第50話 アリシアとベアトリスの手紙
俺に残されたのは2通の手紙だった
二人を弔った後、マリアが俺に渡してくれたものがあった
アリシアとベアトリスからの手紙だった
アリシアとベアトリスの最後の2時間、マリアさんとアルベルティーナが、二人と話した
そして、二人から手紙を預かってきた
俺は自室で、二人の手紙を読んだ。まず、アリシアからの手紙だった
『レオンへ。こんな私を助けようとしてくれてありがとう
本当に嬉しかった。こんな私の為に涙を流してくれて
多分、誰も私の為に涙を流してくれない。あなただけが涙を流してくれた
もしかしたら、両親も、こんなみだらで、罪深い娘、恥じるだけかもしれない
私は死んで当然な女です。あなたが許してくれても私が自分を許せない
どうしてあんな事をしたのか?
どうしてあんな事を思ったのか?
今はわかりません
そのくせ、鮮明にあなたを害した時の気持ちが残ってるんです
本当に自分の考えだったのか?
でも、間違いなく、自分が思った事なんです
あなたと過ごした故郷の記憶はとても楽しい、良い思い出でした
あなたが私に告白してくれた時、本当に嬉しかった
初めてキスしてくれた時も、あの時も百夢花が咲いていた
本当にいい思い出だった
レオンは優しい。こんな私を許してくれた。そして涙を流してくれた
でも、私はあなたを裏切った女
私の事は忘れてください
エリスさんとお幸せに
サヨナラ』
手紙には涙の跡があった。アリシアのものだろう
☆☆☆
ベアトリスの手紙の封を切った。ベアトリス、俺の妹、俺を愛した妹
『お兄ちゃんへ。今から思えば、何故お兄ちゃんを恨んだのかが、わかりません
お兄ちゃんは、いつも優しかった。何をしても、私が泣きそうになると、お兄ちゃんが謝ってくれた
私はお兄ちゃんを愛してました。今も大好きです。もう、言っちゃったから、告白します
気持ち悪い妹と思うかもしれません。でも、本当に大好きなんです
なのに、私は何故、お兄ちゃんが、あんなに憎かったんだろう?
エリアスは私を物としか見てなかった。それがわかった時、
自分がどれだけ馬鹿だったのかがよく、わかりました
私の命を助けようとしてくれたのはお兄ちゃんだけだった
私を大事にしてくれたのはいつもお兄ちゃんだった
アリシアお姉ちゃんの次にしか、大事にしてくれないのは悔しいけど、仕方ないです
私は妹なんだから、
お母さんとお父さんには秘密にしておいてください
お兄ちゃんを裏切った事は多分、もう知られてしまっている
もう、私はお母さんとお父さんに顔向けができない
私の事はお母さんとお父さんにありのまま話してください
私はお兄ちゃんに許してもらえたら、それで、いい
こんな馬鹿で、酷い妹でごめんなさい
たくさん、嫌な事や酷い事してごめんなさい
お兄ちゃんが許してくれたから、潔く、逝けます
ありがとう』
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