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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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1003/1359

1003 閑話・セラフィーヌの休日





 今日は休日。

 二学期の一斉テストと魔術実技がおわって、お勉強から解放された翌日です。

 わたくし、セラフィーヌの心も晴れやかです。

 今日はクウちゃんの家で、仕事のお手伝いと、テストの報告会です。


 テストは、わたくしはバッチリでした。

 アンジェちゃんとスオナちゃんも、バッチリだったようです。

 クウちゃんは、どうだったのでしょうか。

 最強で無敵で可憐で清楚でかわいくて小鳥さんで、優雅で美麗で、世界で一番、宇宙で一番、帝国で一番、大陸で一番。

 あと、カメ様と同じで一番のクウちゃんのことですから、大丈夫に決まっているとは思いますけれど……。

 わたくし、クウちゃんを疑ったことなんて一度たりともありません。

 大丈夫に決まっていますね!

 気にするのはやめましょう!


 ともかく、わたくしは今、歩いて、1人で――。

 いえ、正確にはシルエラと一緒ですが――。

 クウちゃんの家に向かっています。

 大宮殿からは、いつものように馬車で出たのですが……。

 今日は途中で降りました。

 なんだか今日は、歩きたい気分だったのです。


「クウちゃんだけに、くう♪

 クウちゃんだけに、くう♪

 えー?

 クウちゃん、食べちゃうんですかー?

 クウちゃんだけにー?

 く、う♪

 クウバーガー♪

 姫様ロールー♪

 姫様ドッグー♪

 くうくうくう~ちゃん♪」


 帝都の大通りは、とても賑やかです。

 わたくしも、その賑やかさに乗せられて、思わず歌を歌ってしまいます。

 もちろんクウちゃんの歌です。


 クウちゃんだけに、くう、は、残念ながら……。

 最近では、人前では、あまり言わないようにしています。

 だけど1人の時なら、好きなだけ言ってもいいですよね。

 わたくし、一日中でも、クウちゃんだけに、くう、ならしていられます。

 魔力アップの特訓にもなりますしねっ!

 たのしくて、ためになって、力になる。

 クウちゃんだけに、くう、は、まさに一石三鳥なのです。

 完璧な言葉です。

 本当に、すごい言葉なのです。

 本当は、なので、もっともっとたくさんの人に広めたいのです。


 南の島でリザードマンのみなさんと一緒に「クウちゃんだけに、くう」をした時みたいに……。

 あれは本当に楽しかったです……。

 来年の夏も、また、みんなでやれると嬉しいです。


 ユイさんの元で必死に治療をしていた時の「クウちゃんだけに、くう」は本当に勇気をくれました……。

 正直、辛かったけど、良い経験でした……。

 ユイさんは、今でも尊敬するわたくしの先生です。


 歌ったり、そんなことを考えつつ歩いていくと……。

 やがて中央広場に到着しました。

 帝都でも、一番に賑わっている場所です。


 クウちゃんの家『ふわふわ美少女のなんでも工房』は、中央広場からも入れるエメラルドストリートの中にあります。

 エメラルドストリートは、貴族も利用する高級街。

 警備体制もしっかりしているので、クウちゃんも安心して暮らすことができていると思います。


 中央広場では、午前からたくさんのお店がオープンしています。

 クウちゃんに関わるお店も、すでに営業中です。


 姫様ドッグ店。

 姫様ロール店。

 ぬいぐるみマート。


 その3つのお店には、早くも、たくさんのお客さんがいました。

 姫様ドッグ店と姫様ロール店は、初めて見た時にはただの屋台だったのに、今では素敵なカフェです。

 クウちゃんの話では、他の町に支店もあるとか。

 本当にクウちゃんはすごいです。

 関わる人みんなを、幸せにしてあげています。

 わたくしもその1人ですね。

 クウちゃんだに、くう。

 本当に、クウちゃんだけに、くう、なのです。


 と……。


 わたくしが、そんな風に、静かにお店を見ている時でした。


「あああああああああ!」


 脇で悲鳴をあげて、若い男の人が盛大に転びました。

 わたくしはそちらに目を向けました。

 見れば、男の人が倒れるのに合わせて、両手で抱えていたらしき大きな花束が宙にくるくると舞って……。

 あ。

 地面に落ちて、散らばってしまいました。


「ちょっと! もう! いい加減にしなさいよね! 3回目よ! なんで普通に転ぶのよアンタは!」


 それに気づいた女の子が、腰に手を当てて怒りの声をあげます。


「はは。まさに、2度あることは3度あるだね」


 転んだ男の人はお気楽な様子です。


「笑って言うことかー! 冬のお花は貴重なのよ! 大損害でしょ!」

「安心してくれ、オルデ。ほら、こうやって拾えば元通りさ」

「元通りなわけがあるかー! 折れちゃってるでしょ! 花びらに汚れがついちゃってるでしょ!」

「洗えば平気さ。折れた花は、ほら、短くすればいいし」

「はぁ……。もう。だから私が持つって言ったのに」

「何を言っているんだい。荷運びは男の役割と決まっているだろう」

「決まってないわよ、別に」

「しかしそれでは、僕の仕事がなくなってしまうよ」

「そうね」

「それでは君を養うことができないだろう?」

「ねえ、あのさ」

「うん。なんだい、愛しいオルデ」

「ほんとーに、養ってくれるのなら、実家に帰りなさい?」

「ああ、そうだね。洗う必要もあるし、いったん、お店に戻ろうか」

「だからー、そういう意味じゃなくてね!?」

「はははっ! オルデは本当に、いつでも元気で素敵だね。僕も見習って、元気にまだまだ頑張るよ」


 2人は手早く、落ちてしまった花を拾うと――。

 来た方向に戻っていきました。


「ねえ、シルエラ」

「はい。なんでしょうか、姫様」

「……ああいうのも、仲が良いとは言うのですよね」

「はい。そうですね」


 オルデさんという方は、いかにも頼りない男の人に振り回されて、かなり苦労していそうでしたけど……。

 あれはあれで、わたくしの目にも、楽しそうには見えました。


「あとシルエラ、彼女とわたくしとの間に面識はありますか? どこかで見たことのあるような気もするのですが……」

「彼女は、秋に開かれたエカテリーナ様のガーデン・パーティーに参加していた一般客です。同じ会場にはいましたが、姫様への挨拶はしておりません。故に、記憶はあっても面識はないかと」

「そうでしたか。ありがとうございます」


 わたくしは気にせず、クウちゃんの家へと向かうことにしました。







クウちゃんの歌、けっこうお気に入りです\(^o^)/

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― 新着の感想 ―
[一言] 最近は普通の姫と化していたセラが、今回はポンコツ姫に戻ったみたいで良い味出してますw
[良い点] 歌いいですね。今日だけで4回読み直してます。 レビューにそのまま歌詞記載してこんな作品ですって紹介したいくらい。
[良い点] 運命力はセラの方が上かな? クウの歌も歌うと何かステータスが上がったりして。
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