第42話 決戦
とうとう、決戦、おそらく、この廃城にはエリアスがいる。俺たちは覚悟を決めていた
ついに俺達は廃城に到着した
「いよいよだな」
アルベルティーナが呟く
「ああ、ベリアルは必ず倒す。任せてくれ」
俺は皆の士気をあげる為に、そして自身に言い聞かせる為にも言った
「頼んだぞ」
アルベルティーナが微笑む
「もーレオン様たら、またアルベルティーナ様にちょっかい出すんだからー」
エリスが不満顔だ
「いや、エリス、これはそう言う事じゃなくて......」
「レオン殿、エリス殿、夫婦喧嘩は後にして頂きたい」
「「ひゃ、ひゃいぃ」」
エリスは真っ赤になっていた。イェスタに夫婦と言われたのが、恥ずかしかったんだろう
俺も多分、顔が真っ赤になってると思う
俺達は慎重に廃城に近づいて行った。正門には周囲を警戒する兵士がいた。この城がただの廃城では無い証拠だ
もちろん、無理やり正面突破などはしないで、全員『ステルス』のスキルで、正門から城の中を誰にも気づかれることなく進んでいった
結局一度も戦闘することなく、城の最上階へと着いた
「おそらくここにベリアルがいるのだろう」
俺は呟いた
『そして多分、エリアスも』
『ギィイ~』
重い、木製のドアを開けると
「よく来たな、レオン」
そこにいたのは、やはり勇者エリアスだった
「なんで、勇者までおるのだ?」
アルベルティーナは驚くが、他の二人は驚かない。俺と同じで予想していたのだろう
「驚いてもらって嬉しいな。わざわざ罠を張った甲斐があるというもんだ
捕虜からここの情報が漏れるだろうからな」
「待ち構えてたってことは、お前自身の手で俺達を闇に葬るつもりか?」
「ああ、その通りだ。察しがいいな
どうだ、男たちが黙って殺されるんだったら、エリスとその女は助けてやるぞ」
「バカめ!レオンとイェスタが殺される位なら、私も戦って死ぬわ」
アルベルティーナがエリアスを挑発する
「私もレオン様の為なら死ねます」
エリスも覚悟を決めている
「エリアス、お前を倒せば済む話だ」
俺はエリアスに宣言した
「本当にムカつく奴だな。よりにもよって俺を倒すだなどと、どの口が言う」
「お兄ちゃん、無礼でしょ。エリアス様になんて事言うの?
もう黙って殺されなさい」
エリアスとベアトリスが俺の言葉に怒りを露わにする
アリシアは
「......」
無言だ。アリシアはどうするつもりだ?
「まあ、勇者様のお出ましの前に、まずは、私がこの者達の相手をしましょう」
こいつは見た事がある。前にベアトリスを連れ行った黒づくめの戦士だ
「あれは誰だ?」
「あの男がシュツットガルト公の私兵団の将ベリアルだ」
アルベルティーナが教えてくれた
『まずい、敵は5人か』
「ベリアル、貴様ごときは私が相手をしてやる。そうだな、お前一人で私と戦うのは荷が重いだろうから
そこの剣豪も加えて、二人まとめて相手をしてやろう」
イェスタが言い出した
「なんだと?」
先に怒ったのは剣豪の方だった。ベリアルは驚いている風だ
「貴様、たかがルーンナイトの分際で、気でも触れたのか?
それとも、私のレベルが低いと侮っているのか?」
「アリス殿、ちょうどいいではないですか?
こちらには圧倒的に有利な条件です」
ベリアルは乗る気だ
「それもそうか。
イェスタ、大口叩いたことを後悔させてあげる」
剣豪アリスはイェスタとの1対2の戦いを承諾した様だ
『確かにいい策だ。剣聖ベリアルは、エリスやアルベルティーナでは相手にならないだろう
戦いの経験値が違い過ぎる。でもイェスタなら、対等以上、おそらく快勝出来るだろう』
「イェスタ、お前気でも触れたか?
それとも、死に場所でも探しているのか?」
エリアスは怪訝そうにイェスタを見ていた
俺はなんとなくわかった。エリアスもイェスタの戦いが気になるのだろう
自信満々のイェスタを見過ごせないのは、イェスタがエリアスの力も性格も知っているからだろう
「ではまず、剣聖ベリアルと剣豪アリスの二人と、私の決闘からでいいですな?」
イェスタがエリアスに問うた
「わかった。まずはお前と、ベリアルとアリスで闘え」
エリアスは応じた。イェスタの力を見極めるつもりだろう
「虚数戦士の力見を見せてやろう」
イェスタは遂に俺達の秘密をエリアス達に打ち明けた
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