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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1164 クウとゼノの相談





「……クウちゃんだけに、くう、か」


 私こと、最強で無敵でふわふわのクウちゃんさまは今、1人、自室の窓際で椅子に座って外の景色を眺めていた。

 昨日の朝、銀色に染まっていた帝都の景色は、冬の晴れた空の下、すでにだいたい普段の姿へと戻っている。

 ただ、昨日の夜の嵐の被害があちこちで出ていて――。

 町はそれなりに騒がしかった。


 私は先程、昨日に続いて大宮殿に行って、昨日に続いて謝罪して、昨日に続いて多額の寄付金を置いてきた。


 いったい、私は何をしているのだろうか。

 私は何もしていないのに、どうして私が謝るハメになっているのか。

 それがわからない。

 謎なのである。

 いったい、私はいつから、5歳児たちの保護者になったのか。

 まさに、クウちゃんだけに、なのです。

 私は今、そんなわけで、黄昏れているのでした。


 ああ、なんか今……。

 強い風の力が発生して、空に立ち昇ったねえ……。

 場所からして中央広場かな。

 多分、アンジェがなんだかんだ上手くやってくれているのだろう。

 危険な気配はないし。

 私は、もう何もしなくてもいいよね……。


「ねえ、クウ」

「うわぁ!」


 いきなりゼノがぬうっと現れて、私は椅子から転げ落ちた。


「……何をわざとらしく驚いてるのさ。普通に近づいただけだよね」

「ボーッとしてたの! ……で、何?」

「で、じゃないでしょー。イルとキオは大丈夫なんだろうね?」

「私に聞かれても……」


 知らないよね、本当の本気で。


「クウが保護者でしょ!」


 そんなプリプリされても。


「いつから私が保護者になったのさー」

「じゃあ、他の誰?」

「ゼノリナータさんとか?」


 目の前にいる。


「あのね。ボクとは属性が違うでしょ。冗談はやめてくれる?」

「私だって違うよー」


 私、お笑い属性なんだし。


「はぁ。もう。なんでもいいから、さっさと精霊界に帰らせてよね? これから年末にかけてボクとアリスの悪党大掃除大作戦が始まるんだからさー。雪とか嵐とかやられるのは邪魔でしかないんだよねー」

「そかー」


 悪党大掃除大作戦ってなんだろね。

 まあ、うん。

 魔法少女アリスちゃんの劇場版か。


「てゆか、まだ退治する悪党なんているんだ?」


 今までにも散々、お遊戯感覚で退治してきたと思うけど。


「悪党って雑草だしね。1人を潰しても、すぐに次の1人が生えてくるし。おわることはないよね」

「そうだ。いいことを思いついた」

「……何?」


 露骨に嫌な顔をされたけど、私は気にしない。


「イルとキオを仲間にしてあげたら?」

「絶対にお断りだからね? あの2人なんて、表面的に大人ぶっていても、どうせクウ以上にバカ騒ぎをするに決まっているんだから。そのせいでアリスの存在が表に出たらどうするのさ」

「そかー」

「ねえ、クウ」

「なぁに、ゼノちゃん」

「あの2人は、どこか遠い町に捨てよう」

「安心していいよー。イルの方は、いずれサンネイラに行くからー」

「キオは?」

「さあ。どうなるんだろうねー」


 アンジェの就職先次第ではなかろうか。


「絶対に追いやってね?」

「ゼノがやってよー。私には扱い切れないよー」


 イルはまだいいけど、キオはすぐに泣くので本当に扱いに困る。


「嫌だよ。クウの仕事でしょ」

「私にそんな仕事はありませーん。あ、そうだ」

「……今度は何?」

「そう言えばさ、年が明けてからの、精霊界の挨拶会の方はどうなの? 準備は進んでいる?」


 私がたずねると――。

 何故かゼノに、思いっきり驚いた顔をされた。


「どうしたの?」


 私は首を傾げた。


「いや、うん。クウがまともな質問をするから驚いただけだけど」

「そかー」

「準備については大丈夫だよ。もうみんなには伝えたから。みんな、新しい女王サマにどんなことをされるのかと、怯えたり泣いたり覚悟を決めたり、いろいろな反応で面白かったよー」

「ねえ、ゼノ」

「なぁに、クウ」

「……どんな伝え方をしたの、それ?」


 挨拶するだけだよね?

 楽しい会だよね?


「とりあえずこっちの日付で1月12日ってことにしたけどいいよね? ナオたちの調印式の2日後。それを伝えるために来たんだったよ」

「リョーカイ」


 けっこうタイトなスケジュールだけど、冬休みの内にはおわらせたいので私に異存はありません。

 3学期には、憂いなく気持ちよく入りたいしね。


「じゃあ、ボクはこれで。とにかく頼んだよ」


 言うだけ言って、ゼノは消えた。

 私は1人に戻る。

 椅子に座って、再び窓から帝都の景色を眺めた。


「……クウちゃんだけに、か」


 それは果たして、クウなのか。

 私にはわからないね。

 難問だ。


「ただ、そうだなぁ……」


 私は窓辺から離れて、机の椅子に座った。

 ノートを広げる。

 確認のため、これからの予定を書いてみよう。


 えっと……。


 大晦日のお昼は、新獣王国の新獣王都のお祭りを見に行く。

 年が明けて、3日の早朝がユイたちとの新年会。

 5日には、大宮殿での新年会がある。

 10日が運命の調印式。

 で、12日が精霊界での挨拶会。

 15日には、これは見学には行かないけど、マウンテン先輩の運命を決める騎士団の一般入団試験がある。

 あとは、ディシニアの小麦粉を使って何か作ってみたいね……。


 あーあと!


 調印式に合わせて、ナリユキだけのナリユ卿とオルデの婚約話も、ちゃんとまとめてあげないとだね。

 オルデの婚約については、帝都のロマンスとして物語にするという話をお兄さまとした気がする。

 物語は、もう完成しているのかな。

 新年会の時にでも、聞いてみよう。


 これくらいか。


 で、1月21日から、帝都中央学院の3学期が始まる。と。








リアルは夏へと一直線の中、まだまだ異世界では冬休みが続きそうです。

冬休みにイベントを詰め込みすぎました\(^o^)/



挿絵(By みてみん)


書籍版もよろしくお願いします!

2巻発売中です\(^o^)/

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― 新着の感想 ―
[一言] 〉私、お笑い属性なんだし。 巧い!心の中でだけどヴィマーナの玉座を進呈しちゃいましょう。心の中でだけどw 〉クウちゃんだけに 呪文の様になってますねー
[一言] 1月12日に行われるという挨拶会って、実際には精霊女王の就任式な感じがする。だとすると、今はともかく就任後は大精霊の管理も仕事になってきそうな気が。まあ、「おとなしくしないと拷問スペシャル」…
[一言] >私は何もしていないのに、どうして私が謝るハメになっているのか。 むしろ何もしてないからでは? 悪党大掃除大作戦… 事前にバルターさんに話しておかないと陛下からのお小言をもらいますぞw
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