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私たちの世界は遅れている
地球が四千メートルも廻ることを
私たちはその一秒後に知る
思考の論理が三秒で完遂するのだとすれば、
知る、そのときにはすでに一万六千メートルも先にいるのであって、
私たちの世界は遅れている
きみが笑ったことを
きみが泣いたことを
きみの心がうごいたことを
ぼくは直ぐに知ることができない
ぼくはきみのきもちをきみよりもあとに知ることしかできない
(当たり前なのかもしれないけれど)
当たり前のように
遅れた世界のなかで
遅れた世界のなかで
「此処」をかたろうとすると
「過去」をかたろうとする、
ような気がする
「明日」
をかたろうとすると、
、いや、とてもできそうにはないが、
けれどきみがわらうのだろうな、
とおもうことを
ぼくは漸く判りかけている、
ような、気が、する
語れるきがするのだ
きみを
きみをとおしてならば
当たり前のように
遅れた世界のなかで