第51話 招聘
ショックの為、呆けていた俺をエリスは必死に慰めてくれた。だが、エリスでも俺の心の傷は簡単に塞がらなかった
俺はしばらく呆けていた。あまりにもショックだった
エリスが必死に俺に声をかけてくれる
エリスの声は、少しづつ、俺を癒してくれる
だけどもう少し、時間がかかりそうだった
そんな時、国王から呼び出された
俺とエリス、イェスタ、アルベルティーナはマリアに連れられて、王城へ向かった
国王と謁見する。王は、以前より少し、力無く見える
「レオンよ。すまなかった」
国王は頭を垂れた。信じられない事に奴隷の俺に頭を下げた
「私は過ちを犯した。罪の無い者を死罪としてしまった
心からお詫びする」
王はさらに頭を垂れた
「国王陛下......」
俺は国王に何も言えなかった。国王の謝罪、王の精一杯の謝の気持ちだろう
だが、二人はもう、帰ってはこないのだ
「レオン、先日、剣豪、アリスが自害した」
「剣豪が自害?」
「あの娘は子供の頃からの婚約者がおった、3ヶ月前、婚約者がアリスを、
取り戻しにエリアスに迫った。そして、エリアスに決闘を申し込んだ
だが、エリアスはアリスに決闘をさせた」
「そ、それで、その幼馴染は?」
「アリスは幼馴染を殺してしまった。エリアスに笑顔で褒美をせがんだ」
「そ、そんな」
「だが、その時、たくさんの者が見た。アリスは涙を流していたと」
俺は思い出した。ベアトリスは涙を流していた。アーネを殺めた時に、
「それは、エリアスの?」
「その通りだ。エリアスの『魅了』の魔法だ
謹慎中に、『魅了』が解けたのであろう、アリスは自身が殺めた恋人に謝し、
自害した」
「......エリアス......」
「私はたくさんの過ちをした。エリアスの悪行を看過した事、そなたの幼馴染と妹を
刑に処した事、エリアスを謹慎という甘い処置をとった事
そなたにした事を考えると心苦しい、だが、私には願いがある」
「なんでしょうか?」
「魔王を滅ぼして欲しい。御伽噺であろうと、私はそなたを信じる
勇者エリアスに魔王封印の栄誉等、授けとう無い
頼む」
王はまた、深々と頭を下げた
「承知しました。必ず、魔王を討伐します」
「聞いてくれるか?
我、願いを?」
「その代わりに、お願いがございます」
「なんだ、かまわん言ってみよ」
「アリシアとベアトリスの名誉を回復してください」
「それだけで良いのか?
褒美でもなんでも用意するぞ」
「二人は墓も無く、両親からも疎まれているのです
二人にどうか、心の安らぎを」
「わかった。お前にとって、それが一番大事な事なのだな」
「はい
みんな、俺に力を貸してくれ」
「主よ、我剣はあなたの物だ」
イェスタ!
「エリスはいつもレオン様と一緒です」
エリス!
「私も一緒に行くぞ。止めても無駄だからな」
アルベルティーナ!
「ありがとう、みんな」
エリスも、イェスタもアルベルティーナもみんな来てくれる
呆けていた俺は覚醒した
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