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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1191/1359

1191 新年の夜明け前!





 朝――。

 というには明らかに早い、まだ真っ暗な時間。

 私はパチリと目を覚ました。

 布団から身を起こして、窓のカーテンを開ける。

 うむ。

 部屋の中だけではなくて、空もしっかりと暗い。

 初日の出、拝むことはできそうだ。

 やったね。

 パジャマを脱いで、そそくさと身支度を整える。

 階段を下りて2階に行くと、照明の灯ったリビングには、すでに準備万端のヒオリさんとフラウがいた。

 テーブルには、食事の準備も整っていた。


「ヒオリさん、フラウ、あけましておめでとー!」

「おめでとうございます、店長」

「おめでとうなのである、クウちゃん」


 ヒオリさんとフラウと、早速、新年のご挨拶を交わす。

 棚のカメ様にもご挨拶は忘れない。

 カメ様、どうか今年1年、私たちをお守りください……。

 その後、朝食。


 ぱくぱく。

 もぐもぐ。


 ごちそうさまでした。

 お腹も膨れて、少しのんびりしてから、私たちは1階に下りた。

 お出かけの時間だ。

 お店のドアから外に出ると――。

 ぴったりのタイミングで、馬車が近づいてきた。

 馬車は私たちの前で止まる。

 中から下りてきたのは、セラとシルエラさんだ。

 セラの肩の上には妖精のミルもいた。


「クウちゃんっ! おはようございますっ!」


 白い息を弾ませて、セラが言った。


「うん。おはよー。新年、あけましておめでとうー」

「はいっ! おめでとうございます! ついに新しい年ですね! 今年もよろしくお願いしますっ!」

「うん。こちらこそー」


 セラは新年の夜明け前から、とっても元気だ。

 いいことだねっ!


「クウちゃんさまぁ、おはよー……」

「うん。ミルもおはよー」

「ふぁぁぁ……。こんなに朝早くから遊ぶなんて、みんな、元気ねえ」


 ミルは寝ぼけ眼だった。

 うつらうつらしている。


 挨拶していると、さらにお友だちがやってきた。


「おーい!」


 と、通りの遠くから知っている声がしたかと思えば――。

 ヒュンと風を巻いて――。


「おはよ、みんな! 今年もよろしくね!」


 目の前にアンジェが現れた。


 遅れてスオナもやってきた。

 スオナの肩には、妖精のアクアもいる。


 さらに少しすると、オダンさんと一緒にエミリーちゃんがやってきた。

 ゼノも来た。

 ふふー。

 昨日の夜、忘れずゼノのことも誘った私はかしこい子です。

 同じ失敗は繰り返さないのです。


 あらためて、みんなでご挨拶。


 挨拶を済ませると、オダンさんは帰った。

 わざわざエミリーちゃんを届けに来てくれたのだ。

 新年からありがとうございました。


「さあ、じゃあ、中央広場に行こうかー! 夜明けイベントにはまだ時間があるけどいいよねー!」


 今年の初日の出は、いつもの中央広場で見る予定だ。

 イベントもあるようだしね。


 と、私が元気に腕を振り上げると――。


「ねえ、クウちゃん。まだ1人、足りないよね? いいの?」


 エミリーちゃんが言った。


「ファーだよね。ファーは、初詣の後かな。ちょっといろいろあるし」

「うん。ファーのことは聞いているけど……」

「どうしたの?」

「マリエちゃんは? 誘ったんだよね?」

「あ」


 忘れてたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


「ごめんちょっと待ってて!」


「ホントにアンタってば。いつものことながら」

「ははは。クウらしくていいじゃないか。マリエにはご苦労なことだけど」


 アンジェに呆れられて、スオナに笑われつつ、私は飛んだ。

 幸いにもマリエは、自分の部屋で普通に寝てくれていた。


「マリエ、おはよっ!」

「ん……。え。あ、クウちゃん……?」

「うん! ごめんね誘い忘れちゃっててさー! これから新年イベントに一緒に行くからよろしくね!」

「え。あ。今?」

「うん! もちろん今だよー!」


 まさに今日が新年だしね!


「ささ、着替えて着替えてー! 手伝ってあげるからー!」

「ちょっ。えっ。あっ。クウちゃん!? 脱がせなくていいからー! それくらい1人でやれるからー!」

「……マリエ、また大きくなった? 成長期だねえ」

「そういうのもいいからー!」


 ちょっとドタバタしちゃったけど、無事に着替えは終了!

 もっともそのせいで……。

 おじさんも起きてしまって、いったいどうしたのかとマリエの部屋のドアをノックしてきたけど……。

 逆にちょうど許可をもらえました!


 私は窓を開けて、おじさんのお見送りの中――。


「じゃあ、すみません。マリエのこと、半日だけお借りしますねー!」

「ああ。楽しんでくるといいよ」


 おじさんは笑顔で見送ってくれた。

 マリエを抱いて、私は宙に浮いた。


「ちょっ! 待ってクウちゃん! お父さんの前だよー!」

「あ」


 しまった。

 つい人前で迂闊に飛びかけた。


「ははは。大丈夫だよ。お父さんはこの通り、まだ眠っているからね。残念だけど何も見ていないよ?」


 お父さんは立ったまま寝たフリをしてくれた。

 ありがとう!

 さすがです!

 私は安心して、そのまま夜明け前の空を飛んで、みんなの元に向かった。


「あ、マリエ。あけましておめでとう」

「うん。おめでとう」

「今年もよろしくね」

「うん。私の方こそよろしくお願いします。でも、クウちゃんは今年こそ、遊ぶ時は事前に連絡をお願いね?」

「あ、はい……」


 新年早々、ごめんなさいでした。








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― 新着の感想 ―
[一言] マリエさんは仲間内で数少ない常識班であり班長ですし、彼女の言葉は響くでしょうねー…
[良い点] いつも楽しく読んでます! 油断大敵! いつも呼び忘れる人を呼べたのに(笑) いつも巻き込むくせに忘れてる彼女(笑)
[一言] これぞ空気の極意w
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