね! いいわ! このキオ様の手下にしてあげる!」

「あ、それはいいです。私は闇の主さまのシモベだし、アクアは水の子なので」

「なの! キオはすっこんでろなの!」

「ふえ」


 まあ、うん。

 キオが泣きそうになるのはいつものことだとしても……。


「で、クウさま。カラアゲはどこなの? ハッ! まさかマリエを倒さないとカラアゲを出さないなの! やってやるなの! マリエなんて水竜に食わせて海の底に沈めてやるなの! 早く勝負をするなの!」


 イルが一気にスパートするのも、いつものことだとしても……。

 何故か雲行きがおかしくなってきたね。

 と私が冷静に思っていると……。


「店長。店長と大精霊殿の対決ならまだわかりますが、何故、マリエ殿が敵扱いされているのですか?」


 ヒオリさんが質問してきた。


「あ、うん。それはね」


 私は、ざっくりと成り行きを話した。


「なるほど。そういうことですか。しかしこのままでは認識不足により、マリエ殿が不当なダメージを被る恐れが……」

「ふむ……。そうだね……」


 私はちらりとマリエに目を向けた。

 ――向けようとした。


 あれ、いない?


 と思ったけど、探したらいた。


 マリエは静かに姿勢を正し、微笑みを浮かべて気配を消していた!

 いるとわかっているこの私でさえ……。

 探さないと認識できないほどの薄い薄い空気感で!


 空気の極意……。

 おそるべし……。


 ついには真空へと進化してくかのようだね……。


 まあ、それはともかく。


 マリエに怪我をさせるわけにはいかない。


 私は考え、一瞬で閃いた!


 そうだ!

 これだ!


「皆さん、ごめんなさい。唐突ですが、ルールを変更させてください」

「そうね。その方がいいとは思うけど、どうするの?」


 アンジェがたずねる。


「新春! 大喜利大会にしましょう!」


 そう!

 私はなんてかしこいのか!

 大喜利なら、即興でも遊べるよね。


「ヒオリさん、フラウ、エミリーちゃん、工房の店員組は申し訳ないけど採点者に回ってもらっていいかな?」

「はい。内容はわかりませんが、まずはわかりました」

「同じくである。クウちゃんのためとあらば、何肌でも脱ぐのである」

「うん。わたしも頑張る! ファーはどうするの?」

「ファーには司会をやってもらいます。ファーは初仕事になるけど、私は参加者になるから頑張ってね!」

「マスター、申し訳ありません。私のライブラリーには、オオギリという言葉が存在していません。よって、何をどうすればいいのかわかりません」


 ファーが頭を下げてくる。


「そうですね……。某も初めて聞きましたし……」

「平気だよっ! 簡単だから説明するねっ!」


 大喜利とは!

 司会者が出したお題に、参加者が面白可笑しく答える演目!

 なのです!


 たとえば……。


「この寿司を作ったのは、誰だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 と、いきなり食通が怒り出しました。

 何故でしょう?


 と問われたら……。


「はいっ!」


 元気よく手を上げて、


「では、クウちゃんさん、どうぞ」


 司会者に指名してもらえたら、答えます。


「ご飯が砂だったから! ぺっ! ぺっ! あー、口の中がシャリシャリするー! シャリだけに」


 ダジャレを効かせてみたりとか。

 あるいは、


「具がグーだったから! グーグー!」


 たとえ意味はなくても、拳ひとつで押し切るとか。

 あるいは、


「こう、なんかこぼれちゃったから? ぽろっ、ぽろって」


 必死に答えてみたものの、ダジャレどころか意味も勢いもなし……。

 うん。

 それもまた、シュールでよいものです。

 案外、そういうのがウケちゃうかも知れません。


 つまり、答えにさえなっていれば、だいたいなんでもアリです。


 さあ、がんばろー!





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― 新着の感想 ―
[一言] うーんいつも以上に混沌としてなにが書いてあるかわかりませんなw 唯一分かるのは極意で・・・さんがいつの間にか消えているということだw
[良い点] いつも楽しく読んでます! 大喜利と聞くと、今は亡き緑の司会者様と、紫の腹黒様の掛け合いは楽しかったですよね〜 腹黒さんも寂しくて、後を早くに追いかけちゃったのは悲しかったよね。 今で…
[一言] うん……まぁ…あれだ、クウさんだからと流せばマルっと収まりますぞ?後はお兄様連れてくるとか
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