第56話 エピローグ(再びあの百夢花の下で)
最終話は書き直しましたが、自分でも不完全燃焼。いつかリメイク作る時に、自身でも納得できる様にします
あれから40年が過ぎた。俺はドレステン公爵の家を継いだ
そして、エリスと結婚し、3人の子供を授かった
2人の女の子の双子に、2才下の男の子
エリスは2人の女の子にアリシアとベアトリスと名付けた
そして長男にアーネと名付けた
まるで、俺が失ったものを埋めるかの様に......
エリスはアリシアとベアトリスの事を忘れないで欲しいと言っていた
妹はともかく、昔の彼女を覚えておけというのも不思議な話だ、
だが、エリスらしいとも思った
そのエリスも1年前に逝った。流行り病であっさりと、
そして、俺も、おそらくもう時期、天に召されるだろう
俺の命はもうじき尽きる。なんとなくわかった
子のアリシア、ベアトリス、アーネ、そしてたくさんの孫達
皆、集まっている。俺を看取る為だろう
「お父さん」
アリシアが俺の手を握った。そして、涙した
そして、意識が途切れ、周りが明るくなった
☆☆☆
「......」
ここは?
白く、明るい何も無い世界が周りに広がった
そして、一人の女性が浮かび上がった。
「女神様」
俺はそれが女神様だと思った
三葉の白い羽を持つ、輝く女性、女神様だ
俺は死んだのか?
「レオン様......」
女神様の顔が見える様になってきた。俺は驚いた
「エ、エリス?」
「そうです。エリスです。女神エリスでもありますが」
「エリスは女神様だったのか?
エリスは俺を導く為に人の世界にいたのか?」
「いえ、本来、私はエリアスを救う為に存在していた筈です
しかし、私は地界に降りる時は普通の人間としてしか顕現出来ないのです
女神の記憶も失います」
「では、偶然、俺と出会ったのか?」
「いえ、そうとも言えません。人間も女神の私もカルマ(業)を背負います
レオン様は虚数魔法使いのカルマ(業)を背負い、
エリアスは勇者のカルマ(業)を背負っていました
レオン様も気がついたでしょう?
虚数魔法使いは勇者が堕ちた時の為にいるという事に」
「ああ、魔王から聞いた、それで、おそらくそうだと思った」
「私のカルマ(業)は勇者か虚数魔法使いを癒す事なんです」
「じゃあ、偶然ではなく、必然だったのか?」
「そうです。運命の歯車は私にも止められません。運命はエリアスと私ではなく、
レオン様と私を選んだ」
「女神のエリスにも出来ない事があるなんて......」
「私のできる事は限られています。そもそも、できるなら、魔王など存在させ無いし、
私が直接倒すかすればいい。でも、そんな力は私にはありません
エリアスに魅了の魔法が宿ったのも女神である私には止められない事でした
私は生まれた時から女神でした
でも、自身を誰が創造したのかすらわかりません」
「そんなものなのか......」
「積もる話もありますが、これからの事を話しますね」
「これから?」
「はい、これで終わった訳ではありません。レオン様は新たなカルマ(業)を背負います
もうじき、エリアスとマリアが『底辺奴隷』のカルマ(業)を背負い転生します
そして、レオン様もアリシアさんもベアトリスさんも転生します」
「俺はまた、虚数魔法使いになるのか?」
「それはありません、何故なら、レオン様は『勇者』のカルマ(業)を背負い
転生します。前世での行いは素晴らしく、レオン様には『勇者』のカルマ(業)
に相応しいと思われました。だから、レオン様は『勇者』となります」
「俺が勇者?」
「そうですよ。もう前世の苦しい出来事とは違う人生が歩めるのです」
「アリシアやベアトリスはどうなるんだ?」
「そうですね
アリシアさんのカルマ(業)は虚数魔法使いとならなかったレオン様を癒すものでした
しかし、アリシアさんはそのカルマ(業)を成就できず、
ましてや、事実上の自殺です。魅了された事は不可抗力とはいえ、その後の生き方は
間違っています
エリアスの元を早々に去り、レオン様を忘れて、新たな人生を送るべきでした
たとえ、魅了の犠牲者であっても、その後の行いは女神として、罰する事しか出来ません
特に、自殺という行いを、私は厳しく律しています
だから、彼女には厳しいカルマを与えます」
「アリシアのカルマ(業)はなんなんだ?」
「アリシアさんのカルマ(業)は「奴隷」のカルマです。「底辺奴隷」で無いのは、
魅了の犠牲者であった事を配慮した為です。本来は彼女も「底辺奴隷」のカルマです」
「ベアトリスはどうなんだ?」
「ベアトリスさんは兄である、あなたを愛するカルマ(業)を背負ってました
救われないカルマです。彼女の前前世の行いは少し良いものでしたが、
それ程良い行いでもなかったのです
それで、兄を愛すると言う報われないカルマを背負いました
ベアトリスさんの来世のカルマはアリシアさんと同じ『奴隷』のカルマです」
「そうか、二人の来世はかなり厳しいんだな
それにしても、俺とベアトリスが結ばれるなんて、とんでも無いカルマだ」
「なんで兄妹で愛し合っては駄目なのよ?」
声が聞こえた、懐かしい、妹、ベアトリスの声......
いや、駄目だろうが......
いつの間にか、二人の女性が出現していた
アリシアとベアトリス
「レオン」
「アリシア.....」
俺は懐かしさに涙が出てきた
あの頃のままの二人だ。故郷での頃の洋服を着ていた
「ちょっと、私は無視な訳?」
ベアトリスが不満げだ
「ベアトリスは相変わらず、我がままだな」
「お兄ちゃんがいつも優しいから仕方無いじゃ無い」
「はは」
俺は苦笑した。多分、妹が我がままなのは俺のせいだ
「レオン、私、ごめんなさい。私、レオンをたくさん傷つけた。ごめんなさい
私、私.....」
アリシアは泣いていた
「アリシア、君が悪かった訳じゃ無い。それに俺は信じてあげる事が出来なかった
すまない。アリシアとベアトリスが俺を裏切る訳が無いんだ
それなのに、俺は裏切られたと信じて、アリシアやベアトリスを殺そうとまでと思ってしまった
許して欲しい」
「レオン......」
「お兄ちゃん」
「アリシアさん、良かったですね。レオン様はあなたもベアトリスさんも許してくれた
でも、アリシアさんの来世での人生は厳しいですよ
覚悟してください」
「女神様......」
「でも、一つだけ、あなたに希望を教えます
来世での行いがよければ、あなたには、より良いカルマがその次の来世で与えらます
それと......
『奴隷』のカルマを背負ったからと言って、レオン様と結ばれる可能性が無い訳では
ありません。実際、私は奴隷でしたけど、英雄であるレオン様と結ばれました
そして、前世の記憶はほんのわずかに残ります
アリシアさんとベアトリスさんが来世で結ばれる可能性は、
ほんのわずかですけどあるのですよ」
「女神様、ありがとうございます
私、私、来世で、頑張ります。善行を行い、
レオンに釣り合う女性になって、レオンと今度こそ結ばれたい」
「私も妹の呪縛から逃れられるんですね。じゃあ、私にも可能性が!」
「あら、そんなに簡単に行くかしら?
二人共?」
「「え?
どう言う事ですか、女神様?」」
「私もレオン様と結ばれて幸せだった。私も、また、レオン様と結ばれたい」
「女神様ずるい」
ベアトリスが頬を膨らませる
「女神特権です。私は善行しかした事が無いのです
この世界は輪廻転生を繰り返します。そして、あなた達は出会う事もあるし、
出会う事すら無い事もあります。そして、出会っても別れる事もあります」
今回の人生は一番大変なものでした
勇者エリアスが堕ちただけでなく、
虚数魔法使いであるレオン様まで堕ちる可能性がありました
今までこんな事は無かったのです」
「「女神様、じゃ、遠慮してください」」
アリシアとベアトリスがエリスを睨む
「それは出来ません。だって、運命の歯車は私にもどうしようも無いのです
私より高位の存在がいるのかもしれません
私はカルマを付与し、転生させる権限はありますが、
来世でどんな人物関係に転生されるのかは、私にさえわかりません」
「「そ、そうなんですか?」」
「そうです。だから諦めてください」
「「なんとなく嫌です」」
アリシアとベアトリスは二人とも頬を膨らませた
「ふふ、前世での行いから言うと、多分、私が一番レオン様に近い人物となり、
転生すると思いますよ」
「「えっ!
それって!」」
「ふふ、少し、積もる話をしたら、転生しましょう
再び、地界に戻ります」
「今度は負けませんからね」
「私だって、今度こそお兄ちゃんを」
「は、ははは」
俺は思わず笑ってしまった
エリスとの人生は楽しかった
でも、時々思い出す、あの苦しかった思い出は辛かった
国王は二人の名誉は回復してくれたが、二人が帰って来た訳ではない
時間というのは不思議だ。二人の俺への仕打ちは時間と共に忘れられた
エリスが俺の心の憎悪を全て消してくれた
今は憎悪より、二人を信じてあげられなかった事への罪悪感....
二人を失う事になった自身の無力さ......
それも忘れられるのか......
そして、次の人生では、俺は『勇者』らしい、エリアスの様にはならない
そうありたい。エリスが近くにいれば、決して俺は堕ちたりしないと思った
☆☆☆
タレント、人の人生を有意義にするか無意義にするもの
いや、違う、人の幸せはそんなものでは変わらない
誰かを想い、誰かに想われる。それが一番大切な事なんだ
☆☆☆
百夢花が咲き乱れる中にあの娘がいた
俺は魅入られた
『綺麗な娘だな』
いつかも見た様な気がする、そんな筈も無いのに
☆☆☆
おしまい なんですが、旧最終話も残しておきます
『旧最終話』
☆☆☆
あれから40年が過ぎた。俺はドレステン公爵の家を継いだ
そして、エリスと結婚し、3人の子供を授かった
2人の女の子の双子に、2才下の男の子
エリスは2人の女の子にアリシアとベアトリスと名付けた
そして長男にアーネと名付けた
まるで、俺が失ったものを埋めるかの様に......
エリスはアリシアとベアトリスの事を忘れないで欲しいと言っていた
妹はともかく昔の彼女を覚えておけというのも不思議な話だ、だが、エリスらしいとも思った
そのエリスも1年前に逝った。流行り病であっさりと、
そして、俺も、おそらくもう時期、天に召されるだろう
俺の命はもうじき尽きる。なんとなくわかった
子のアリシア、ベアトリス、アーネ、そしてたくさんの孫達
皆、集まっている。俺を看取る為だろう
「お父さん」
アリシアが俺の手を握った。そして、涙した
そして、意識が途切れ、周りが明るくなった
☆☆☆
「......」
ここは?
白く、明るい何も無い世界が周りに広がった
そして、一人の女性が浮かび挙がった
「女神様」
俺はそれが女神様だと思った
三葉の白い羽を持つ、輝く女性、女神様だ
俺は死んだのか?
「レオン様......」
女神様の顔が見える様になってきた。俺は驚いた
「エ、エリス?」
「そうです。エリスです。女神エリスでもありますが」
「エリスは女神様だったのか?
エリスは俺を導く為に人の世界にいたのか?」
「いえ、本来、私はエリアスを救う為に存在していた筈です
しかし、私は地界に降りる時は普通の人間としてしか顕現出来ないのです
女神の記憶も失います」
「では、偶然、俺と出会ったのか?」
「いえ、そうとも言えません。人間も女神の私もカルマ(業)を背負います
レオン様は虚数魔法使いのカルマ(業)を背負い、エリアスは勇者のカルマ(業)を背負います
レオン様も気がついたでしょう?
虚数魔法使いは勇者が堕ちた時の為にいるという事に」
「ああ、魔王から聞いた、それで、おそらくそうだと思った」
「私のカルマ(業)は勇者か虚数魔法使いを癒す事なんだと思います」
「じゃあ、偶然ではなく、必然だったのか?」
「そうです。運命の歯車は私にも止められません。運命はエリアスと私ではなく、
レオン様と私を選んだ」
「女神のエリスにも出来ない事があるなんて......」
「私のできる事は限られています。そもそも、できるなら、魔王など存在させ無いし、
私が直接倒すかすればいい。でも、そんな力は私にはありません
エリアスに魅了の魔法が宿ったのも女神である私には止められない事でした
私は生まれた時から女神でした
でも、自身を誰が創造したのかすらわかりません」
「そんなものなのか......」
「積もる話もありますが、これからの事を話しますね」
「これから?」
「はい、これで終わった訳ではありません。レオン様は虚数魔法使いのカルマ(業)を背負います
もうじき、エリアスとマリアが『勇者』と『賢者』として転生します
それに合わせて、レオン様もアリシアさんもベアトリスさんも転生します」
「俺はまた、虚数魔法使いになるのか?」
「それはわかりません。エリアスが堕ちなければ、
あなたは虚数魔法使いとして目覚める事は無いのです
そして、大抵の場合、アリシアさんと結ばれ、幸せに生きているのです」
「アリシアと結ばれる?」
「そうです。アリシアさんのカルマ(業)は虚数魔法使いとならなかったあなたを癒すものです
そして、ベアトリスさんは兄である、あなたを愛するカルマ(業)を背負います
あなたとベアトリスさんが結ばれた事もあったのですよ」
「ベアトリスと俺が結ばれる?
それはまずかったのでは?」
「なんで兄妹で愛し合っては駄目なのよ?」
声が聞こえた、懐かしい、妹、ベアトリスの声......
いや、駄目だろうが......
いつの間にか、二人の女性が出現していた
アリシアとベアトリス
「レオン」
「アリシア.....」
俺は懐かしさに涙が出てきた
あの頃のままの二人だ。故郷での頃の洋服を着ていた
「ちょっと、私は無視な訳?」
ベアトリスが不満げだ
「ベアトリスは相変わらず、我がままだな」
「お兄ちゃんがいつも優しいから仕方無いじゃ無い」
「はは」
俺は苦笑した。多分、妹が我がままなのは俺のせいだ
「レオン、私、ごめんなさい。私、レオンをたくさん傷つけた。ごめんなさい
私、私.....」
アリシアが泣いていた
「アリシア、君が悪かった訳じゃ無い。それに俺は信じてあげる事が出来なかった
すまない。アリシアとベアトリスが俺を裏切る訳が無いんだ
それなのに、俺は裏切られたと信じて、アリシアを殺そうとまでと思ってしまった
許して欲しい」
「レオン......」
「お兄ちゃん」
「あら、アリシアさん、そんなに簡単にいくかしら、アリシアさん言いましたよね
恋愛は戦いなんだと」
「女神様......」
「私もレオン様と結ばれて幸せだった。また、レオン様と結ばれたい」
「女神様ずるい」
ベアトリスが頬を膨らませる
「この世界は輪廻転生を繰り返します。そして、あなた達は何度も、何度も、
出会い、そして別れる事もあります
今回の人生は一番大変なものでした
勇者エリアスが堕ちただけでなく、
虚数魔法使いであるレオン様まで堕ちる可能性がありました
今までこんな事は無かったのです」
「「女神様、じゃ、遠慮してください」」
アリシアとベアトリスがエリスを睨む
「それは出来ません。だって、運命の歯車は私にもどうしようも無いのです
私より高位の存在がいるのかもしれません」
「「そ、そうなんですか?」」
「そうです。だから諦めてください」
「「なんとなく嫌です」」
アリシアとベアトリスは二人とも頬を膨らませた
「ふふ、少し、積もる話をしたら、転生しましょう
再び、地界に戻ります」
「今度は負けませんからね」
「私だって、今度こそお兄ちゃんを」
「は、ははは」
俺は思わず笑ってしまった
エリスとの人生は楽しかった
でも、時々思い出す、あの苦しかった思い出は辛かった
国王は二人の名誉は回復してくれたが、二人が帰って来た訳ではない
時間というのは不思議だ。二人の俺への仕打ちは時間と共に忘れられた
エリスが俺の心の憎悪を全て消してくれた
今は憎悪より、二人を信じてあげられなかった事への罪悪感....
二人を失う事になった自身の無力さ......
それも忘れられるのか......
そして、次の人生では、俺に出番が無い事を祈った
タレント、人の人生を有意義にするか無意義にするもの
いや、違う、人の幸せはそんなものでは変わらない
誰かを想い、誰かに想われる。それが一番大切な事なんだ
☆☆☆
百夢花が咲き乱れる中にあの娘がいた
俺は魅入られた
『綺麗な娘だな』
いつかも見た様な気がする、そんな筈も無いのに
☆☆☆
おしまい2
エリスの正体に気がついた方いましたでしょうか?伏線が少ないので、少なくても、いらっしゃたら本望です。一番のヒントは名前かもしれません。有名なラノベの女神様の名前ですよね
このジャンルに最適解は存在しないのではないかと思いました。島風なりの最終回、異論は色々あると思われますが、その作者の最善の考えだけしか言えないと思います
需要があるのに、供給者が少ない理由も良くわかりました
最後に島風の一番好きな言葉を書きます
『あの人が私を愛してから、
自分が自分にとって
どれほど価値があるものになったことだろう』




