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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1148 聖都でお買い物





「ユイちゃんだけに、ゆい」

「ねえ、クウ」

「ん?」

「クリスマスはとっくに過ぎちゃったよ? 来るのが遅くない?」

「パーティーとかしたんだ?」

「ううん。クウがどうしてもっていうなら、仕方なく付き合ってもいいかなーとは思っていたけど」

「ユイは、クウちゃんさまに言われて断りきれず、やむを得ず、仕事をサボってパーティーをしたがっていたのです。クウちゃんさまは本当に気の利かない間抜けでリトは困り果てるのです」

「いや、うん。困り果てるならユイにしなよね?」


 というわけで。


 私は早速、早朝、ユイのところに来た。

 今日もユイは普通におうちにいた。

 ユイは多忙な聖女様だけど、外遊の時以外は外泊しないので、早朝なら確実に家に居てくれて助かるのだ。

 おまけのリトも当然のようにユイのそばにいた。


 一緒に朝食をいただく。

 ユイの家の朝食は、いつもご飯と味噌汁で落ち着くね。

 クウちゃんだけに、くう。です。

 ぱくぱく。

 食べつつ私は、昨日のことを話した。


「というわけでさ、どこかオススメのカラアゲ屋さんはないかなー」

「ねえ、クウ」

「ん?」

「私がさ、自由にお店巡りとかしてると思う?」

「え。あ。うん」


 言われてみれば、そうか……。


「……私って悲しい子だよね」

「いや、うん。12歳の女の子は普通、食べ物屋さん巡りなんてしないから別に悲しくはないと思うよ」

「なら聞かないでよねっ!?」

「ごめんごめん。私は普通にしているからさ、ついユイならと思っちゃったよー」


 幼なじみだし。


「いいよねー、クウは。自由でさー」

「あはは」

「それにしても、イルも何をやっているのかなのです。私怨で大雪を降らすなんて最悪なのです。クウちゃんさま、さすがに叱っておくのです。拷問スペシャルもやむなしなのです」


 リトにはしみじみと言われたけど、私は苦笑いで流した。

 私が約束を忘れたせいだしね……。

 さすがにそれを横に置いて、お説教はできない。


 ちなみに出かける前に空から見下ろした帝都は、見事に一面の銀世界だった。

 空は晴れていたけど、今日は大変な日になるだろう……。

 どうしようね。

 一応、陛下には自白した方がいいのかなぁ。

 考えると胃が痛くなるね……。


 まあ、とりあえずは、カラアゲだけど。

 約束は守ろう。


「ところで、クウ。新獣王都で大晦日にお祭りがあるって話は聞いた?」

「そうなの? 聞いてないけど」

「私もナオから聞いたわけではないんだけど、昨日、そういう情報が届いたよ。急遽決まって準備してるんだって」

「へー。行ってみる?」

「私?」

「うん」


 せっかくだし、一緒に。


「あははー。年末年始なんて、私、ずっと仕事だよー? 知ってた? 聖女様って超絶ブラックなんだよー? 私、バーガー大会がおわってから、1日も仕事をお休みしていないんだー」

「そかー」


 まあ、うん。

 頑張ってね。


 ナオのところのお祭りには、行けたら行ってみよう。

 絶対に面白いだろうし。


 さて。


 残念ながらオススメのカラアゲ情報はなかったし、ユイの家からはお暇させていただくことにした。


「じゃあ、ユイ。朝ご飯、ありがとね。またね」

「うん。次に会うのは年が明けて3日の朝だね」

「エリカを連れて、夜明け前には来るよー」


 残念ながら遊びではないけど。

 1月10日の調印式に向けて、幼なじみ組でスケジュールや決め事の最後の確認をするためだ。

 ちなみにナオは自力で転移魔法を使えるので、送迎の必要はない。


「クウ、今年もありがとね。来年もよろしく」

「こちらこそ。リトも、また来年ね」

「クウちゃんさまは、来年こそ精霊界のことも頑張るのです。イルとキオを暴走させるななのです」

「手伝ってね?」

「手伝うも何も、暴走させているのはクウちゃんさまなのです」


 むむむ。

 そう言われると否定できませんが!

 まあ、いいか。

 精霊界でも、来年の早い時期に挨拶会をする予定なのだ。

 そこでなんとかなるだろう。

 ゼノが上手いこと、企画しているはずだしねっ!


 さあ、カラアゲを探しに行こう!


 私は町へと出た。


 出たけど、店はどこもまだ開いていなかった。

 ちと早すぎたようです。


 まあ、いいか。


 散歩でもしようかなーと思ったら、開いているお店を見つけた。

 昔ながらのお持ち帰り惣菜店といった感じのお店だった。

 軒先を覗いてみると、すでに商品が並んでいた。

 やったね!

 山盛りのカラアゲが置かれていた!

 見ていると、店の奥からおじさんが声をかけてきた。

 試食させてもらえることになった。

 ぱくぱく。

 もぐもぐ。

 カラアゲは、作りたてということで温かかった。

 使っている肉は、鳥の胸肉かな。

 さっぱりとした味わいだった。

 お弁当に入っている類の、冷めても美味しい普通のカラアゲだね。

 問題なしだろう。

 というわけで全部、買わせていただいた。

 さすがに驚かれたけど、お友だちのパーティーで大皿に盛りたいと言ったら快く売ってくれた。


 さあ、これでいいよね!


 おうちに帰って、イルのカラアゲパーティーをしますかー!





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― 新着の感想 ―
[一言] 異世界(だけとは限らんが)あるあるブラック聖女生活。 うーん、どっかの精霊とかセンセイとかが公式の場で連れ去ったらワンチャン休めるのでは。誰も文句は言えんね!?
[一言] あれ?、サンネイラで饗された唐揚げって表現的に多分…(何かを察する)
[一言] 無自覚な刃が聖女を襲うあーなんてひどい精霊さんなんだろう(ニヤニヤ
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